日本眼科学会:2006年眼科診療報酬改定について(110巻8号)
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2006年眼科診療報酬改定について

 この4月の診療報酬改定ではいくつかの大きな変化がありました。とくに、白内障手術(水晶体再建術への統合)、コンタクトレンズ診療評価の適正化、小児治療用眼鏡の保険適応、点数項目の大幅な整理統合などが目立った変化でしょう。私は改定の全体像について述べる立場にありませんので、これらのうち関わりのあったいくつかの項目について以下ご報告致します。

日本眼科社会保険会議
 昨年5号の大橋前理事および本年2号の竹内理事の「理事会から」に詳しく書かれていますが、今回は初めて日本眼科社会保険会議が担当した改定作業となりました。日本眼科社会保険会議とは、眼科の保険診療のあり方を包括的に議論すべく、日本眼科学会(学会)と日本眼科医会(医会)が共同で設立した組織です。従来、学会と医会は診療報酬に関して十分に意見交換を行ってきたとは言い難く、学会側(社会保険委員会→外科系学会社会保険委員会連合《外保連》→厚生労働省)、医会側(社会保険部会・委員会・全国会議→日本医師会→厚生労働省)ともに別々のルートから、独自の要望を行ってきました。
 本会の設立により、眼科全体の要望の一本化、情報の共有、交渉窓口の一本化がはかられ、当局との交渉が非常にスムースになりました。過去2年間の活動内容は本年2号に竹内理事が詳しく述べておられるとおりです。

白内障手術報酬の歴史的経緯
 白内障の診療報酬を歴史的に見てみると、眼内レンズが保険収載されていなかった時期は白内障手術が7,600点、眼内レンズは自費扱いで施設によって異なる代金となっていました(図1)。眼内レンズが保険収載された1992年には、白内障+眼内レンズ挿入術の診療報酬として16,100点となり、1994年に16,200と小改定されています。問題はここからで、2000年に16,200点から14,710点と9.2%の引き下げ、さらに2002年に12,065点へとさらに18%の引き下げとなりました。2回の引き下げを合わせると、25.5%という実に大幅な点数減だったのです。その後、2004年にもさらなる引き下げが危惧されたのですが、このときは変化なし。そして今回、2006年の改定を迎えました。

図1
図1

第一分科会
 日本眼科社会保険会議には4つの分科会があり、そのうちの第一分科会が白内障手術担当です。
 今回の診療報酬改定にあたり、第一分科会が最も重要視したのが、白内障手術と眼内レンズ手術を一連の手術として合体させること、また小切開創手術として点数を適正に評価してもらうことでした。また、眼内レンズの特定医療材料化は望まないとのスタンスをとりました。さらに、すでに行われていない古い術式を点数表から整理し、現状の臨床にあった構成に再編する点も要望しました。
 今回の改定は表1のように行われ、結果として我々の要望事項が相当受け入れられた形となりました。眼内レンズを挿入する場合の水晶体再建術は12,100点なので、これまでの8,350+7,430/2=12,065点から僅かながら増額しています。
 眼内レンズ挿入術という項目はなくなり、眼内レンズ二次挿入や縫着術などは水晶体再建術の1(眼内レンズを挿入する場合)で算定することになります。この解釈をスムースにするために、日本眼内レンズ屈折手術学会で水晶体再建術の定義を「水晶体の混濁、位置異常、欠損などを、外科的に再建すること。眼内レンズを用いる場合(1)と用いない場合(2)がある」のように定め、日本眼科社会保険会議にて承認の手続きをとりました。“欠損”に人工的な欠損も含めるという立場です。
 硝子体や緑内障、角膜移植術などとの同時手術においては、これまでは3つめの手術(通常は白内障手術7,430点)が全く算定されませんでしたが、今回の改定によりその矛盾点は解消されたことになります。

表1
改定前

白内障手術
 1.後発切開術
 2.嚢内摘出術
 3.吸引術
 4.超音波摘出術
 5.嚢外摘出術(後嚢研磨を含む)
 6.経毛様体扁平部水晶体摘出術
 7.後発白内障後嚢研磨術
眼内レンズ挿入術

改定後

水晶体再建術
 1.眼内レンズを挿入する場合
 2.眼内レンズを挿入しない場合
後発白内障手術

今後の課題
 今後の課題として、眼内レンズ費用の取り扱いと、ディスポ製品の保険収載の問題などがあります。眼内レンズについては、付加価値が高く高価なレンズが登場した場合に、現状の保険点数ではカバーしきれないという問題が懸念されます。米国では昨年5月からtwo aspect paymentという方法がMedicareに導入され、高額な老視対応眼内レンズを使用した場合に、通常のレンズ費用との差額を患者負担にできることになりました。例えば、市場価格が895ドルの老視対応(多焦点など)眼内レンズを使用した場合、Medicareでの通常のレンズ支払額は150ドルなので、その差額の745ドルを患者に直接請求することになります。混合診療の問題と絡め、我が国ではどのようなシステムを作っていくのか今後検討していく必要があります。
 ディスポ製品の保険収載は容易に認められるとは考えにくいところですが、硝子体手術用ディスポ製品の取り扱いと並行して、今後もこの問題は取り上げていく予定です。

白内障手術の価値を訴えていくこと
 今回の診療報酬改定過程でもみられたことですが、マスコミや他科医の中には、眼科の足を引っ張ろうとする動きがいつもあります。「生命を失う危険性が小さい診療科」や「手術時間が短い医療行為」の診療報酬を引き下げるべきとしたり、なかには「手術の診療報酬は傷口の大きさと比例させるべき」というような暴論を口にする外科医さえいます。これらに対し、眼科の立場をきちんと訴えていくことは、将来の盛衰を決する重要なことだと思います。
 白内障手術は、身体障害者の発生の予防、医療費の抑制、社会的支援費の発生や労働生産性の低下を回避することによって、年間5,600億円の社会的利益をもたらすと報告されています。また、白内障罹患によって患者の健康関連quality of life(QOL)は著しく低下しているが、手術によって劇的に改善することも最近の研究で明らかになっています。さらに、近年の技術革新によって、手術の際の患者の負担は非常に軽減されてきており、患者の身体的および視機能的な社会復帰も相当に早くなるなど、技術革新の恩恵は至る所に見て取れます。白内障手術が短時間で終わる簡単なもので価値も低いという、甚だ一面的で誤った情報発信の影響を払拭することは容易ではありませんが、心ある眼科医が力を合わせて取り組んでいかなければいけない問題です。

日本眼科社会保険会議の活動報告
 日本眼科社会保険会議およびその4つの分科会がどのような活動を行っているのか報告すべく、昨年の日本臨床眼科学会、本年の日本眼科学会総会にてシンポジウムを行いました。幸い多数の先生方のご参加いただき、活気のあるシンポジウムなりました。今後も形を変えて報告を続けていきたいと思いますので、皆様のご理解とご支援を宜しくお願いいたします。

財団法人日本眼科学会
常務理事 大鹿 哲郎

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