日本眼科学会:理事会から(110巻1号)
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 今、この瞬間も世界中のさまざまな地域で失明の危機に瀕している人々が数多く存在します。もし私達が現状のままで手を拱くだけで済ましてしまうと、西暦2020年には世界中で毎年360万人もの失明者が生まれることになるとの予測があります。Vision2020というキーワードをご存知でしょうか。単純に訳せば、「視力20/20」あるいは「視力1.0」という意味になりますが、西暦2020年までに治療または予防可能な眼疾患への対策を確立しようという目的で、WHOが提唱し1999年から始まった世界的な運動です。日本でも2000年11月の第54回日本臨床眼科学会において、日本眼科学会と日本眼科医会とが日本失明予防協会とともにWHOの下部組織であるIAPB(International Agency for Prevention of Blindness)と契約書を交わし、正式にこの運動への積極的参加を表明いたしました。一方、日本眼科学会の上部組織であるICO/IFOS(International Council of Ophthalmology、国際眼科理事会/International Federation of Ophthalmological Societies、国際眼科学会連合)は、Vision for the Futureという運動を行っています。これは、傘下の各国眼科学会、各地域国際眼科学会(その後、各国際専門眼科学会もICO/IFOSに参入)を中心として、すべての眼科医に参加を求めるとともにWHO/IAPB、各国政府関係者、さらには眼科関連研究者の協力の下に、眼科における教育、診療、研究に関する国際協調を推進し、眼科学の充実と発展を目指そうとするものです。

 ここでICO/IFOSについて簡単に触れます。ICOと同じ略号であるInternational Congress of Ophthalmology(国際眼科学会)は1857年9月にベルギーで行われました。この国際学会は医学関係では最初に開催されたものでした。その後、疫病、政変などによる中断、開催地・期日変更などを経て、国際眼科学会は4年ごとに開催されるようになり、次回は来年2月にブラジルのサンパウロで開かれることはご存知の通りです。かつてICO/IFOSの主たる活動は国際眼科学会の企画立案運営にありましたが、1999年にエジプトでVision for the Futureのための戦略企画会議が行われて以来、活動計画は飛躍的に拡大し、現在に至っています。具体的な活動内容としては、失明予防の必要性の啓発、統一診療ガイドライン作成、眼科卒前卒後教育体制の確立と統一カリキュラム作成、延いては眼科知識の標準化、国際眼科学会開催を通しての情報交換と啓発、基礎と臨床の統一試験による眼科医能力の向上、IFOS/ICO国際眼科フェローシップの拡充、失明の定義などの国際標準策定、失明予防に関わる眼研究支援などが挙げられます。これらのICO/IFOSの活動を側面から支援する組織として国際眼科理事会諮問委員会(Advisory Committee for International Council of Ophthalmology, ACICO)があり、眼科関係の国際的諸問題についてICOの諮問を受けて検討しています。また、これとは別に60名以内のメンバーで組織される国際眼科アカデミー(Academia Ophthalmologica Internationalis, AOI)と国際眼科財団(International Council of Ophthalmology Foundation, ICOF)とが有識者集団と財政支援母体として活動しています。上述のように、現在のICOと関連団体の活動は多岐にわたっておりますが、それらの詳細な現状につきましてはICOのホームページ<http://www.icoph.org/>に紹介されていますので、興味のある方は是非一度ご覧になって下さい。

 ICOの下部組織として地域眼科学会(Supranational Organizations/Congress)があります。良く知られているのは欧州眼科学会と汎米眼科学会で、両者ともに著明な活動実績が評価されています。日本眼科学会が所属する地域学会にはアジア太平洋眼科学会(Asia-Pacific Academy of Ophthalmology, APAO)とアジア・アフリカ眼科学会(Afro-Asian Council of Ophthalmology)の二つがあります。後者は1971年に日本で開催されたものの、その後の関係は希薄になる一方で、現在は同学会との交流は日本眼科学会としてほとんどない状況が続いています。一方、APAOは1958年の創立以来、日本が積極的に運営に関与してきた組織であり、アジア太平洋地域における我が国の政治経済的立場も相俟って、これからは日本眼科学会の更なる関与が期待されています。同学会はICO傘下の各地域眼科学会の中でも極めて特殊な存在であり、加盟国全体では、全世界の半数を超える人口を擁し、数え切れないほどの異なる言語、宗教に加えて政治不安、経済落差などが色濃く各国の地域眼科医療に影響し、他にはみられない多様性を生み出しています。幸い、最近の経済発展に後押しされるように政治的安定が目立ち始め、それとともに眼科医療事情は急速に改善しつつあるようです。しかし、改善が急速であればあるほど人的資源には限りがあり、発展途上国に対する先進諸国からの強力な支援が望まれています。今年から、APAOの事務局がシンガポールから香港に移りましたが、これに伴い、APAO独自のフェローシップ制度の確立、APAO財団の設立、ホームページを利用した眼科教育と啓発の準備を着々と進めています。また、奇数年の隔年開催であったAPAOが今回から年次開催とし、年次集会を利用した集中的かつ効率的な眼科教育・交流を目指すこととなりました。今年は6月にシンガポール、来年は2月にパキスタンです。隗より始めよ、といいますが、日本眼科学会としてまずは積極的な学会参加から始めるのが手っ取り早いと思います。迅速な情報発信がインターネットなり原著出版なりで可能となりましたが、face to faceで身近な問題を議論できるのは学会参加をおいて他にありません。私達が正しいと信じる眼科学・眼科医療をもっと積極的に地域の同胞に提示し、議論をしていかなければ日本の眼科はアジアの眼科の中で孤立していきかねない状況にあると認識しています。私達は米国や欧州の方を向きすぎてはいませんか。私達が積極的に隣人と対話しない限り、中国や周辺諸国の眼科医はそのうち私達には見向きもしなくなるでしょう。今のうちに、アジア独自の眼科をともに作り上げる意気で参加すれば、学会はもっと面白くなるような気がします。疾患の人種差問題一つを取っても、アジアの中で議論しないと解決しない問題は一杯あります。とりあえず本年2006年のシンガポールの学会に参加しませんか。とりわけ若い先生方にお勧めです。Early exposureなるキーワードが流行ですが、若いうちに国際的な雰囲気で過ごすと、その後の視野が広くなること請け合いです。学会発表の共同演者として参加するだけでも得るものは大きいと思います。しかも会場外での楽しみもあるかもしれません。

 最初に記したVision2020に戻ります。私達が国際学会参加の他にできることで次に挙げるべきことは、海外からの留学生支援と思います。日本眼科学会ではICOのフェローシップに相当額の支援をしています。また、数多くの教育施設から短期留学生の受け入れを表明していただきました。海外留学経験をお持ちの方であればおわかりのことと思いますが、私達が授かった計り知れない厚意や友情を、今度は私達が逆の立場で返していかなければなりません。そして、かつて留学生を引き受けられた先生方は、彼らが帰国した後をできれば一度訪ねてみられるべきだと思います。そこに私達が正しいと考えている眼科の一端が移植されていたなら、どんなに嬉しいことでしょう。

 日本眼科学会が組織としてICOやAPAOの活動に参加することも大切ですが、あくまでも日眼会員の一人一人が参加されてこそ意義があると思います。

財団法人日本眼科学会
理事長 田野 保雄

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