日本眼科学会:眼科医療と視能訓練士〜現状と将来展望〜(117巻12号)
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眼科医療と視能訓練士〜現状と将来展望〜

 現在の眼科診療おいて、視能訓練士は診断および治療に係る検査を担当する職種として必要欠くべからざる存在となっている。過去に日本眼科医会は、昭和54年より眼科コメディカル(いわゆるOMA)の養成教育を行い、認定試験により多くのクリニックで業務の補佐を担う眼科コメディカルを雇用してきた。昭和55年の視能訓練士の有資格者が全国で749人と寡少であり視能訓練士養成校は全国で3校(東京、大阪、新潟)だけと、絶対数が不足していたという事情があった。

 その後、視能訓練士養成校の増加、そして高い医療水準が求められる時代背景から世論が無資格者の医療行為について寛容ではなくなり、眼科検査は視能訓練士またはその他の有資格者によって行われるべきことを確認し、平成23年度からは眼科コメディカル全国統一試験が廃止された。このことで眼科医療において、より専門性をもつ視能訓練士の必要性が再認識された。

図1 視能訓練士の有資格者の推移。
(日本視能訓練士協会:視能訓練士の現状と展望、2010より引用)

 視能訓練士は、昭和46年に制定された「視能訓練士法」に基づく国家資格をもった医療技術者である。当時の業務は「医師の指示の下に両眼視機能に障害のある者に対するその両眼視機能の回復のための矯正訓練及びこれに必要な検査を行うことを業とする者」と規定されていた。平成5年の法の一部改正により、医師の指示の下に眼科に係る検査(人体に影響を及ぼす程度が高い検査として厚生省令で定めるものを除く。)を行うことを業とすることになった。視能訓練士が業として行い得る検査とは、臨床で一般的に行われている眼科諸検査全般を指し、検査項目は多岐にわたっている。さらに現在では、眼科診療に係る視機能検査全般、斜視および弱視の訓練指導の他、自治体が行う3歳児健診や成人病健診などの予防医学分野への参加、視機能低下者のリハビリテーション指導などの幅広い業務を担当している。眼科医療における視能訓練士の需要は一段と高まっている。視能訓練士の有資格者は昭和46年の視能訓練士法制定当時は121人であったが、平成22年には9,351人に増加した(図1)。同時期の眼科医の数は約1万3千人であり、視能訓練士の数は眼科医の数よりも少ない。眼科医療施設に視能訓練士が充足しているとはいえないことから、平成25年6月に新潟医療福祉大学で新潟県および近県7県を対象として視能訓練士の人材需給アンケートを実施した。その結果、25.5%の施設が視能訓練士を雇っていないことが分かった。勤務している視能訓練士は平均1.9人、理想とする視能訓練士の数は平均3.1人であった(図2)。

図2 視能訓練士の人材需給調査(n=231)。
A:勤務している視能訓練士の数。
B:理想とする視能訓練士の数。
調査対象:新潟県、石川県、富山県、山形県、秋田県、福島県、群馬県、長野県。

 近年、眼科医療における手術療法、薬物療法にはめざましい進歩があるが、その一方で未だ治療法の確立されていない疾患も多い。加えて、糖尿病、高血圧など全身疾患から併発する眼科疾患も増加の傾向を辿っている。視覚は外界の情報のおよそ80%以上を担うため、視覚に障害をもつと情報量の不足からquality of life(QOL)が著しく低下する。今日では、医療の目的が疾患の治療だけではなく、疾患を有する患者のQOLの向上へと変化してきている。

図3 視覚障害者の推移:将来予想。
(平成21年日本眼科医会報道用資料より引用)

 平成21年の日本眼科医会の調査では、平成19年の時点で164万人の視覚障害者がいると報告されている。我が国では人口の高齢化により視覚障害者の数は平成42年(2030年)には200万人に達すると推計されている(図3)。さらに、視覚障害による個人のQOLの低下によるコストは健常者の6倍程度と見積もられた。視覚機能の専門職である視能訓練士がQOLの向上を目指すロービジョンケアを行うことができれば、視覚障害から生じる目に見えない多大な「負」のコストを減じ、社会の生産性にも大きく貢献できるものと期待される。平成24年度の診療報酬改定により、視覚障害を有する患者に対して、眼科学的検査を行い保有視機能を評価し、適切な視覚的補助具の選定と、生活訓練・職業訓練を行っている施設等との連携を含め、療養上の指導管理を行った場合に「ロービジョン検査判断料」が算定できることになった。眼科医療におけるロービジョンケアの重要性が認識された結果である。今後、視能訓練士がロービジョンケアを行う眼科医療施設が増加することが予想される。iPS細胞で注目されている再生医療、人工網膜の時代では多種多様な検査、ケアが必要となり視能訓練士の担う役割はますます大きくなる。高度な知識、技術そして医療従事者としての高い倫理観が求められる。分野を超えた多職種との連携(チーム医療)に関わることも必要となるだろう。

 現在、視能訓練士の養成は専門学校から大学まで多様性に富んだ教育環境が整備され充実している。平成24年度には、視能訓練士の養成は大学8校、専門学校20校と数の拡大は図られているが、教育内容の充実はされているのだろうか。

 時代のニーズに敏感であり、眼科医療の発展に尽くす視能訓練士に期待する。

公益財団法人 日本眼科学会
監事 阿部 春樹

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