日本眼科学会:理事会から(112巻6号)
日本眼科学会 Japanese Ophthalmological Society
サイト内検索
検索方法
English HOME English English
会員専用コンテンツMY NICHIGANDEX
サポートセンター
HelpMY NICHIGANDEXとは?
MY NICHIGANDEXへログイン
お問い合わせ サイトマップ
メインナビゲーションを飛ばす
Home会員のみなさまへ理事会から > 理事会から(112巻6号)
会員のみなさまへ
コンテンツインデックスへ戻る
学術集会
専門医制度
生涯教育
ガイドライン・答申
各種手続
学会誌
理事会から
日本眼科社会保険会議
学術賞・助成金一覧
眼科関連学会

理事会から

 1966年にアメリカ大陸を2か月にわたりGreyhound Busで一人旅をしました。その頃、日本円は固定相場で1ドルが360円であり、アメリカでの実勢相場は420円でした。今の時代からは想像もつきませんが、当時の大蔵省に外貨割り当ての申請をして許可をもらい、さらに出国に当たっては、日本円を持ち出していないかを中心とする税関検査がありました。40年以上経った現在、海外に旅行することはビザさえも必要なくなり、全く自由に往来できるようになってきました。一部の国を除き、ほとんどの国を国内旅行の感覚で旅することができます。このように世界が一つになってきていることが、かつての日本を知っているだけによく分かります。逆に私達が今日失いつつあるのは、海外に対する憧れかもしれません。外国が遙か遠い存在であった時代、Parisは文化の中心と信じていましたし、美味しいロブスターはBostonに行かなければ食することができませんでした。

 私たちが学生だった頃、教授から紹介された基本的な教科書はほとんどが英語のものでした。医学部学生の数が増えたことやライフサイエンスの台頭で生物学の研究者が増えたこともあって、医学書の発行がそれなりにビジネスになるだけの市場サイズをもつようになり、有名な海外の教科書が翻訳されるようになりました。医学を学ぶのに外国語はあまり必要ない時代がやってきたのです。しかも医療現場では、分かりやすく説明することという社会の要請の中で、外国語は益々その地位を失ってきています。世界中で医学や生物学はかつてないほどの速さで進歩しています。治療薬の開発や診断機器などの進歩にも著しいものがあります。これらは企業による翻訳された情報や雑誌から学ぶことができ、さらに日本語での総説や解説がどの雑誌にも山ほど出ています。つまり海外の進歩を取り入れる点では、日本語で十分やっていけるわけです。

 私達は英語をイギリスやアメリカの国語として学んできましたが、今日では英語が世界共通の言語(世界標準語)として用いられています。世界中の情報を日本に取り込むには、翻訳という過程を得れば何も不自由なく行える時代です。しかし、逆に我が国の文化や学問の進歩を世界中に知ってもらうためには、日本語という1億2千万人しか用いない言語は大変なハンディと言えます。ごく一部の人を除けば、日本語での情報は世界ではほとんど顧みられることはないと言えましょうし、これが現実なのです。日本という閉鎖した社会の中だけでは日本語でのみ会話をして意思の疎通を図ることができますが、地球規模の観点からは、日本語での情報は極論すればないに等しいのが現実です。昨年の日眼総会で特別講演をさせていただき、そのときの総説論文を日眼会誌に投稿しました。韓国の若い先生から、講演を聴いたが60%しか理解できず、今回論文を読んで理解することができたので、今、韓国語に翻訳して自分の周りの人に読むように勧めているという連絡をいただきました。とても有り難いことです。しかし、これは海外のごく一部の日本語を理解できる方だけの話で、一般的には日本語の論文はたとえどのような労作であっても世界の学問の流れの中ではほとんど意味を持たないのが現実です。

 日本眼科学会はJapanese Journal of Ophthalmologyを発行することで世界に向けて情報発信していますが、同時に年次総会の世界への開放が必要であると考えます。総会は会員のためにあると言えばそれまでですが、世界の眼科学や臨床眼科の発展に貢献している日本の眼科を世界に向けて公開しない手はないと思います。アジアの諸国、特にかつてイギリス領であった国々は英語が公用語であるという利点から、今日大きく世界の舞台に登場してきています。単に言語の障壁のために、高い学術水準の我が国が無視されていくのは寂しいことです。日眼総会も臨眼もともに日本眼科学会のプログラム委員会の管理で計画されるわけですから、この際思い切って春の日眼総会だけでも完全に英語を公式言語とする学会にして、世界中特にアジアの眼科医の参加を促すような試みも必要ではないかと考えます。いずれにしても、日本語だけの世界はこれから益々小さな世界になってゆき、日本語が一方言にしか過ぎない時代が来ることは目に見えています。言語の障壁を取り除くことにより大きく世界に情報を発信し、世界の学問の中で日本の地位を確保するために行動する時期にきていると思います。

財団法人 日本眼科学会
理事 西田 輝夫

メインナビゲーションへ戻る
このページのトップへ
お問い合わせ利用規約プライバシーポリシーアクセシビリティ
Copyright © 公益財団法人日本眼科学会 All rights reserved.