日本眼科学会:理事会から(108巻9号)
日本眼科学会 Japanese Ophthalmological Society
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Society、Academy、それともAssociation?

 今回からは常務理事ではない脾理事が搦哩・脾を書くそうです。これまでの記事をお読みの会員諸氏は良くおわかりでしょうが、毎月の常務理事会に参加する理事長と常務理事が日本眼科学会(日眼)の会務を執行する駆動力です。脾理事は年に2回の理事会に参加する他には特別な仕事はありません。したがって、脾の理事は日眼の^営Iには考えていないことが普通です。私も日眼の^営Iに考えているわけではありませんし、常務理事の先生たちと日眼のあり方について議論をする機会はほとんどありません。このような立場の理事が搦哩・脾に何を書くのが良いのか良くわかりません。私なりに考える日眼のあり方について書くことによって搦哩・脾とさせていただきます。したがって、この搦哩・脾の内容は、私見であって理事会でのコンセンサスを取ったものでないことをお断りします。もっとも、この記事の内容に大きな反対意見をお持ちの理事は多くはないと考えますが。

 さて、日眼のホームページをご覧下さい。トップページの左上に日本眼科学会とあり、その下に小さくJapanese Ophthalmological Societyという英文表記があります。今お読みの日眼会誌の表紙をご覧下さい。この雑誌の英文表記は、Journal of Japanese Ophthalmological Societyであることがわかります。そうなのです。日眼はSocietyなのです。日本の医学系学会はその大部分がSocietyです。日本内科学会はThe Japanese Society of Internal Medicineですし、日本外科学会はJapan Surgical Societyです。日本耳鼻咽喉科学会はThe Oto-Rhino-Laryngological Society of Japanというそうです。例外もあります。日本皮膚科学会はJapanese Dermatological Associationですし、日本泌尿器学会もThe Japanese Urological Associationです。戦後60年間、日本がお手本としてきたアメリカでは皆さんご存知の通りにAmerican Academy of Ophthalmology(AAO)が日本眼科学会に相当する組織でしょう。研究主体の学会であるARVOの正式名称がThe Association for Research in Vision and Ophthalmologyであることは良く知られています。もちろんアメリカの眼科学会にもSocietyはあります。The Macula Society、The Vitreous Societyなどという学会があります。後者は最近名称が変わりましたが、やはりSocietyという言葉を使っています。American Glaucoma Societyという学会もあります。このように日本語の学会に相当する英語には少なくとも3種類のものがあるのです。その3つはどのように異なっているのでしょうか?

 まずAcademyです。例えば、New York State Police Academyというのがあります。警察学校なのでしょう。Arnold Palmer Golf Academyというのもあります。ゴルフを教えてくれるわけです。このように、Academyは比較的評価の定まった知識、技能を系統的に伝達することを主な目的としています。私がArnold Palmer Golf Academyに行くとすれば、ゴルフ上達が目的であって、ゴルフの蘊奥を究めて新しい知識をゴルフの世界にもたらしたいからではありません。AAOのミッションは、“to advance the lifelong learning and professional interests of ophthalmologists(Eye M. D. s)to ensure that the public can obtain the best possible eye care.”となっています。AAOは、眼科医の生涯教育の場を提供するとともに、眼科医の専門職業人の利益を確保し、もって社会に貢献することを目的としています。

 一方、Societyはどちらかといえば会員資格審査が厳しく(先ほどのThe Macula Societyの会員数は300名足らず)、新しい知識の追求が大きな目的の一つです。学問の世界には、その分野ごとに独特の知識体系(a body of knowledge)というべきものがあります。これにnew informationを付け加える作業をする研究者の集まりがSocietyです。したがって、何度か例に出しているThe Macula SocietyはAcademyではなくSocietyであるべきです。日眼はSocietyですから、その目的はwの進歩発達を図り、もって学術の発展に寄与することB

 Associationは複数の団体が集まってできているからAssociationなのでしょう。ARVOがAssociationであるのは、Visual ScienceとOphthalmologyのSocietyが合わさって発足したという歴史があるのではないかと推測します。なぜ日本皮膚科学会、日本泌尿器学会がAssociationであるのかは私にはわかりません。あるいはAcademyとSocietyの両方の機能を持っているという意味でAssociationなのでしょうか。Associationという名称を使うには理由がある筈です。

 かたやSociety、かたやAcademyというように、日眼とAAOはその設立目的が異なっているのです。そして、残念なことに日本にはAAOに相当する組織がありません。日眼会員の多くが会員である日本眼科医会は、眼科医を構成メンバーとしていますが、Lく国民の目の健康と福祉の向上に寄与することIです。AAOのミッションが眼科医主体であるのに対し、日本眼科医会は国民に利益をもたらすための組織なのです。

 それでは、13,000人の日眼会員のすべてがwの進歩発達を図り、もって学術の発展に寄与することIに日眼会員になっているのでしょうか? もしそうであれば、日眼会誌が原著論文の投稿数減少に頭を悩ませることなどはない筈です。日眼がSocietyである以上、new informationを発表する雑誌が必要であり、そして、その発表が原著論文という形でなされるのは当然のことです。もちろん、日眼には日眼会誌以外にJapanese Journal of Ophthalmology(JJO)という立派な英文雑誌があります。JJOがSocietyの機関誌であるとの考え方をすることも可能です。この雑誌は年々投稿論文数が増加しており、大変うまく機能しています。とはいっても、日本から発表される論文数とJJOに掲載される論文数の間には大きな乖離があります。また、13,000人もの会員がいるにもかかわらず、日眼会誌に原著論文が集まらないという事実は、日眼がSocietyの機能のかなりの部分を喪失していることを意味します。あるいは、例えばAAOやARVO、ISER(International Society for Eye Research)がその機能を代行しているわけです。もちろん、眼科学のbody of knowledgeにnew informationを付け加える作業は重要です。眼科医としての一生のうちの何年間を眼科学の研究に費やすことも有意義でしょう。Subspecialtyや方法論にとらわれず、眼科学全体としてそのような作業を進める機能を担う集まりが日本にあることは素晴らしいことです。しかし、日眼はできるだけ早くにAcademyとしての機能を併せもつべきであると考えます。

 いや、日眼は既にAcademyとしての機能を持っています。ただ、そのことを十分にわかるように表現していないだけです。私は、日眼会誌の編集の問題も日眼総会のプログラムの問題もすべて日眼の蕋ミッションと時代が必要としている学会機能との食い違いに起因していると思っています。表現が不十分であるために、Academy機能を重視していることがわかる形での事業計画や予算配分ができていないように思います。もちろん、財団法人である日本眼科学会の目的はその寄附行為第3条によって明確に規定されています。日眼が明治30年に設立された当時、あるいは、昭和3年に財団法人格を獲得した時には、眼科医の数が少なかったこともあって、wの進歩発達を図り、もって学術の発展に寄与することIに掲げることが自然だったのでしょう。法人の寄附行為を変更することは簡単ではないと思いますが、例えば、事業計画、予算配分面でSocietyの機能とAcademyの機能を分けて立案するのも実際的であるかもしれません。その場合、予算の配分は、後者に重点がおかれることは間違いありませんが、前者の機能を放棄することはあってはならないことです。

 眼科専門医資格の更新に必要だからという理由で日眼会員であるという会員が多いのかも知れません。しかし、それは大きな無駄でしょう。無駄を省くことは悪いことではありませんが、先人の110年間にわたる努力の積み重ねである日眼をSocietyの機能に特化したものにして矮小化することは馬鹿げています。日眼は今後とも日本の眼科医、眼科学研究者の最大の集まりであるとともに、所属することによって眼科医、眼科学研究者が専門職従事者として最大の利益を得られる組織であるべきです。

 最初にお断りしたとおり、この搦哩・脾の内容はあくまでも脾理事の私見であって、理事会のコンセンサスを得たものではありません。しかし、内容は特に目新しいものではなく、ごく普通の考え方ではないかと思います。実際、日眼のプログラム委員会が立ち上がった背景には、この搦哩・脾と同様な考え方があったのだと理解します。日眼は、学会が変わろうとしていることをもっとはっきりと宣言すべきでしょう。そしてできるだけ多くの日眼会員に日眼が変わろうとしていることを理解していただき、サポートをしていただければと考えます。

財団法人日本眼科学会
理事 吉村 長久

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