
緑内障診療ガイドライン(第2版)
■巻頭言
緑内障診療ガイドライン第1版は2003年に作成され、日本緑内障学会会員のみならず、日本眼科学会雑誌やインターネットを通じ、広く眼科臨床医に読んで頂くことができた。また、同ガイドラインは英語版も作成され、日本発のガイドラインとして海外にも知れ渡ることとなった。
第1版が作成されてから3年あまりになったが、そのわずかな間にも緑内障診療並びに緑内障研究は長足の進歩があり、同時に緑内障の疾患概念も変貌を遂げることとなった。そのため、日本緑内障学会では、時代の変遷に対応すべく、緑内障診療ガイドライン第2版を作成した。
主な改変点として、
- 緑内障を緑内障性視神経症として定義した。
- Primary angle-closure(PAC)の概念を取り入れ、その邦訳を「原発閉塞隅角症」とした。
- 「補足資料」を設け、引用を簡便にした。
- 緑内障性視神経乳頭・網膜神経線維層変化判定ガイドラインを追加した。
改訂にあたっては、緑内障診療ガイドライン作成委員、日本緑内障学会理事および評議員、並びに学会事務局の近藤 明氏に多大なご助力を頂いた。ここに厚く御礼を申し上げたい。
引き続き本ガイドラインが緑内障診療の一助になることを期待します。
2006年10月
日本緑内障学会
理事長 新家 眞
緑内障診療ガイドライン作成委員会
委員長 阿部 春樹
日本緑内障学会緑内障診療ガイドライン作成委員会
委員長:阿部 春樹
委員(五十音順):桑山 泰明、白柏 基宏、白土 城照、谷原 秀信、富田 剛司、山本 哲也 |
日本緑内障学会緑内障診療ガイドラインの執筆者および執筆協力者
執筆者(五十音順):阿部 春樹、北澤 克明、桑山 泰明、白柏 基宏、白土 城照、谷原 秀信、富田 剛司、山本 哲也
執筆協力者:八百枝 潔 |
■緒言
緑内障は我が国における失明原因の常に上位を占め、社会的にも非常に重要な疾患である。2000年〜2002年に行われた詳細な緑内障疫学調査(多治見スタディ)では、40歳以上の緑内障の有病率は推定5.0%であった(補足資料1[1]参照)。さらに、同疫学調査において、緑内障の新規発見率は89%であったことから、我が国では、未だ治療を受けていない緑内障患者が多数潜在していることも明らかとなった。
緑内障の視神経障害および視野障害は、基本的には進行性であり、非可逆的である。また、緑内障では、患者の自覚なしに障害が徐々に進行するため、その早期発見と早期治療による障害の進行の阻止あるいは抑制が重要課題となる。
近年、緑内障に対する診断と治療の進歩は目覚しく、新たな診断および治療手段が多数臨床導入され、その診断と治療は多様化している。しかしながら、個々の症例に適した診断および治療手段を選択し、早期診断と早期治療を行い、さらにquality of life(QOL)あるいはquality of visionを考慮した疾患の管理を長期にわたって行うことは、必ずしも容易ではない。また、診断と治療の様々な選択肢を駆使しても、障害の進行を阻止あるいは抑制できない症例が少なからず存在しており、大きな問題となっている。
特に最近の医療の技術革新に伴って、治療水準の維持と向上が重視されており、治療の質を向上させる目的から、近年診療ガイドライン作成の必要性が高まってきた。さらに患者と医療者側のコミュニケーションや、治療の選択とその情報の共有化、そしてチーム医療においてガイドラインが有用であるとされている。また、社会的な背景として、医療のグローバル化への対応や医療経済の観点から医療資源の効率的利用による医療費の節減が求められており、規範としてのガイドラインの必要性が指摘されている。
このような背景のもとに、日本緑内障学会では、緑内障診療ガイドラインを作成した。本書では、まず緑内障の診断と治療に関する要点を「フローチャート」で示した後、「緑内障の定義」、「緑内障の分類」、「緑内障の検査」、「緑内障の治療総論」、「緑内障の病型別治療」の5章と補足資料に分けて解説を加えた。特に補足資料1、2は「緑内障性視神経乳頭・網膜神経線維層変化判定ガイドライン」を示した。本書が日常の緑内障診療の一助として広く活用され、役立つことを期待する。
| 医療は本来医師の裁量に基づいて行われるものであり、医師は個々の症例に最も適した診断と治療を行うべきである。日本緑内障学会は、本ガイドラインを用いて行われた医療行為により生じた法律上のいかなる問題に対して、その責任義務を負うものではない。 |
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