日本眼科学会:理事会から(110巻2号)
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理事会から

理事会から

 「理事会から」というメッセージは、日本眼科学会がより開かれた、透明性を高めるための一つの方策として位置づけされている。そこで今回は、昨年6月から大橋裕一前社会保険委員長を引き継いだ後の経過を、主として平成18年度の診療報酬改定に対してどのようなことを行ってきたかを振り返ってみたい。

 眼科学会の平成18年度の診療報酬改定に対する要望は、従来どおり外保連(外科系学会社会保険委員会連合)を通じて厚生労働省に行った。平成18年度の医療改定はかなり大幅に行われるとの認識に立って、外保連では昨年の5月末日には加盟学会からの要望項目を締め切り、調整を行ったうえで厚労省に陳情を行った。眼科学会では各専門学会からの要望を取りまとめ、新設3項目(眼底3次元画像解析、小切開水晶体再建術、ロービジョン指導管理料およびロービジョン訓練)、改正3項目(角膜移植、矯正視力、眼底カメラ)、材料2項目(ディスポーザブル硝子体手術キット、ディスポーザブル超音波水晶体乳化吸引キット)について要望した。要望した項目に対して、昨年は大きな対応の変化が厚労省にみられた。すなわち、各学会に対して、個別のヒアリングが行われたのである。今までは外保連の各加盟学会に個別的に直接要望を聞くことはなかったことから、厚労省が日本医師会からの要望だけでなく、外保連にも注目していると受け止められ、大いに期待した次第である。このヒアリングは昨年の8月4日に行われ、私と小出良平委員(外保連処置委員、昭和大教授)が各要望項目の説明を行った。満遍なく各項目の説明を行う中でいくつかの質問があったが、大橋裕一前社会保険委員長の時にも要望についての説明がなされていたこともあり、だいたいの理解が得られているとの印象を受けた。その中で、改正の矯正視力について、なぜ新たに「眼鏡処方箋を含む」とは別に矯正視力検査の項目が必要なのかとの説明が求められた。また、眼科手術においては器具のディスポーザブル化が進んでおり、手術料が材料費によって圧迫されている現状に関心を示していた。材料費の保険収載要望は今回が初めてであったが、手術点数の引き上げが期待できないとなれば、技術料と材料の費用を明確に分離することも一つの方策とすべきと思われる。

 8月には外保連から、厚労省が小児診療報酬表を新設したい意向なので、各科ごとに小児の診療報酬表を作成するようにとの要請があった。急なことであり、慌てて小児眼科に精通している東 範行先生(国立成育医療センター部長)、不二門尚先生(大阪大教授)を中心に作成をお願いし、素案を持って外保連委員会に出席して他科との調整を行ったうえで、厚労省に提出することができた。この小児診療報酬表の中には、新たに未熟児網膜症手術などの要望も一部加えた形となっている。何分にも急な要請であり、各学会の要望を聞き入れている時間的余裕のないまま対応を行ったが、医療費抑制が明確になった現在、果たして小児医療の充実を意図する新しい診療表が出来上がるか、非常に不安がある。あまり期待できないのではないかという出月外保連会長の発言が気になるところである。

 9月に入るとCL診療の包括化に対応するために、日本眼科社会保険会議としての意見書を持って、眼科医会の先生方とともに厚労省を訪問した。その後、新聞紙上でもCL診療に関する厚労省の案が中央社会保険医療協議会(中医協)に提出されたことが報道されたが、引き続き眼科医会の社会保険担当理事を中心に厚労省に意見を提出している状況である。9月下旬には厚労省からの依頼として、外保連から同一術野の併施手術にはどのようなものがあるか、各学会より提出するようにとの要請があった。この件も急なことであったため望月 學委員(外保連手術委員、東京医科歯科大教授)を中心に外保連の各委員や関係する委員が分担して要項をまとめ、眼科としては150項目にのぼる併施手術を提出することができた。厚労省からの依頼は急なことが多く、さらに短期間での回答を要求されるため、関係する委員には負担が大きいのが現状である。それとは別に外保連では、診療報酬点数については、手術、検査、処置の委員会を作って、それぞれの試案を持っている。定期的にその試案を見直して改定をしているが、手術委員会より外保連試案の第6版を作成するに当たり、各学会の案を提出するよう依頼があった。手術委員の交代などにより連絡が遅れたため、各外保連委員が分担して事に当たり、特に外保連試案の手術点数が実際の保険点数より低いものもあり、これらを是正することを中心に見直しを行い、10月下旬に外保連事務局に提出することができた。その後の手術委員会での検討を経て、改定6版での眼科要望項目と点数が決定した。まだ改正すべき点も見られたが、より緻密な検討が必要と判断され、次回改定時に正すことにした。

 外保連からも不合理な制度であるとして、強く撤廃するように求めていた特定の手術における施設基準の制度は、厚労省自身が撤廃する意向を示した。外保連加盟の学会がそれぞれの施設基準制度が適応となる手術についての調査を行い、手術成績と施設基準については関連がないことを示したことが、撤廃の大きな要因になったと考えられる。日本眼科学会も小規模ではあるが、涙嚢鼻腔吻合術と黄斑下手術などの手術については、施設基準を満たす施設と満たしていない施設との手術成績を比較し、両者間に差がないことを外保連に報告した。

 昨年の12月には、松井瑞夫疑義解釈委員(日本大名誉教授)からの要請に従い、蛍光眼底撮影時の血管確保手技に対する診療報酬上の点数の担保を要望するため、厚労省を訪問した。蛍光眼底撮影時には一定程度の副作用は避けられない状況にあり、何らかのショック状態に適切に対応するためには血管確保は必要であり、現実に行われている手技である。しかしながら、現行の診療報酬では、注射料は検査に含まれるとして血管確保手技に対する担保がないことを取り上げ、適切な対応を要請した。

 以上が昨年6月から12月末までの眼科学会の社会保険担当理事として関わってきた大まかな経過であるが、書ききれない事柄も多数あったことも事実である。特に眼科医会とともに立ち上げた日本眼科社会保険会議は、より重要な立場を含んでおり、平行して活動は行われた。まず、平成18年度の診療報酬に関連して、小児の治療用眼鏡の療養給付を視能訓練士協会と連名で要望書を提出した。さらに、平成16年11月22日に東京・京都・大阪大学医学部附属病院長が連名で規制改革・民間開放推進会議に提出した「医療保険制度等の規制緩和に関する要望」の内容の一部に白内障手術に関して事実と異なる記載があり、日本眼科社会保険会議が抗議したにもかかわらず、昨年の5月に同じ内容の文章が、国立大学病院長会議の医療保険問題小委員会からの「平成18年度診療報酬改定要望書の提出について」という通達の中においても、参考資料として引用されていることが判明した。眼科学会および眼科医会の抗議が全く無視されたことに対し、東京大学医学部附属病院長に厳重な抗議を行い、然るべき対応を求めた結果、謝罪と訂正資料の再配布が行われた。また、実質的には日本眼科社会保険会議の下にある診療報酬検討分科会にあっては、第1分科会では白内障手術にかかるコストについての調査を実施中であり、第2分科会では特定のCL診療所に対する実態調査を行い、診療報酬の点数決定に関する基礎データを作っている。この日本眼科社会保険会議の活動を広く会員に知ってもらい、今後予想される厳しい医療改定に対応するために昨年の札幌での臨床眼科学会では、日本眼科社会保険会議の主催するシンポジウムを開催した。予想以上の反響があったと思われるが、この企画は日本眼科学会総会と臨床眼科学会時にしばらく継続する予定であり、会員が社会的な面からも国民の医療を向上させる気概の一助になることを期待している。

 紙面の都合上、報告しきれない事がまだあるが、昨年末の医療費の3.16%の削減が決まり、一部新聞紙上で「眼科は儲けすぎ」という記事が出ている。財政再建、小さな政府、聖域なき予算削減が声高に叫ばれて、経済財政諮問会議の民間委員からは医療費は国民総生産(GDP)の5.6%に抑制すべきであるとの発言がある。妄言である。OECD加盟国でGDPと比較した現在の国民医療費は、日本は7.9%で17位であり、OECD加盟国の平均以下のレベルである。そのレベルをもっと下げろという発言であり、単なる数値だけの議論だけでしかない。

 このように医療費を抑制したならば、新しい検査や治療の導入は見送られ、混合診療や保険免責制度が新たに組み込まれることは容易に想像でき、国民皆保険制度の崩壊や貧富の違いによる治療内容の差別化が起こる恐れもある。国民皆保険を維持して医療の質を落とさず、国民の健康を維持する努力が個々人に求められている。

財団法人日本眼科学会
常務理事 竹内  忍

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