日本眼科学会:利益相反(113巻6号)
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利益相反

 会員の皆様は、「利益相反」あるいは「利益の衝突」という言葉を聞かれたことがあると思います。一般には「利益相反」という言葉を使用しますので、ここでは「利益相反」としますが、日本眼科学会としても利益相反に対応する必要が出てきました。これは、社会の変化にともない、医師や研究者が営利企業の活動に関与する機会が増加していることによります。

 具体的な例を考えてみましょう。例えば、日眼会員である私が、ある製薬会社の薬品には特定の有効な効果があると日眼総会で発表するとしましょう。このとき、私がその製薬会社から研究費を受けていれば、その研究費を得ることによって私の研究活動を円滑に進行させることが可能となりますので、日本眼科学会の目的である「眼科学の進歩発達を図り、もって学術の発展に寄与すること」ことよりも個人の利益を優先させてしまう可能性があります。もちろん、私が如何に信念に基づいて発表をしたとしても、その発表内容に微妙なバイアスがかかってしまう可能性について100%否定することはできません。あるいは、私がその製薬会社の競合企業から研究費を得ていたとしたら、その発表に逆のバイアスがかかっている可能性も否定はできません。

 このように、利益相反は厄介な問題を発生させる可能性がありますが、利益相反状態をなくすことは不可能です。それには、すべての産学官連携を止めることが必要となり、却って社会に不利益をもたらす結果につながります。したがって、利益相反をなくすのではなく、どのような利益相反が発生している可能性があるかをきちんと開示する必要があるということになります。先ほどの例によれば、私が発表のときにその製薬会社から研究費を受け入れている事実をきちんと開示すれば、会員は可能性のある利益相反状態を認識できますから、発表の意義をそのつもりで判断するということになります。

 それでは、具体的にどのような産学官連携研究を行っている場合にその事実を開示する必要があるのでしょうか?学会が明確な基準を示すことなく、各研究者の判断で開示をしたりしなかったりというわけにはいきません。しかし、その基準を日本眼科学会が独自に作成することは容易ではありません。研究者の利益相反という考え方が生まれた米国では、これまでにいくつか困った事例を経験してきています。そして、卑近な例をあげれば、代表的な眼科の学会であるARVO(The Association for Research in Vision and Ophthalmology)はかなり長い年月をかけて、この利益相反の問題を議論してきました。そして、現在の形に落ち着いたわけです。米国の経験は日本眼科学会での利益相反を議論するときにも大いに参考になるはずです。また、日本では既に厚生労働省が医薬品の承認審査にかかわる委員について利益相反の開示基準を定めています。一部には先行して利益相反の規程を細かく定めた学会もあるようです。このような例を参考に日本眼科学会の利益相反の規程が定められました。

 利益相反は、企業から研究費を受けていることだけを指すのではありません。誌面の関係から詳しくは述べませんが、もう一つの利益相反に責務相反といわれるものがあります。私は日本眼科学会の会員であると同時に京都大学の職員です。私は日眼会員である責務と京都大学の職員としての責務の両方を果たす必要がありますが、場合によっては、日本眼科学会と京都大学との間に利益の衝突が起こることが考えられます。このような状態を責務相反と呼びます。この他にも利益相反は比較的広い範囲の問題を含んでいます。これから一定の準備期間を経て、利益相反の開示が求められる時代になっていきます。会員の皆様には、利益相反に関する基礎的知識を勉強していただく必要があるようです。

財団法人日本眼科学会
理事 吉村 長久

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