日本眼科学会:理事会から(114巻10号)
日本眼科学会 Japanese Ophthalmological Society
サイト内検索
検索方法
English HOME English English
会員専用コンテンツMY NICHIGANDEX
サポートセンター
HelpMY NICHIGANDEXとは?
MY NICHIGANDEXへログイン
お問い合わせ サイトマップ
メインナビゲーションを飛ばす
Home会員のみなさまへ理事会から > 理事会から(114巻10号)
会員のみなさまへ
コンテンツインデックスへ戻る
学術集会
専門医制度
生涯教育
ガイドライン・答申
各種手続
学会誌
理事会から
日本眼科社会保険会議
学術賞・助成金一覧
眼科関連学会

理事会から

理事会から

 眼科領域では蛍光眼底造影は各種網脈絡膜疾患の診断、治療方針の決定や治療効果の判定に不可欠であり、広く一般に行われている検査法である。蛍光眼底造影を適切かつ安全に行うための実施基準が平成13年に日本眼科学会による指針として松井瑞夫氏(日本大学名誉教授)らによりまとめられた。それから9年の歳月が流れ、撮影装置は進歩し、副作用予知の検査法についての考え方が変化し、より確実な副作用対策が求められるようになった。その点で、平成13年に策定された実施基準は現状に即応しているとは言いがたく、今回実施基準が改訂される(平成23年1月号掲載予定)。

 主な変更点とポイントは以下のとおりである。

 1.造影剤による副作用対策
 造影実施前の皮膚テストの有用性について日本医学放射線学会ヨード造影剤テストに関する検討委員会報告、日本化学療法学会の提言、平成20年厚生労働省重篤副作用疾患別対応マニュアルでは、皮内反応などの皮膚反応によってショック等を十分には予知することができず、皮膚反応では真にアレルギーを有するものより偽陽性を生ずるものが圧倒的に多く、一般的に実施されている皮内反応について実施する意義が乏しいことが記載されている。また、医薬品・医療機器等安全性情報では、日本化学療法学会で皮内反応の推奨中止以降、必ずしもショック等の発生割合が明らかに増加したとは言えないこと、および皮膚反応陰性例でもショック等の発生が報告されていることが記載されている。そこで、造影実施前の皮膚反応やショックの生じる可能性のある場合のステロイド前投与については削除し、十分な問診の実施とショック等の早期発見、および早期治療への準備を徹底するよう内容を変更した。

 2.アナフィラキシーの早期発見と二相性アナフィラキシー
 蛍光眼底造影は暗室で、座位で行われる。アナフィラキシーの早期発見のためには患者に対する細心の注意が必要である。多くの場合、最初に現れるのは皮膚所見(四肢体幹の蕁麻疹様発赤、顔面の発赤、浮腫)と血圧低下である。初期症状としては、不安感、金属臭・金属味、倒れそうな感じ、めまい、発汗がみられる。アナフィラキシーから心停止までの中央値が発症後5分から15分であることから、静注開始後から10分間は症状を見逃さないよう特に詳細な患者の観察が必要である。

 アナフィラキシーの早期治療に成功した後、数十分後から数十時間後に血圧低下、喉頭浮腫、気管支痙攣、皮膚症状(二相性アナフィラキシー)が出現することがある。そこでアナフィラキシーになった場合には可能であれば24時間の入院、さらに48時間は連絡がつく体制にすべきであることを追記した。

 3.アナフィラキシーの治療
 眼科医には重篤なアナフィラキシーの治療は無理である。しかし、眼科医でも初期治療は必要である。そこで今回の実施基準では治療についての記載を増やした。

 アナフィラキシーと診断したら、直ちに人を集める、または院内救急蘇生チームを召集する。治療のポイントは第1にアドレナリンと補液と酸素である。アナフィラキシーでは循環血液の血管外漏出が起こり、発症10分後までに循環血液が50%まで血管外に漏出することがあるので、血圧低下があれば下肢を挙上し、最大限に補液する。アドレナリンは成人では0.1mgを静注する。エピペン®は蜂に刺された人が自己注射するための筋注用アドレナリン(0.3mg)であり、ストッパーを外しそのまま使用でき、使いやすいので、人手の少ない場合には常備しておくとよいかもしれない。

 4.厚生労働省への副作用報告
 平成13年度の実施基準作成の際には、厚生労働省への副作用報告がきわめて少ないことが指摘された。今回の基準改訂のために調べたところ、平成13年1月から平成22年3月までの約9年間にフルオレサイト®についての重症例の報告は69例あり、うち6例が死亡であった。オフサグリーン®では平成14年8月から平成21年3月まで14例の報告があり、うち12例に起こったショックはいずれも回復している。

 より確実な副作用対策および実施基準の作成には副作用報告は必須である。中等度以上の副作用については医療安全報告を励行するようにしたい。

 老齢人口の増加と疾病構造の変化に伴い、今後蛍光眼底造影を必要とする高齢者が増えると予測される。適切に、安全に蛍光眼底造影を実施するためにぜひ「本文」を一読していただきたい。

 最後に、実施基準の改正にご尽力くださいました光畑裕正教授(順天堂大学医学部附属順天堂東京江東高齢者医療センター麻酔科・ペインクリニック科)に深謝します。

財団法人 日本眼科学会
理事 湯澤美都子

メインナビゲーションへ戻る
このページのトップへ
お問い合わせ利用規約プライバシーポリシーアクセシビリティ
Copyright © 公益財団法人日本眼科学会 All rights reserved.