日本眼科学会:思うこと(116巻5号)
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思うこと

 眼科を取り巻く状況を時代の変遷とともに俯瞰的に見る機会は少ない。そこで、今回は、日本眼科学会の一理事という立場とともに過去40年弱にわたって日本の眼科の推移を見てきた立場で、私見を述べさせていただくこととした。

 まず、国際化についてである。1978(昭和53)年に日本で初めて開催された国際眼科学会は大きな期待とともに海外への門戸を開いた記念すべき学会であった。何故なら、当時は、海外の著名な眼科医が日本を訪れることはきわめてまれであり、海外医療施設を訪れた経験のある日本人眼科医もきわめてまれであり、日本から英文論文を投稿する機会もまれであったからである。このような状況で開催された国際眼科学会は日本の眼科医にとってまさに未知との遭遇ともいえる機会となった。その後30年余、現在では、多くの眼科医が国際交流を積極的に行い、多くの眼科医が海外学会へ出席し、日本から投稿された英文論文を見ることも日常茶飯事となった。日本の眼科におけるグローバル化は順調に進んできたようにも思われる。しかしながら、ここ数年のことであろうが、やや後ろ向きの現象も認められる。それは2004(平成16)年に発足した新医師臨床研修制度とも密接に絡んでいる。海外留学を行う若手眼科医が減少し、眼科基礎研究にかかわる英文論文投稿数が減少しているのである。その減少率はそれほど大きくないように見えるが、確実に右肩下がりを示しているところに若干の危惧を覚えざるを得ない。目には見えない何かの大きなトレンドが変化したのである。この事実を、眼科を志望する医師数の減少と関係づけて説明することは容易であるが、本質はもう少し複雑なような気がしてならない。何故なら、日本から世界を凌駕するような質の高い研究が発信されつづけていることは事実であり、日本における眼科診療全般のレベルが飛躍的に向上していることも事実だからである。おそらく日本の眼科全体が外向から内向へと緩やかにシフトしつつあるのではないかと想像できる。このような状況のなかで、2014(平成26)年に国際眼科学会を日本で開催することは大変に大きな意義を持つことになる。特に、若い世代の眼科医に大きな刺激を与え、日本の眼科全体が外向性を取り戻す絶好の機会となることを切望する次第である。

 次に、医療全体における診療報酬改定についてである。約40年前の日本眼科学会会員数は約3,500人であり、現在と比べて10,000人以上少なかったことになる。当然のことながら、診療報酬に神経質になろうはずもなく、ただただ診療内容の向上を目指しての議論がなされていたように思われる。記憶にも新しい2010(平成22)年度診療報酬改定では、診療報酬本体は約+5,700億円、薬価は約−5,000億円、合わせて全体改定率が+0.19%の約700億円であった。今回の2012(平成24)年度診療報酬改定はというと、診療報酬本体が約+5,500億円、薬価は約−5,500億円、合わせて全体改定率が+0.004%ということであった。お気づきのように、この2回の改定で1兆円を超える薬価引き下げがなされたのである。医薬品業界が大変であろうことが容易に想像されるとともに、医薬品業界のなかで費用削減にかかわるさまざまな制度変革がなされていることも頷けることである。厚生労働省は2025年を着地点とする医療・介護機能の再編を目指しているようである。いわゆる社会保障と税の一体改革である。ベビーブーマーの高齢化による高齢者人口の飛躍的な増加が想定されるからである。方向性としては、医療機関の機能の明確化と連携の強化、医療機関と在宅・介護施設との連携強化、そして医療提供が困難な地域に配慮した医療提供体制の構築を目指しているようである。そのなかでもポイントは、医療法の医療計画に掲げられる5疾病・5事業および在宅医療を中心に据えた改革が進んでいることである。5疾病とは、がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病、精神疾患、5事業とは、救急医療、災害時における医療、へき地の医療、周産期医療、小児医療である。このように法整備が既になされた医療計画のなかに、感覚器医療が含められていない現況はいささかながら深刻であり、今後、日本眼科学会と日本眼科医会そして眼科医各人が、如何に視覚機能そして眼科の医療が国民にとって重要であるかをしっかりと発信していくことがポイントになってくると思われる。

財団法人 日本眼科学会
理事 木下  茂

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