日本眼科学会:理事会から(111巻9号)
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理事会から

1.情報発信
 私は日眼理事としては新米で、新入局員のようなものです。記録担当理事を拝命しました。前任は大鹿哲郎現専門医制度担当理事で、日眼のウェブサイト(ホームページ:HP)のリニューアルに多大の貢献をされました。今の日眼HPはかなり完成されたものになっています。しかしHPは情報発信の場としてますます重要なものになっており、テレビや新聞に取って代る情報媒体になる可能性を秘めています。というか既に取って代りつつあります。新しいと思っても油断して更新しないとたちまち古くさくなってしまうのがHPです。日眼のHPも日々進化することが求められています。

 「ログイン」による会員専用ページは現在までに1万3千人強の会員のうち5千人余りが利用しています。もうすぐこのページを利用していない人の方が少数派になりそうです。今のところは会員情報と専門医取得単位の確認、専門医単位取得関係情報が主な機能です。これらのページもさらに色々な機能追加をはかってゆく必要があると思います。色々な疾患のガイドライン、用語集、診療報酬点数表、先進医療に係る届出様式など、さまざまな書類がダウンロードできるようになっています。一般向けのコンテンツとして「目の病気」の解説ページがありますが、今年5月の1か月だけで77,000件強のアクセスがありました。アクセスした一般の方全員がじっくり読んでいるわけではないでしょうが、市民公開講座を開いても、たくさんの市民に来てもらうのに苦労することを考えると、情報発信手段として軽視できないことがわかります。

 日眼誌のデジタル化とHPへのアップロードはこれからの課題の一つですが、他にもいろいろあります。個人的には日眼総会と臨眼の抄録を検索できればと思うことがあります。生涯教育に役に立つHPにしてゆくことが必要と思います。会員向けと同時に重要なものが一般向けのコンテンツです。「目の病気」に多数のアクセスがあることをみて分かるように、HPは眼科を一般の方に向けてアピールする重要な場です。一般の方に理解されなくては、政府に対する要求も通りません。医学生や研修医も自分の将来の仕事を決める上で重要な情報源になっている可能性があります。この面でもアピールする必要があると思います。眼科は楽な科である、眼科医は過剰である、などの誤った情報が医学生の中にあることも事実です。ベッドサイドに回ってきてその誤りに気付く学生もいますが、情報をネットに頼る若い世代には正しい情報をネットで配信することが重要と思います。

2.日眼戦略企画会議
 本巻6号の「理事会から」で樋田哲夫前庶務担当理事が日眼戦略企画会議について報告されています。詳細はそこに述べられていますが、今後すべての眼科医にとって無関係でない改革が行われようとしています。眼科研修教育プログラムの質的向上、生涯教育の充実、専門医資格認定と更新制度の改善、基礎および臨床研究の推進、政府機関・他領域の学術団体・国民とマスメディア・海外の眼科学会組織などとの相互理解、そして日本眼科医会と共同で事業を推進することなど、幅広い議論が行われつつあります。これらの事業を推進する際に、情報発信手段としての日眼HPは重要な役割を果たすと考えます。1万3千人強の日眼会員の中には、大学で基礎研究に没頭する大学院生もいれば、市中病院で臨床に専念している先生もいます。開業して地域医療に貢献する先生もいます。産休、子育てで一時的に眼科医としての活動を休止している先生もいます。ネット社会ではさまざまな情報が都会でも地方でも簡単に手に入ります。それでも情報格差は存在します。それは同じ情報に接していても、自分に関係がないと思う情報には耳をふさいでいるからです。基礎研究に没頭する先生は眼科医療の保険点数にはあまり興味がないでしょうし、臨床に専念する開業医の先生は日本から発表される英文論文の数には関心が薄いと思います。しかし、日本の眼科全体を盛り上げてゆくことは、どのような立場の先生にとっても無関係なことではありません。自分に関係ないと思ってもさまざまな情報に目を通してください。

3.地域医療の危機
 新医師臨床研修の義務化で、地方の大学病院に所属する研修医数が激減したことは周知のとおりです。地方の医療はまさに危機的状況で、崩壊しかかっていると言っても過言ではありません。しかし、ここでも情報の格差が存在しているようで、都会の先生は、地方医療の現状についての情報にあまり関心がないようです。地方にいると眼科医が過剰であるという実感は全くありません。東北、北海道地方には半径数十kmで数万人の人口圏(老人比率が高い)なのに病院常勤の眼科医がいない、開業医もほとんどいないような地域が多々あります。電車の各駅ごとに眼科開業医がいる都会ではまた違った実感と思います。実感というものがいかに当てにならないかは、臨床でも大規模スタディを通して明らかになっています。臨床での実感ではなく、エビデンスに基づいたデータが重要なことは言うまでもありません。大橋裕一現社会保険担当理事もこの「理事会から」に書かれていましたが、日眼は今まで適正な眼科医数と地域バランスについて深く検討してこなかった面があります。それぞれの地域の実感ではなく、データに基づいた検討が必要ではないかと思います。良質な眼科医療を国民全体に普及させるためには、地域間のアンバランスを解消することが必要です。そのために個々の大学の研修医数に適切な上限枠を設け、全国レベルでのマッチング制度の導入を真剣に検討する時期に来ているのではないかと思われます。日眼では研修の質を標準化することを目的として、各施設に研修カリキュラムの提出を義務付け、プログラム研修施設における一定期間の研修を専門医取得の必須条件に組み入れる仕組みをスタートさせました。研修を標準化し、どこにいても同じ研修ができる制度は、この目的の前提になると思います。

 格差社会といわれて久しい政治状況で、都市と地方の格差是正が重要な政治課題となっています。一般の若者は地方に就職先がなくて都会に出てゆきます。これを解決するのは政治の問題です。しかし、医師には就職先がないということはありません。各病院は医師確保に奔走しているのが地方の実態です。地方には都会にないメリットもたくさんあると個人的には思いますが、直面する地方の医師不足は眼科に限らず深刻です。人口1千人当たりの日本の医師数が、2020年には経済協力開発機構(OECD)加盟30カ国中最下位に転落する恐れがあることが報道されています(2003年でみても、下から4番目という低水準です)。医学が進歩し、昔は手の施しようがなかった患者の治療も可能になり、手術の適応も各方面で拡大しています。一方で患者への説明は昔とは比べものにならないほど詳細に行うことが求められています。さらに老年人口は昔より加速度的に伸びています。確かに眼科医数は昔より増えていますが、需要はそれでも追いつかないほど増えていると思います。結局、日本の医師数は国際的にみてこの需要を満たすには達しておらず、眼科医数も一部の都会はいざ知らず、地方は圧倒的に不足していると思います。地方の大学はこのままの状況が続けば、国民全体に良質の眼科医療を提供するという、最低限の役割も果たせなくなってきます。どうすればこの危機を回避できるのでしょうか?都会の先生も自分に関係ないと思わずに一緒に議論してゆくべきと思います。

財団法人日本眼科学会
常務理事 吉冨 健志

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