日本眼科学会:理事会から(112巻7号)
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理事会から

 私は日本眼科学会の理事として戦略企画会議において多施設共同研究を担当しています。その立場から日本の多施設共同研究について述べてみたいと思います。

 現在、臨床研究で第1級の評価を受けるものは、多施設共同比較試験です。多施設共同比較試験はある治療法の効果をプラセボあるいは無治療と比較することで有用性を検証しようとするものです。必ずしも無作為化する必要性はありませんが、無作為化された試験、とりわけ二重盲検のものが高く評価されます。それは、優れた臨床試験の成果が、“エビデンス”としてそれ以降の眼科臨床に道標となることが多いからに他なりません。臨床試験は、平成18年以降は症例エントリー以前にNIH(米国国立衛生研究所)などの臨床試験データベースに登録しないと一流の雑誌には掲載されないことになりました。日本だと東京大学にあるUMIN(大学病院医療情報ネットワーク)がデータベース役を担っています。

 緑内障分野では、多施設共同臨床研究の成果が近年開花し、正常眼圧緑内障、高眼圧症を含むすべての病型で眼圧下降が有用なことが明らかにされています。このエビデンスを得た多施設共同臨床研究のいくつかは、頭文字で、OHTS、AGIS、CNTGS、CIGTS、EMGTなどと呼び慣わされています。例えば、その一つ、AGISはAdvanced Glaucoma Intervention Studyの略ですが、AGISには研究資金がNEI(米国国立眼科研究所)などから拠出されていました。また、AGISの研究実施の調整役にはある民間企業が参入しており、その企業の調整の下に、12の臨床施設が研究を進めていく形となっていました。研究予算も潤沢で各施設には研究専門の事務職員が複数配置されていたわけです。振り返って日本を観てみますと、臨床研究を行う場合にも、NEIに相当する研究費配分を行う機関はなく、企業主導のものを除けば、予算は省庁などの科学研究費等を当てにするしかなく、また、各臨床施設ではそれこそ手弁当で勤務時間外にデータ収集作業を行ってきました。今まではそれでもよかったのかもしれませんが、こうした現状では諸外国に伍していくことはできない時代となっているのです。

 そこで日本眼科学会では日本発のエビデンス作成など、実施する価値の高い多施設共同研究を援助推進することにいたしました。対象は国内で実施する多施設共同試験で、特定の研究者や企業の関心事でなく、多くの日眼会員の利益になる研究です。今回その初めての事業として、Value-based Medicineに関する多施設共同研究を推進することになりました。これは上述の公的データベースに登録する比較研究とは異なり、一種のコーホート研究になるかと思います。本研究の概略を紹介しますと、白内障手術の日常生活機能や生活の質改善に対する寄与を効用値(健康状態を数値化したもの)あるいはQALYs(quality adjusted life years:クオリーズ)というパラメータで判断し、白内障手術の意義を社会医学的あるいは医療経済学的な観点から評価することを目的とする研究です。具体的には、日本眼科学会のValue-based Medicine戦略ワーキンググループの山下英俊委員長が中心となり、全国の10程度の施設で、約600例の白内障患者を対象とし、白内障手術前後にQOLに関する質問表に回答してもらい、そこから視機能変化と効用値やQALYsの変化の関係を導き出すことになります。本研究は日本の眼科医療の水準が高いことを実証し、そのことを眼科以外の医療界、一般社会に対してアピールする機会を提供しうる可能性を秘めており、日本眼科学会として、日本眼科医会と協力して推進することの意義は大きいと判断できるのです。

 現在進行中の研究に関して述べましたが、日本眼科学会の多施設共同研究に対する立場をご理解くだされば、他の研究に関しても同様の支援がなされることは容易にご理解いただけることかと思います。従来主流であった個別施設における臨床研究の価値が低下しています。国際的な情報発信という点から観ても、質の高い多施設共同研究が求められています。そうした研究に日本眼科学会として十分な援助ができるよう取り組んでまいりたいと思います。

財団法人 日本眼科学会
理事 山本 哲也

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