日本眼科学会:理事会から(115巻1号)
日本眼科学会 Japanese Ophthalmological Society
サイト内検索
検索方法
English HOME English English
会員専用コンテンツMY NICHIGANDEX
サポートセンター
HelpMY NICHIGANDEXとは?
MY NICHIGANDEXへログイン
お問い合わせ サイトマップ
メインナビゲーションを飛ばす
Home会員のみなさまへ理事会から > 理事会から(115巻1号)
会員のみなさまへ
コンテンツインデックスへ戻る
学術集会
専門医制度
生涯教育
ガイドライン・答申
各種手続
学会誌
理事会から
日本眼科社会保険会議
学術賞・助成金一覧
眼科関連学会

理事会から

理事会から

 明けましておめでとうございます。本年も日本眼科学会をよろしくお願い申し上げます。

 日本眼科学会は1897年に創立され、今年で115年目を迎えます。1897年というと明治30年です。2年前に日清戦争が終わり下関講和条約が結ばれ、日本も帝国主義に参入した時代です。前年には第1回オリンピックがアテネで開催されています。正岡子規が、「柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺」と詠んだのもこの頃です。勝 海舟はまだ存命で2年後に没しています。同じ年に京都帝国大学が設立されています。日本に国家、国民という概念が浸透しはじめ、国威が発揚していた時期です。日本眼科学会創立時の河本重次郎先生の言葉は前回も紹介しましたが、平易に訳すると、眼科の影響力は、単に一家族の家計のみならず国家の盛衰にも及ぶ。およそ文明国において眼科を軽視する国はなく、眼科を軽視する国は盲国であり亡国につらなる。その国の眼科の発展は国家の名誉である、というもので日本眼科学会においても意気盛んな時代背景を窺うことができます。当時の会員数は600名弱であったようです。

 現在会員数は14,000名を超えています。この数字は眼科の発展とニーズを反映するものですが、会員数の増加と眼科学の進歩とともに日本眼科学会の役割も変化していきます。昭和3年、日本眼科学会は財団法人になり、寄附行為には法人の目的は、眼科学の進歩発達を図り、もって学術の発展に寄与することであり、この目的を達成するために、眼科学に関する研究発表会、講演会および維持会員啓発のための総集会等を開催する、「日本眼科学会雑誌」および眼科学に関する学術書を刊行する、その他目的を達成するために必要な事業を行うとなっています。この寄附行為に則り、日本眼科学会は学術団体として我が国の眼科学の発展と教育に主導的牽引力を発揮し、その成果は今日の眼科研究レベルの高さと失明率の低さとして具現化されています。

 しかし、一方で学会の活動が内的、学問志向に偏っていたことは否めません。法人の所轄官庁が文部科学省であったために主目的が学術発展に置かれ、厚生労働省に属する医療に関する文言は目的に盛り込みにくかったのではないかと推測します。21世紀を迎えグローバルな情報化が進む中で、社会の医療に対するニーズは急速に変化し、学会にもより社会に向けた情報の提供、高度の透明性と説明責任が要求されるようになりました。時に如何ともしがたい厳しい状況も伴いますが、それに応えなければ社会の理解は得られず支援が得られません。我が国のほぼすべての眼科医が所属し、我が国の眼科学と眼科医療の方向性を決定する責任ある集団が、社会と会員のニーズに応え、積極的な支援を得なければ我が国の健全な眼科の発展はありません。そこで、学会の新しい方向性を定めるために平成18年に故田野保雄先生の発案のもとに戦略企画会議を立ち上げ、幾度かのブレインストーミングによる討議を経て日本眼科学会のあたらしい使命、将来への展望、基本戦略方針、到達目標が決定されました。現在、戦略企画会議は新家 眞実行責任者のもと第二期に入り、その内容は既に日本眼科学会雑誌、ホームページに報告してきました。新年にあたり再度お目通しいただき、ご意見を賜れば幸いです。

 さて、平成21年に定められた日本眼科学会の使命は、「失明を予防し、国民のQOLを向上するために眼科学と視覚科学を推進し、眼科学教育制度を充実し、会員のニーズを満たし、眼科医療を進歩させる」ことです。生涯教育、専攻医教育の充実は最重要課題であり、これは専門医制度と関連してきます。急速な眼科診療の進歩を遅滞なく吸収し日常診療に還元するには弛まぬ自己研鑽を積まねばなりません。光干渉断層計や抗血管内皮増殖因子抗体治療などが日常化しましたが、これらの知識を学生講義で系統的に学ばれた眼科医は少なく、導入施設以外の眼科医は独自で勉強せねばなりません。学会としてはその機会を総会における教育セミナーや日本眼科学会雑誌で繰り返し提供していますが、さらにホームページなどを通して充実していく必要があります。ホームページは随分進化しました。学会情報のみならず、診療ガイドラインから最新論文の紹介、医政ニュースまで眼科関連の最新の情報を得ることができます。American Academy of OphthalmologyのO. N. E. Networkにもアクセスでき、世界の標準を知ることもできます。Japanese Journal of Ophthalmologyもオンライン化していますし、眼科情報収集の最速手段として会員のニーズに近づきつつあると思います。昨年からはメールマガジンの発信も始めました。現在は個人情報開示の問題から希望される会員だけへの発信に留まっていますが、内容を充実することで会員全員の情報源になり、やがて双方向のやりとりもできるように発展すると思います。

 日本眼科学会の専門医制度は高い評価を受け、他科の手本にされており、眼科専攻医の質的向上に貢献しています。しかし、日本の専門医、認定医制度をみると実に多種多様な学会が独自の基準で制度を設立しています。社会的にみるとこれらは、あるグループが身内だけで身内を評価する制度で基準に偏りがあると言われても仕方ありません。現在、平成27年を目処に全科に共通する基準による、中立的立場の第三者機構が評価する専門医制度が設立準備中です。臨床科を基本科目に分け、当該科全般の研修を終えた認定医の上に、専門化された分野の専門医をつくる2段階方式が素案に挙がっています。外科などでは個人の実際の手術症例と成績を毎年報告し、研修施設も適性度をチェックし、分野によって必要な医師数、研修医数も規制していくなどの案があります。内科や外科といった大きな科の制度が、既に専門に特化している眼科になじむのか、十分な擦り合わせが必要です。しかし、このような壁を乗り越え社会的承認を得ないと、我々が要求する専門医への診療報酬上の付加価値も認められないという状況です。

 分子標的薬の開発にみられるように新しい治療の開発には基礎的な研究基盤が必要です。殊に昨今の先鋭化した基礎研究を臨床に応用するにはトランスレーショナルな研究が必要で、この分野では臨床系大学院が大きな役割を果たしてきました。我が国の研究レベルを支えるために大学院の役割は重要です。しかし、昨今の眼科専攻医の減少と大学離れにより眼科大学院生の数が減少しています。多くの大学で臨床と教育に追われ研究に割く時間がなくなっています。これは眼科のみならず全科に共通した問題で、博士号より専門医資格という価値観が定着しました。医局の解体とともに研究組織も解体しそうです。研究の下支えのない臨床は砂上の楼閣です。まさに国家的問題です。組織の発展には継続と蓄積が必要で、いったん消滅した組織を再構築するには人材養成からして膨大な時間がかかります。若者をなんとか研究の面白さに惹きつけねばなりません。

 一時期は一学年で450人前後が眼科を選択していましたが、新臨床研修制度が導入され、眼科が選択科目になってから眼科専攻医は減少を続け、最近は300人を割っています。彼らが一人前になる10年〜20年先には超高齢社会が待ち受けており、眼科患者は激増していることでしょう。臨床で手いっぱいになり、サイエンティフィック・フィジシャンをじっくり育てる環境はなくなります。リサーチマインドを持った臨床家を育てなければ新しい医療の創造はなく、進歩にもついていけません。アジアの医療の拠点は中国やシンガポールに移っているかもしれません。眼科へのリクルートのために、ホームページに医学生・研修医向けの眼科紹介のページを作りました。是非とも関係者に紹介してください。

 これには女性医師問題も関係してきます。男女共同参画推進が叫ばれて久しく、時短雇用制度などもできましたが、まだその成果をみるまでには至っていません。学会でも女性医師問題シンポジウムを継続していますが、より強力な実際的施策を講じ、目に見える効果を上げていくことが、女性医師の比率の高い眼科の使命といえます。医学部卒前教育の見直しに提言する必要もあります。

 学会には地方支部がなく、決定事項を伝達したり実行する導線や手足が不足しています。ホームページを通した情報伝達手段を充実させるとともに関連専門学会の力も借りねばなりません。知識が膨大になり、領域が先鋭、細分化するにつれ、各分野の行動計画や情報発信は専門知識に精通した専門家集団での決定が必要になります。各専門学会が策定した疾患のガイドラインを日本眼科学会雑誌やホームページに掲載しているように、サブスペシャルの専門学会との緊密な協調関係は必須です。医政や啓発という面では日本眼科医会と協調して大きな成果を上げています。社会保険と診療報酬の問題については、日本眼科社会保険会議を立ち上げ、外科系学会社会保険委員会連合の委員も加わって情報を共有化し、各専門学会との意見も摺り合わせて眼科の意見を一本化し、一致団結して厚生労働省と折衝しています。屈折の問題も扱います。学術集会における社会保険シンポジウムも定着し、多くの関心が集まるようになっています。社会に対する啓発活動もますます重要性を増しています。両会は日本眼科啓発会議を組織し関係諸団体の協力を仰ぎ、既に活発な啓発活動を行ってきました。

 International Council of OphthalmologyやAsia-Pacific Academy of Ophthalmologyなど国際組織の中での活動も我が国の眼科学の向上に重要で、後進国の医療支援も我が国に科せられた課題です。日本眼科学会にはこの他、解決すべき多くの課題があります。すべての会員の知恵と労力を拝借せねば達成できるものではありません。平成24年には法人組織の改正により日本眼科学会は新公益財団法人に移行し、より活発な公益活動を目指すことになります。事務組織も拡張し、組織構成の改革、各種委員会の増設など会員の皆様には運営により深くかかわっていただかねばなりません。日本眼科学会は皆様とともに大きく変化していきます。

 平成26年には我が国で36年ぶりの国際眼科学会(WOC® 2014)を東京で主催します。我が国が世界に誇る低い失明率を達成できているのも、世界の眼科学に学び、その知識を咀嚼、吸収し、さらに普及、発展させてきた先達の努力の結果です。今、我々はその成果を受け継ぎ、世界に還元するとともに一層の飛躍をもって貢献する立場にあります。我々全員がホストとして、世界の眼科医に満足していただく学会を目指したいと思います。眼科が果たしてきた役割を日本の社会に認知してもらう絶好の機会でもあります。今年度からWOC® 2014開催準備基金として、会費を5,000円増額して徴収しております。ご協力のほど何卒よろしくお願い申し上げます。

財団法人 日本眼科学会
理事長 根木  昭

メインナビゲーションへ戻る
このページのトップへ
お問い合わせ利用規約プライバシーポリシーアクセシビリティ
Copyright © 公益財団法人日本眼科学会 All rights reserved.