日本眼科学会:「眼底3次元画像解析」の保険収載と先進医療(111巻4号)
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「眼底3次元画像解析」の保険収載と先進医療

 眼科学会の社会保険委員会に関係して4年経ちましたが、平成18年度の診療報酬改定では、医療費は3.16%の削減が内閣府によって決められ、医療の現場はますます厳しい状況に置かれております。国はいつも国家財政が完全に破綻しており、財政再建のためにはすべての財政支出を見直すとのことで、特に医療費の増大の抑制は必要だと声高に訴えています。しかしながら、高齢化が進んでいる中で、ある程度の医療費の増大は必然であり、それを削減することは医療の質を落とすことに直接つながっています。そのような中で、平成18年度改定では、眼科学会および眼科医会からの保険適応として欲しいとしたいくつかの要望項目のなかで、第一番目に希望したのは「眼底3次元画像解析(OCT、HRI、GDXなど)」でありました。しかしながら、この検査の要望は本誌第110巻2号の「理事会から」にも書いたように数年来の要望でありましたが、またしても保険に収載できずに終わりました。

 この問題に対するその後の学会としての活動を知らせておくことは、開かれた学会および透明性を示す意味で重要と考え、今回その後の対応の経緯をお知らせしたいと思います。

 保険の収載が不可能と分かってからまもなく、日本眼科社会保険会議の分科会の中で、今後の対応をいかにすべきかについて、直ちに会議を開催いたしました(平成18年4月)。その結果、厚生労働省(以下、厚労省)を訪問して、現実的かつ具体的にこの要望を保険適応にするための方策について意見を聞き、助言を求めました。厚労省の考えは、厳しい財政状況の中にあっては、この検査を先進医療として申請し、当面は保険診療の中でこの検査を保険外診療として自費分を請求したらどうかというものでありました。従来、健康保険診療の中で、保険外に自己負担として患者に請求できる制度として、「特定療養費」制度というものがありました。よく知られているのが差額ベッドや食事の選択での自費分ですが、この制度は改正されて、現在では「入院時生活療養、保険外併用療法」制度となっています。さらにその中には、選定療養と評価療養というものができています。選定療養というのは保険収載を前提としないもので、入院中の差額ベッド、個別の食事代などがこれに当たりますが、評価療養は保険導入を前提とするもので、先進医療が該当します。

 つまり新しい技術は、一旦先進医療にあげて評価を行い、その結果をみて保険に収載するという考えです。先進医療とするためには、各医療施設(眼科専門医が必要)が地域の社会保険事務所に「眼底3次元画像解析」を先進医療として申請し、それが認められれば、保険診療とは別に「眼底3次元画像解析」の検査料を自費分として患者に請求できます。いわゆる混合診療に該当することになります。厚労省側からの説明によれば、それによって実施施設の数および検査件数が把握でき、検査の有効性、安全性、普及度が確認され、より透明性の高い状態で検査の実態が明らかになる。その結果、広く普及し、件数も多いとなれば、当然保険収載への圧力が高まり、保険適応となりやすいということでありました。そこで、日本眼科学会常務理事会および社会保険委員会で、先進医療に組み入れることについての議論を行いました。患者に自己負担を強いることになるが経済的余裕のある患者は検査を受けるが、そうでない患者は検査が受けられない可能性があり、結局は患者の差別化につながるので反対であるという意見がありました。これは日本医師会が混合診療に反対する理由と一致しています。正当な意見であり、誰もが同意するものでした。しかしながら、このままでは保険収載の見込みがまったくないこと、各医療施設における機器購入費や人件費の負担が限界にあることなどにより、保険収載を前提とした先進医療を選択する方向が確認されました。やむを得ない苦渋の選択でありました。

 その後、具体的な方策について、日本眼科社会保険会議の第3分科会(眼底関連など)、第4分科会(保険点数見直しなど)の合同委員会で緑内障関連の専門家も加わって、検討を行いました(平成18年8月)。その結果、早速一施設から「眼底3次元画像解析」を先進医療として申請してもらうこととしました。結局、平成18年12月8日の先進医療専門家会議で承認されました。今後は各医療施設が、それぞれの地域の社会保険事務所に「眼底3次元画像解析」を先進医療として申請し、承認を受ければ、検査費用を患者に請求できます。

 しかし今後、いくつかの問題が生じる可能性があります。まず、実際の医療現場で、いきなり患者から検査料を自費で請求するのに抵抗があるため、検査機器を持っている施設が先進医療を申請しない事態が考えられます。また、申請して認可を受けたとしても、患者の負担を考えると請求を躊躇し、その結果として自費分の請求件数が、実際の検査件数よりもかなり減少することも推察されます。そうなりますと、先進医療とすることで検査を施行している施設数や検査数が正確に把握でき、そのデーターを基にして普及度、有効性、安全性を評価し、保険に収載しようという道程が崩れるかもしれません。つまり、施行する施設や件数が少ないとなれば、保険への収載は必要ないと判断されてしまいます。もうひとつの問題は、自費分として請求する検査料は、基本的には各施設の判断で決めてよいのですが、将来的に保険に収載されるときには自費分を参考にして、検査点数が決められる可能性があるということです。つまり、患者から自費分としてあまり高額な検査料は取れないと考える施設では、低額の検査料金を設定するかもしれません。現実の医療現場では、高い検査料金を自費で払ってもらうのには、強い抵抗感があるのは十分に理解できます。しかしながら、低額の検査料で先進医療を行うと、保険適応になったときにそのまま低い点数が設定される可能性があります。ここに医療機関のジレンマがありますし、先進医療の選択に対する批判が生じるかもしれません。したがって、検査機器を持っている医療施設は、先進医療としての「眼底3次元画像解析」を必ず申請し、検査件数なども正確に報告していただきたい。それにより、早く保険に収載されることを願っています。

 個人的にも実際の診療場面で、次回からの検査は自費として徴収しますと言うのは抵抗があります。何人かの患者にすでに言っていますが、日本の医療の貧しさを実感します。そこでは、我々が希望したのではなく、現在の政府のやり方であると説明しています。これはまさに政治の問題であり、患者一人一人に医療状況を理解してもらうことにしています。医療費が削減になった結果がこれですよ、と説明しています。患者の反発は非常に強くなっているのが分かります。

 今後の新しい検査や治療技術がそのままでは保険に収載されず、一旦は先進医療に載せてから評価することになると、自費分としての検査や技術が増え、患者の不満はさらに大きくなると危惧されます。しかし、それらの不満や不合理は医療機関に向かってなされるのではなく、行政そのものであると指摘する必要があります。国民皆保険制度を守り、患者を差別しない医療制度を構築し続けることの大切さを感じます。経済効率ばかりが優先し、心の豊かさが削り取られるような社会になっている思いがあります。誰でも健康でありたいという気持ちはあり、医療制度がその保障を少しでも与えることができれば、不安も軽くなるでしょう。広く国民に啓蒙する必要がありますが、まず自分の周りから始めることにしましょう

財団法人日本眼科学会
常務理事 竹内  忍

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