日本眼科学会:研究活動の不正行為について(117巻8号)
日本眼科学会 Japanese Ophthalmological Society
サイト内検索
検索方法
English HOME English English
会員専用コンテンツMY NICHIGANDEX
サポートセンター
HelpMY NICHIGANDEXとは?
MY NICHIGANDEXへログイン
お問い合わせ サイトマップ
メインナビゲーションを飛ばす
Home会員のみなさまへ理事会から > 研究活動の不正行為について(117巻8号)
会員のみなさまへ
コンテンツインデックスへ戻る
学術集会
専門医制度
生涯教育
ガイドライン・答申
各種手続
学会誌
理事会から
日本眼科社会保険会議
学術賞・助成金一覧
眼科関連学会

理事会から

研究活動の不正行為について

 循環器科領域における研究活動の不正行為疑惑の話題がさまざまなマスメディアで報じられている。これは、学術雑誌Lancetへのコメント投稿そしてブログによる不正行為疑惑の指摘に端を発したものである。具体的には、基礎研究論文における複数の図表の捏造・改ざん、さらには臨床研究論文におけるデータの不適正な解析と利益相反に関わる事項である。今回の不正行為疑惑は眼科領域のことではないが、古くは、国内では、某大学眼科学教室から発表された論文が米国の学術雑誌論文を盗用したものであることが発覚し、当事者はもとより当該教室の教授が引責辞任したという出来事がある。米国でも、株式取得に関わる利益相反が指摘され有名大学教授が辞任したという出来事もある。さらには、他領域では、米国でも欧州でも日本でも、Nature誌などの有名誌を舞台として、論文捏造・改ざんが行われたという事実がある。したがって、今回のような出来事は、研究活動を行う限り、他山の石であると認識しなければならない。

 さて、平成18年8月8日に、文部科学省科学技術・学術審議会、研究活動の不正行為に関する特別委員会から発表された、「研究活動の不正行為への対応のガイドラインについて」によると、以下のように説明されている。研究活動における不正行為とは、研究者倫理に背馳し、研究活動と研究成果の発表において、その本質ないし本来の趣旨を歪め、研究者コミュニティの正常な科学的コミュニケーションを妨げる行為に他ならない。具体的には、得られたデータや結果の捏造、改ざん、及び他者の研究成果等の盗用に加え、同じ研究成果の重複発表、論文著作者が適正に公表されない不適切なオーサーシップなどが不正行為の代表例と考えることができる。(中略)なお、科学的に適切な方法により正当に得られた研究成果が結果的に誤りであってとしても、それは不正行為には当たらない。

 研究活動の不正行為は大きく分けて4つある。第一は捏造である。捏造とは、存在しないデータ、研究結果などを作成することである。第二は改ざんである。改ざんとは研究資料、機器、過程を変更する操作を行い、データ、研究活動によって得られた結果などを真正でないものに加工することである。第三は盗用。盗用とは他の研究者のアイデア、分析、解析方法、データ、研究結果、論文または用語を、当該研究者の了解もしくは適切な表示なく流用することである。そして第四は研究費の不正使用である。研究費の不正使用は、実態とは異なる謝金、給与の請求、物品購入の架空請求、不当な旅費の請求、その他関係法令、規則等に違反して研究費を使用することである。これら4つについて、不正行為疑惑が生じた場合には、研究者自身が不正のなかったことを証明しなければならない。すなわち、当然のことではあるが、研究ノートあるいはそれに類似するデータのしっかりとした管理が必要であり、研究者のみならずその所属する組織は、日頃から研究データ管理を心掛けていることが必須となる。研究活動における不正行為は、相互信頼の上に立つ研究者の間ではあり得ないことのようであるが、競争的研究資金の獲得などで研究者の心のなかの何かが狂い始めれば、生じる可能性はゼロではない。

 次に、臨床研究、特に厚生労働省の承認を受けた薬剤の有効性を再検証する場合にはランダム化が基本である。しかし、多くのバイアスや交絡因子が適切に処理されていない場合もあり、結果の解釈に際しては、研究者も読者も「結果に騙されないように」慎重に事実を見つめる必要がある。さらに、臨床研究では設定するエンドポイントが鍵であり、特に複合エンドポイントを用いるような場合には、データをある方向に誘導することも不可能ではないと理解しておく必要がある。さらに、企業と関係する臨床研究の場合には、利益相反を明確に示しておくことが大切である。

 日本眼科学会には、利益相反委員会が確立されており、論文発表そして学会発表においても制度が確立しているので問題は生じないと思われるが、clinician scientist達が、研究活動における不正行為そして利益相反の意味を十分に理解し、日々の研究活動に取り組まれることを切望する次第である。

公益財団法人 日本眼科学会
理事 木下  茂

メインナビゲーションへ戻る
このページのトップへ
お問い合わせ利用規約プライバシーポリシーアクセシビリティ
Copyright © 公益財団法人日本眼科学会 All rights reserved.