日本眼科学会:理事会から(118巻4号)
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 WOCが終わりました。皆様、いかがだったでしょうか? WOCには海外から沢山の先生が来られ、日本にいながらにして有意義な国際交流ができたことと思います。このWOCは、2007年に日本開催が決まり、7年間の周到な準備をもって開催された一大イベントでした。日眼にとっては、実に36年ぶりのWOC開催ですから、大鹿哲郎会長をはじめ、数多くの日眼会員の皆様がこの7年間大変なご尽力をされてきました。日眼事務局の皆様も大変な日々を過ごしてこられたことと思います。ご苦労様でした。36年前の登り調子であった日本で開催された前回のWOCと成熟した日本での開催となった今回のWOCを比べて海外からの参加者がどのように感じられたのか、大変興味深いものがあります。

 実は、36年前に京都で開催されたWOCを私は知りません。もちろん、36年前には日本の状況、眼科学の状態、国際的な評価が分かるほどの大人ではありませんでした。私が日本の眼科学の状況を意識するようになって、たかだか20年ほどですが、この間に眼科学の世界は大きく変化しました。疾患の理解、診断、そして治療のいずれの面でも想像を絶するような進歩がありました。しかし、それは世界中のどの国、地域においても認められる現象で日本に特有のことではありません。医療、学問の世界には国境がないことがよく分かります。グローバリゼーションの功罪で言えば、功の最たるものでしょう。実際、日本で開発途上国とみなされている国でも現在の日本の一般的な眼科医療水準よりもはるかに高いレベルの医療が行われていることはごく普通で、驚くようなことではありません。

 この20年から30年の間に眼科学の世界での日本の立ち位置も随分と変わったように思います。学問の世界は、まさに国力を忠実に反映するようです。かつての日本が有していたアジアで比肩する国のない地位は、眼科学だけではなく、現在の日本の医学にはなくなってしまいました。グローバリゼーションの時代に日本は、そして日眼は何をすればよいのでしょうか? また、私たち眼科医が何をすれば、世界の中で日本のプレゼンスを高めていくことができるのでしょうか? 大変難しい問題です。医療システムだけではなく、日本の国としての在り方は、三百諸侯の藩体制を引きずる明治時代にグランドデザインが作られたまま今に至っています。このため、日本の医療は良い意味での集約化がなく、一施設当たりの症例数、手術件数で大きく見劣りします。日本の大学では年間2,000件の手術があれば、かなり件数が多いほうですが、中国には年間20,000件の手術を行う施設が沢山あります。症例数では勝ち目はありません。研究論文については、本誌第116巻7号に西田幸二理事が書いておられるようにアジア諸国が猛烈に追い上げています。多分、今年の日本からの眼科major journalに掲載される論文数は中国の後塵を拝することになりそうです。

 このように書くと臨床も基礎研究も暗い話ばかりのように聞こえるかもしれませんが、私は日本には日本ならではの強みがあると思います。それは、丁寧に患者さんを診て疾患について深く考えるという素晴らしい習慣です。私の勤務する大学には毎年多くの韓国人眼科医が見学に訪れますが、彼らが口を揃えて褒めてくれるのは、日本では「3分間診療」と悪口を言われている日本の外来診療の丁寧さ、そして研究指向性の高い外来診療です。考えながら診療をする、一つの疾患を何年間も考え続ける、これはコマーシャリズムに流れがちなアメリカやアジア新興国よりも、むしろ日本で実行しやすいことです。ないものねだりをするよりは、簡単にできそうで実は簡単ではない「考えながらの診療」を継続していくことこそが私たちが個人のレベルで、あるいは一施設のレベルでできる一番重要なことなのでしょう。このことは、簡単ではなく時には苦しいことでもありますが。

 それでは日眼が組織としてその目的である「眼科学の進歩発展を図り、もって人類・社会の福祉に貢献する」には何を行うべきなのでしょうか? WOCの開催はその目的に見事に合致するものでありましたが、36年ぶりの一大イベントが終わった今こそ、叡智を集めて日眼が力強い新たな第一歩を踏み出していくことが求められています。理事会の責務は大変大きいものがあると言わざるを得ません。

公益財団法人 日本眼科学会
理事 吉村 長久

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