日本眼科学会:理事会から(112巻3号)
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理事会から

 日本は世界有数の経済大国として、あらゆる面でグローバルに活躍してきました。世界のどんな奥地に行っても、いつも誰か日本人と会うことが多く、とても驚かされたものです。特に日本人離れした若者の生き生きとした現地での活動ぶりは非常に頼もしく、日本の将来は前途洋洋といった感じでした。ところが、最近は経済の衰退とともに、その自信も誇りもかなり怪しくなって、日本全体がぐらつき始めております。大変残念なことです。

 その原因には複雑に絡み合った多くの要素が関係しているのでしょうが、これが教育、学問、研究の世界にまで影を落とすようでは、日本の将来が本当に心配です。2006年に経済協力開発機構(OECD)が世界の57か国や地域を対象にして行った学力調査の結果をみますと、日本の高校1年生の学力は「科学的応用力」が6位、「数学的応用力」は10位、そして「読解力」は何と15位でした。そのうえ、調査のたびに日本の学力順位は低下の一途です。さらに悲しいことには「科学に興味がある。科学関係の仕事に就きたい」という高校生はわずかに7.8%であり、57か国中で最低でした。このような若者の学力低下、科学離れの現実は、もうすぐ日本の生物学研究、基礎医学や臨床医学研究のレベル低下にまで直結する恐れがあります。しかし、眼科学の世界では、日本が果たさなければならない任務はいまだ非常に大きいものがあります。

 学問、研究の発展には、優秀な人材に加えて、しっかりとした財政的な基盤、支援がどうしても不可欠です。この点では、最近経済発展の著しい中国やインドが科学予算への支出を順調に伸ばし、世界的にも大いにその業績を高めつつあります。

 例えばお隣の中国を例にしてみると、毎年夏に開かれる中華医学会全国眼科学術大会への参加者は、以前は1,000人規模であったのですが、参加者は年々増加し、最近はついに3,500人を超す大きな学会に発展しつつあります。しかも大都市圏からだけではなく、中国奥地の遠い地域からも参加者がみられるようになり、国力の高まりと平行して中国眼科学レベルの著明な向上は今や誰の目にも明らかです。

 昨年8月に河南省の鄭州市で開かれた第12届全国眼科学術大会は中国眼科学発展のよい一例です。その中で「自由論文」という口頭発表は715題に及び、「展板展示」というポスター発表の1,168題を加えると、何と1,883題という多数の学術発表が行われました。また、口頭発表では左スライドが中国語、そして右スライドは英語で発表される規則のため、中国語が分からない海外からの参加者も容易に発表内容を理解できる仕組みです。この点、中華眼科学術大会は以前から学会そのものの国際化を図っており、とても感心させられます。この他のプログラムとしては特別講演が40題もあり、日本からは新家 眞理事長が日本を代表して講演されました。注目されることはこの40題の中で29題(73%)は海外からの招待講演者であり、各専門領域の世界での最新トピックスを直接拝聴できることです。しかも、29人中12人は中国系のアメリカ人やシンガポール人であり、この点は日本には真似のできない中国の世界を網羅した底力を感じさせます。最近では中国系のアメリカ人眼科医だけではなく、アメリカへ留学した中国の眼科医がそのままアメリカに留まらず、博士号を取得後に中国に帰り、母国の眼科医療レベルを一層押し上げております。

 このことは、決して単に中国一国だけではありません。インドや韓国、台湾をはじめ、他のアジア諸国の眼科学基礎研究、臨床研究、さらには日常の眼科診療レベルが目覚しく進歩、発展しており、大変嬉しいことです。これまで日本眼科学会が率先してアジアをはじめ、世界の眼科学研究、眼科医療の向上・発展に貢献してきた成果でもあります。

 しかし、日本の眼科学そのものが現在のままで全く心配がないとは残念ながら言い切れません。新しい診断機器、あるいは新規治療薬、予防法などがすべて欧米諸国由来のものであったり、アジア諸国から発信されたものであれば、我々は常に膨大な特許料の支払いを余儀なくされ、日本での自由な使用はできなくなってしまいます。

 日本眼科学会は若くて有能な日本人眼科医をさらに一層育成するとともに、日本オリジナルの眼科学研究成果を世界に向けて発信するためにも、教育プログラムの充実に向けて、大いに努力を継続してゆく必要があると感じております。

財団法人 日本眼科学会
理事 大野 重昭

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