日本眼科学会:抗血管内皮増殖因子(VEGF)薬をめぐって(116巻12号)
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抗血管内皮増殖因子(VEGF)薬をめぐって

 社会保険担当理事を拝命して1年半が過ぎようとしています。診療報酬改定も終え、ほっと一息つきたいところですが、社会保険領域には課題が山積しています。本稿では、会員の皆さまの最大の関心事の一つである、抗血管内皮増殖因子(VEGF)薬をめぐる最近の動向について紹介させていただきます。

 ご存知のとおり、現在我が国では、薬としてペガプタニブ(マクジェン®)とラニビズマブ(ルセンティス®)が承認されていて、滲出型加齢黄斑変性(AMD)や本邦で頻度の高いポリープ状脈絡膜血管症の視力良好例では、その単独療法が第一選択となっています。AMD薬として初めて承認を受けたマクジェン®は、類似薬効比較方式により、光線力学療法で使用するベルテポルフィン(ビスダイン®)を基準に薬価が算定され、次いで承認を受けたルセンティス®の薬価ですが、マクジェン®との臨床的効果との比較の中でより高額に設定されました。しかし、効果を維持するために硝子体内注射を継続的に施行しなければならない症例は少なくなく、患者にとって大きな経済的負担となっています。ルセンティス®の薬価引き下げを目指す署名運動も行われていると聞きますが、国には一定のルールがあり、話はそう簡単ではありません。ちなみに、ルセンティス®の平成23年度の売り上げは201億円ですが、市場拡大再算定品目(年間売り上げが当初予想の2倍以上で、150億円を超えた医薬品)の基準には達していないようです。本邦ではもうすぐ、3番目の抗VEGF薬としてVEGF Trap-Eye(アイリーア®)が承認される見込みですが、既存薬との比較算定方式のもと、高価格に設定される懸念は残っています。

 一方で、医師の裁量のもと、大腸癌に対する治療薬で抗VEGF作用を有するベバシズマブ(アバスチン®)が、AMD以外の血管新生黄斑症、網膜静脈閉塞症、糖尿病網膜症、血管新生緑内障、未熟児網膜症など、VEGFが病態に関与する眼疾患に対して頻用されています。アバスチン®は、2量体であることを除けばルセンティス®と同じ特異性を持つモノクローナル抗体で、AMDに対して同等の効果を持つことがCATT Studyで示されています。他の抗VEGF薬に比べて薬価が低いことが大きな利点で、今年4月には、先に述べた市場拡大再算定品目として、さらに8.8%引き下げられました。このアバスチン®の適応外使用が認められれば、経済的な理由から治療継続を断念せざるを得ないようなケースを救済できます。実際、米国ではアバスチン®が医療保険でカバーされているほか、低所得者を対象とした支援制度も設けられています。残念ながら、我が国にはそのようなシステムはまだありません。

 このような背景の中、日本眼科社会保険会議では、アバスチン®の適応外使用承認に向けて、精力的なロビー活動を行っています。昨年には、コンパッショネート・ユース制度(海外で既に承認されていて、他に代替療法が存在しない未承認薬剤の使用を認めるという措置)の適用に関する要望書を厚生労働省に提出しましたが、アバスチン®の場合にはうまく当てはまらないようです。臨床使用への道を切り拓くには、安全性、有効性についての確固たるエビデンスの集積が必要で、結論から言えば、医師主導臨床治験の手立てしか残されていません。実現までのハードルは高いですが、国の支援制度の活用も含めて、その可能性を模索していきたいと考えています。

 アバスチン®を取り巻く問題を解決していくうえで、まず、使用実態の正確な把握が必要です。そこで、日本眼科社会保険会議内に抗VEGF薬検討ワーキンググループ(竹内 忍委員長)を立ち上げ、網膜硝子体疾患の患者数が多いと考えられる全国の大学病院21施設を対象に、経済的理由による治療脱落例、アバスチン®の投与状況などのアンケート調査を行いました。その結果ですが、平成22年1月以降に各施設でルセンティス®治療を開始した連続30名のAMD患者を追跡したところ、治療脱落例が16%にも及ぶことが分かりました。このことは患者の経済的負担が少なからず影響している可能性を示していると考えられます。また、平成24年6月の1か月間だけで、網膜静脈閉塞症の259例をトップに、総計588例に対してアバスチン®が使用されており、その約5%をAMD患者が占めていることも明らかとなりました。やはり高薬価の影響はあるようです。今回のデータは我々の活動のほんの第一歩ではありますが、これを手掛りとして患者救済に向けた対応策を練っていく所存です。ご多用の中、調査にご協力をいただいた施設には、この場を借りて厚く御礼を申し上げます。

財団法人 日本眼科学会
常務理事 大橋 裕一

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