
眼底血管造影実施基準
フルオレセイン眼底造影検査法が新しい画期的な眼科診断法として導入されてから既に40年以上経過したが、その重要性はますます大きくなっている。しかも近年、これにインドシアニングリーン赤外蛍光眼底造影検査法が加わり、多くの眼底疾患の診断に際して両眼底造影法は必須の項目とされている。しかし、両検査法の急速な発達と普及にもかかわらず、これらの眼底造影検査法の実施基準は定まっておらず、以前から何らかの指針策定が強く求められていた。とりわけ、近年の人口高齢化に伴う疾病構造の変化によって増加しつつある加齢黄斑変性を始めとする諸疾患では、対象患者層が高齢かつ高率に全身合併症を有することなどから、より慎重かつ安全な検査体制の整備が望まれていたところである。日本眼科学会ではこのような状況に鑑み、平成13年2月16日開催の常務理事会において眼底造影実施基準策定委員会を設置することとし、委員長に松井瑞夫名誉会員、委員に小椋祐一郎(名古屋市大)、湯沢美都子(日本大・駿河台)、釘宮豊城(順天堂大・麻酔)の4氏を委嘱した。
以下に記載された実施基準は日本眼科学会による指針としてまとめられたものであり、現在我が国で広く一般に行われている眼底血管造影検査法を規定しようとするものではない。適切な検査法は各施設が個別に有する歴史的背景や現状に応じて異なって然るべきであり、個々の症例に最も適した方法は社会的、経済的、医学的諸事情を総合して選択される。
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