
大学附属病院および国立病院眼科における完全(ペーパーレス)電子カルテ化導入について
2001年12月に厚生労働省がカルテと診療報酬明細書の電子化目標をかかげ、これに対する補助予算が投入された結果、大学病院でも急速に電子カルテ導入の動きが始まった。しかし、まだ歴史が浅く開発途上といってもよい電子カルテシステムには、臨床現場での運用において不十分な点が多い。特に自科検査がほとんどでスケッチ記載を要する眼科の特異性に対する配慮は全くなされないまま、まず電子カルテ化ありきとされているのが現状である。このような状況のまま急速に運用が進められれば大学病院、総合病院での眼科の診療、臨床研究、教育は破壊されかねない。この問題は各個の病院では対応しかねるものと判断し、前理事会は新家常務理事を委員長とするIT委員会に電子カルテ化の現状と問題点をまとめることを要望した。委員会は自ら議論するにとどまらず、昨年の臨床眼科学会でシンポジウムを企画、すでに運用している施設へのアンケートをまとめ、今回以下のような答申を提出した。日本眼科学会としては本答申を日眼会誌に掲載して会員諸氏に理解をいただくだけでなく、これをもとに厚労省、文科省に対して拙速な運用を控えるべきとの要望書を提出する予定である。
平成16年3月5日
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