日本眼科学会:社会保険担当からのメッセージ(115巻10号)
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社会保険担当からのメッセージ

 新たな理事会のもと、社会保険を三たび担当することになりました。古巣への復帰ということになりますが、この2年間どうかよろしくお願いします。ただ、就任早々に仕事がたくさん降ってきました。もはや還暦も過ぎ、若い頃の馬力はありませんが、そこは長年の経験と仕分け力でカバーしていきたいと思います。今回は、先生方にも馴染みの深い二つの薬剤についての案件を含めて、社会保険における最新の動きをご紹介しましょう。

 平成24年度診療報酬改定
 何と言っても先生方の最大の関心事であろうと思われますが、これについては、日本眼科社会保険会議を軸に、眼科医サイドの意見を集約した要望書作りを行っています。会議が設立された当時は日本眼科学会と日本眼科医会の二つだけでしたが、今では、日本眼科手術学会、日本白内障屈折矯正手術学会、日本緑内障学会、日本弱視斜視学会、日本網膜硝子体学会も外科系学会社会保険委員会連合(外保連)に参加し、厚生労働省のヒアリングでも実に多様な要望ができるようになりました。今回の最大の目標は、足かけ3期にわたる懸案事項のロービジョン訓練です。「ロービジョン訓練という医療行為ははたして治療なのか?」という問いかけの中、難しい交渉も予想されますが、その必要性を強く訴えていきたいと思います。その他、表に示すように重点項目は目白押しです。内視鏡手術と小児医療が今回のキーワードといえるでしょうか。なお、前眼部三次元画像解析については先進医療に組み込まれたため、別ルートでの承認を目指すことになります。

表 各学会の重点ヒアリング項目
日本緑内障学会、日本網膜硝子体学会は不参加
日本眼科学会 ロービジョン訓練、眼底自発蛍光撮影
日本眼科医会 屈折検査関連検査料見直し、眼底カメラ・アナログ/デジタル撮影
日本眼科手術学会 涙道内視鏡下涙管チューブ挿入術、内視鏡下硝子体手術
日本白内障屈折矯正手術学会 水晶体再建術(特殊眼内レンズを使用するもの、小児白内障手術加算)
日本弱視斜視学会 乳幼児視力測定

 今年度から外保連では各診療科において特に必要性の高い項目をAランクとして抽出することを決めました(目安は要望項目の25%程度)。各学会からの新設項目、改正項目を対象に、日本眼科社会保険会議において決定しましたが、上述のほとんどの項目がここに含まれています。

 アバスチン®のコンパッショネート・ユース
 さて、加齢黄斑変性については抗血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor:VEGF)抗体による治療が導入され、患者の視力予後は大きく改善しています。しかしながら、黄斑浮腫、近視性黄斑変性、増殖糖尿病網膜症、未熟児網膜症、血管新生緑内障など、いまだ保険適用がない疾患に使用できないため、個人輸入によってbevacizumab(アバスチン®)を入手せざるを得ない状況が続いています。大腸癌に使用されているのですが、適応外使用という大きな壁が立ちはだかっているからです。何かよい手立てはないものでしょうか?

 一つ朗報があります。厚生労働省に設置された「有効で安全な医薬品を迅速に提供するための検討会」では、重篤な疾病で代替治療法がない場合に限り人道的見地から未承認薬の製造、輸入、販売を許可する制度(コンパッショネート・ユース制度)の導入を決めました。対象は、癌などの「生命にかかわる疾患」ですが、「重篤な身体障害を引き起こすおそれのある疾患」も含まれており、視覚障害を取り扱う眼科診療においても本制度の適用は可能です。

 アバスチン®は構造が2量体である点を除けば、特異性を含めて、現在、加齢黄斑変性に保険適用を有するranibizumab(ルセンティス®)とはほぼ同一の製剤です。アバスチン®の有用性は国内外の文献報告においても既に認められており、また、米国National Eye Instituteの主導で最近行われたCATTスタディでも、ルセンティス®と同等の効果を持つことが確認されています。キッチンファーマシーによる安全性を懸念する声もありますが、risk-benefit ratioから考えれば許容範囲にあるのではないかとも考えられます。

 現在、日本眼科学会および日本眼科医会は、アバスチン®に対するコンパッショネート・ユース制度の導入を前向きに検討しています。この案件では、民主党の吉田統彦議員が並々ならぬ熱意を持って行動されており、大いに期待しています。もしも実現すれば、他に代替療法のない患者にとって大きな福音となることは疑いのないところです。現在、厚生労働省に宛てた日本眼科学会と日本眼科医会からの要望書を準備中ですが、受領後には製薬会社との折衝、折衝が不調に終わった場合には医師主導治験という高いハードルが待ち受けています(図)。しかし、全眼科医が力を合わせ、本制度の適用に向けて知恵を絞るべきではないでしょうか。

図 医薬品の適応外使用に係る要望。厚生労働省の対応の流れ。

 ヒアルロン酸点眼液のスイッチOTC化
 「スイッチOTC」というのはあまり耳慣れない言葉かも知れません。これは、医薬用医薬品に限って使用されている有効成分について一般医薬品としての利用も可能とする施策(いわゆるスイッチ化)で、厚生労働省(医薬食品局審査管理課)では、薬事・食品衛生審議会の意見をもとに承認の可否を判断しています。軽度の身体異常は自分で手当てしようという「セルフメディケーション」のコンセプトに基づくもので、薬剤師などの指導の中、国民が自己の判断で購入することが可能な薬剤についてOTC薬化を推進するものです。既に、いくつかの抗アレルギー点眼液についてはスイッチ化が行われていますが、今回も、以前から標的とされてきたヒアルロン酸点眼液が俎上に上がっています。前回は、ドライアイ患者を対象に防腐剤入りのヒアルロン酸点眼液のスイッチ化の可能性が学会に諮問されましたが、ドライアイの診断には眼科医のスキルが必要不可欠なこと、また、治療が長期に及ぶ点で防腐剤入り点眼液の使用が薬剤性角膜上皮障害を生む懸念を払拭できないことから、スイッチ化は困難であると回答しました。

 ところが今回、対象を「目の乾き」とし、製剤は防腐剤を含まないユニットドーズ点眼という方式での再提案がありました。この提案は、前回の課題をすべてクリアしており、異論を挟む余地はありません。医学的にみて、候補成分とすることに大きな問題はないとの見解に至り、「(1)1週間程度使用しても改善が認められない場合は眼科医を受診することを(販売時に)薬剤師が(必ず)勧奨する、(2)(剤型として、)防腐剤を含まない一回使用型であるミニタイプを用いる、の2点の対策の遵守が望ましいことを申し添えます。前者は眼科治療の対象となるドライアイ患者の抽出に、後者は長期使用に伴う薬剤性障害の回避に不可欠であるからです。」という形で答申しました。

 ただ、反論もしています。それは、(2)に示すような剤型を用いますと、現在、医家向けに上市され、重症ドライアイ(Sjögren症候群、Stevens-Johnson症候群)にのみ保険適用のあるヒアレイン®・ミニ点眼液と同一の製剤になってしまう点です。眼科医の診断のもと、重症例に処方されている点眼液と同じ製剤がOTC点眼液として販売される点は、臨床家として当惑を禁じ得ないところです。そこで、OTC化に先立って、ヒアレイン®・ミニ点眼液の保険適用疾患の再検討、すなわち眼球乾燥症候群(ドライアイ)への適応拡大が優先されるべきではないかとのコメントを付記しました。議論がどのように展開していくのか、推移を慎重に見守りたいと思います。

財団法人 日本眼科学会
常務理事 大橋 裕一

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