日本眼科学会:世界に開かれた日眼とWOC 2014への期待(116巻6号)
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世界に開かれた日眼とWOC 2014への期待

 満を持して開花した桜が祝福するかの如く、史上、最も多くの参加者数を記録した第116回日眼総会が成功裡に終わりました。日本国内には1年前の大震災からの復興にはほど遠い地域が存在する現実を会員一同は直視し続けなければなりませんが、日眼の活力や未来への期待を抱かせるに十分な、また、これまでにない国際色豊かな総会でありました。坪田一男総会長の開拓された今回のコンセプトと澤口昭一プログラム委員長のご苦労は、今後も長く語り継がれることと思います。

 さて、日眼の理事を拝命したものの理事会に参加させていただいた機会はまだ数えるほどであり、会員の先生方にご報告できるようなことはございませんが、この誌面を埋めることはdutyのようですので、日眼総会の余韻が冷めないうちに2014年に東京で開催される国際眼科学会(World Ophthalmology Congress®:WOC)への期待と不安について述べさせていただきます。

 かつては4年に一度、現在では2年ごとに開催されているWOCですが、今年は2月の中旬に中東のアラブ首長国連邦(UAE)の一つであるアブダビで催されました。日本の先生方も多数参加され、2年後の東京開催に向けた意気込みを国内外に示す形となったように思います。年が明けた頃からでしたでしょうか、中東の某国と米国をはじめとする西側諸国の関係悪化により、アブダビのすぐ北側にあるホルムズ海峡を封鎖するとかしないとか、それによる原油価格の高騰が我が国にも大打撃を生じるであろうといった憶測もありましたが、現地ではそういった気配や危機感を感じることはまったくありませんでした。いつの頃からかドバイとともにハイソでリッチな国家となっていたアブダビの学会場は、前回のベルリン、その前の香港に勝るとも劣らない巨大な施設で、その威容を誇っておりました。おそらく日本から参加された先生の誰もが、2年後に会場として予定されている東京国際フォーラムの貧弱さと複雑な構造に不安を覚えたことと思います。東京国際フォーラムも会場の数だけならばガラス棟の小部屋も含めると同等かもしれません。しかし、米国のアパートの2ベッドルームが日本の2LDKマンションと同じでないように、このスペースの差は如何ともし難いようです。

 もっとも、会場では太刀打ちできないことは端から承知のこと。WOC 2014の会長を務められる大鹿哲郎庶務理事が強調されているとおり、日本のきめ細かなサービスとおもてなしの精神は世界一であり、いつものホスピタリティを持ってお迎えするだけでも海外から参加される先生方には喜んでいただけることと信じます。翻ってアブダビではビックリするほど一般参加者へのおもてなしやサービスはありませんでした。直近のWOCにおけるこの既成事実だけでも、2年後の開催国にとっては強力な追い風となったことでしょう。

 一方、そのようなハード面やホストとしてのメンタリティは別として、WOCの一参加者として気になることは、この2年に一度のイベントの学術集会としての位置付けに関する素朴な疑問です。WOCの会期中には最新の情報を提供してくれるシンポジウムなどもありますが、著名人による講演はレビュー的な内容に終始しがちであり、しかも同じような顔ぶれが日時を変えて学会期間中に何度も同じ話をしていることが少なくありません。また、「指定席」的な講演の数が多くを占めているために、最近の国内における学会と同様、一般講演にまったくと言っていいほど光が当たっておりません。私は今回のアブダビの一般講演の会場で、東南アジア系の演者がわずか2人の聴衆の前で切々と口演している現場を目の当たりにし、腰が抜けそうになりました。

 また、学術展示(ポスター発表)については従来からの紙ベースによる展示ではなく、会場内に設けられた複数の端末に自らアクセスすることによってはじめて発表内容が閲覧可能なシステムが導入されておりました。最近、海外の学会で散見されるようになった電子ポスター(e-poster)と呼ばれる発表形式です。この方式では事前によほどしっかりと演題と抄録をチェックし、さらに会場に設置されたディスプレイ用の機器に自発的にアプローチしない限り、発表内容に触れる機会は100%ありません。一方、発表者(演者)自身にとっても、ポスターの前に立っている義務もなければ研究内容を説明するチャンスもないので、‘拍子抜け’の感は否めなかったと思います。ディスカッションが苦手な日本人にとっては幸いな発表形式という考えもありますが、それでは何のために彼の地まで来たのかということになります。今回初めて国際学会でデビューを果たしながら、会期中、外国人とは一言も言葉を交すことなく、多くの時間を砂漠のラクダと戯れたり、意外と近かったドバイの街で過ごされた先生も少なからずいたのではないかと思います。一般演題のエントリー数も非常に多いWOCですので、広大な会場のアブダビでさえ採用されていた電子ポスターシステムによる発表形式は、狭い東京の一等地では当然のように踏襲せざるを得ないのかもしれません。しかし、どうみてもこれでは演題集め、ヒト集めありきの学会運営の姿勢が露骨に過ぎる感は否めません。何を今さら、そんなことはWOCだから当たり前!という声も聞こえてきそうですが。そういえばARVOも以前とはだいぶ様変わりして、演題が採用されたことに対する感慨はもはやなくなってしまったと言ってよいほど巨大化してしまいました…。

 前述したように、WOCのプログラム委員会が企画した素晴らしいシンポジウムや教育的な講演が、同一期間内に同一演者によって繰り返し提供されることについてはメリットもあります。例えば、聴きたかった講演を観光に出掛けてしまって聴き逃しても、後日、改めて聴講することが可能かもしれません。しかし、これも考えてみれば本末転倒な話ではあります。学会とはいえWOCは2年に一度の‘祭典’なのだから、それくらいでちょうどよろしいという声もあるのかもしれませんが…。

 設立から116年の時を経た日眼は、公益財団法人への移行を目前に控えています。その目的や経緯につきましては、日眼会誌第116巻第1号第3号に石橋達朗理事長と山下英俊会計理事がそれぞれ詳しく述べられております。その日眼が主催し、日本学術会議も共同主催することになったと聞くWOC 2014ですので、社会の貢献につながる一大イベントとなるとともに、学術的にも満足度の高い企画であって欲しいと思います。

 3.11から3年目となる2014年の我が国に勢いが戻っていることを願ってやみません。

財団法人 日本眼科学会
理事 後藤  浩

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