日本眼科学会:理事会から(108巻10号)
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 樋田哲夫理事長を筆頭に、新常務理事は個性豊かな新進気鋭の面々で、それぞれの分野で傑出した能力を発揮しています。この新体制に大いに期待するとともに、会員の先生方にも御支援のほど宜しくお願いいたします。小生は一理事として雑感を述べさせていただきます。

 日本眼科学会(学会)は、これまで国際交流をはじめ、眼科学の発展ならびに国民の目の健康を守るために多大な貢献をしてきたことはいうまでもありません。しかし、最先端医療をはじめとする医学・医療に関する国民向けの情報発信に関しては不十分との声も聞かれます。近年、医学・医療の分野も大きな変革期を迎えています。例えば、小泉内閣の聖域なき改革、規制改革の名のもとに進められようとしている医療経営への株式会社参入、混合診療などは社会保障制度の根幹にも関わる重大な問題です。また、医療の方法論においても、これまでの医師の経験や価値観に基づいた「父権主義的医療」から「患者の自己決定権」を重視したevidence based medicine(EBM)とインフォームド・コンセントの医療に移行しつつあります。背景には、国民の「権利意識の高揚」を筆頭に、社会・文化の変化が窺えます。学会は、これらの社会の動きに鋭敏に反応するためにも、これまで以上に国民への発信・対話が要求されるものと思います。

 社会的背景と視覚に関する最近の事例として、色覚の問題を取り上げてみることにします。

 まず、規制緩和を背景に資格試験における身体検査基準の緩和をあげることができます。これまで「色覚正常」が要求されていた航空機のパイロットが軽度の異常までは合格となりました。小型船舶操縦士や東京消防庁消防官の基準も大幅に緩和されました。警察官においても、現在、基準の見直しが行われています。このように基準緩和の社会情勢ではありますが、適・不適の明確な基準がないため、安全確保に必要な最低基準の設定は難題です。事故後に学ぶことを避けるためにも、明確な基準の作成や、誰にでもわかりやすい標識などの視環境の見直しにも学会として積極的に加わっていくべきものと思います。

 学校健診における色覚検査が必須項目から削除されたことに関しても、多くの質問や、必須検査として復活させよ、という要望を多数いただいております。しかし、学校健診における色覚の問題は、色覚のみの問題ではなく、他の学校健診項目にも及ぶ重大な問題を含んでいるように思われます。

 色覚異常は遺伝性ですから児童生徒のみならず、家族に対しての遺伝上のプライバシー保護に関する問題が発生します。次に、学校健診は健康管理から健康教育へと変化しているようですが、集団管理か自己管理かの問題としてとらえることができます。社会の流れは、自己責任のもと自己管理社会に移行しつつあるように思われます。自己決定できるのは、民法で遺言作成能力を有する年齢に基づいて15歳以上となっているようですが、自己決定できない児童に対しても自己管理で良いのかなど、色覚検査の復活を考える前に広い議論が必要と思います。もう一つは眼科医の対応です。学校健診で「要精検」と判定され、眼科を受診しても学校健診と同じ検査をされるのみで適切なアドバイスもなく、社会的にも不利益を被ってきたという意見も小生の元へ多数寄せられてきました。新聞にも「どこからが(色覚)異常なのかという基準はない。線引きは、検査法や眼科医で異なるのが実情だ。」、「最も鋭敏な検査法で、異常の判定が出やすいのが石原表。」など誤解を招く記事が掲載されました。診断の基準も鋭敏な検査も「アノマロスコープ」ですが、眼科医療の現状を考えると上記の記事を否定できる眼科医がどれほどいるか疑問が残ります。眼科医により適切なアドバイスが行われ、学校生活や職業選定などで色覚異常者が不利益を被らないことが大切と考えます。

 これらの社会問題に対処するためには組織の力が必要です。学会も日本眼科医会(医会)との協力体制の構築がますます重要となるものと思います。このたび、社会保険委員会で、学会と医会との合同会議の発足が決定しました。今後、できるところから協力体制を確立できればと考えています。お互いに相手を理解することは大切ですが、良い間柄のみを意識して、遠慮していては発展がありません。お互いに理解を深めるためにも、主張するところは主張し合って、ときには激論を交わしてこそ「学会」と「医会」という両輪の関係が生かされ、国民の目を守るという医学・医療の発展に繋がるものと確信しています。

財団法人日本眼科学会
理事 北原 健二

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