日本眼科学会:研究と人材育成(120巻2号)
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研究と人材育成

 昨年の4月より理事として活動させていただいています、東京大学の相原 一です。日本眼科学会では常務理事の先生方の仕事のサポートを中心にお手伝いさせていただくことになります。戦略企画会議では第四委員会の「研究と人材育成」の担当で、なかでも日本眼科学会英文機関誌であるJJOの編集委員でもあることから、研究と論文のことを書かせていただきます。

 人間常に学ぶことができ、学んでこそ人間である。どんな仕事でもそうですが、学ぶことは大きな喜びだと思います。学ぶこととは、過去の人間の活動により得られた尊い知識を単純に覚えることではありません。昨今の日本の教育は知識の詰め込みがきわめて多いように思います。受験教育が悪いのですが、良い大学に行くためには、たくさんの知識を覚えて理解すればよい、というタスクを単純にこなせればよい傾向にあります。多くの知識を吸収させるために、効率的な環境を整え、その中で着実に身につける。知識は大切です。しかしさらに大事なことはそれをもとに現実の世界に問題を見出すこと、その問題を解決することです。それが学ぶことだと思います。今の教育は量も多く、時間もなく、疑問を持たせる前に解答を教えることが主となっています。それゆえ、若いときに自分で問題を見出しても、その解答を得る方策を考える間もなく、また問題に立ち向かう機会もなく答えが得られる状態にあるため、いつの間にか皆と同じ知識を持った、ただ知識量の異なる人間の集団になってきているように思います。今の大学までの教育は知識を吸収するだけで、それを答案用紙以外には排出する必要がないまま、成長する時間の大半が知識を詰め込むことに費されてしまい、本来個々に潜在する優れた個性的な能力を広げる時間と場がなくなって、画一化された生き物になってきているように思います。

 我々の医学界では、医学部に入るための多くの知識を習得するに優れた人材が選ばれて医者になるようです。しかし、そのような人材は必ずしもいわゆる医者には向いていないかもしれません。医学部に入れば、また医学の知識は大量に詰め込まれますが、そのままでは医学者でも医者でもない、知識が豊富な人でしかありません。我々は、患者に接して病気を治そうと試み、知識を総動員するわけですが、それは人間に対して行うものです。知識を総動員してぶつけても、現実は理屈どおりにいかず問題が生じます。そこでどうするか? 知識で解決できず撤退して諦めるか、新たに何らかの方策を講じるか。そこからが、人間であり学ぶことです。最近、若い医師と話していて愕然とすることがありました。一つは「言われたことはやれるのですが、アイデアが浮かんでこないのです」と真顔で言われました。もう一つは「どうして論文書くのですか?」ということでした。悲しいかな、今まで学ぶ喜びがあったのだろうか。なぜ? と思うことを大事にすること、それを解決するために考えること、それを実行すること、そしてそれを世の中に伝えて新たな知識とすること、この一連の出来事、つまり研究することを経験していないのかもしれません。目の前には自分が、過去の人間が知らないことがたくさんあるのにそれに気づかず漫然と過ごしているのです。そこに自分の知識を総動員して新たに研究する喜びを得る、まさにそのチャンスが転がっているのに。

 このように研究には、目の前の事象から問題を見抜く創造力と言いますか、リサーチマインドが必要です。若いときからの受動的な教育は簡単には覆せませんが、若い先生方にはポテンシャルが十分あるはずです。知識の詰め込みではなく、人間相手の医者になったからにはいろいろな未知の経験を積み重ねて問題を見出すことを知って欲しい。そして、我々のできることは、それをそのままにせず解決する方策を考えさせる時間を作る。また、それを実行する環境を整える、ことだと思います。どのように問題を解決するために行動するか、つまり研究のために、日本眼科学会主導の多施設試験の計画や実施、研究環境を拡大するための他分野との連携、世界的な競争に打ち勝つ戦略、などを学会でも考えていくことが、より良い人材育成にもつながると思います。そして、どんな研究でも研究倫理に基づいた確実な計画の下に行われたものであれば、必ず論文に残して新たな知識として発信できますし、眼科医として自らの足跡を残すことができます。その一端として、日本の眼科の先生方には機関誌であるJJOに積極的に投稿していただきたいと思います。JJOは澤 充編集長の下、厳格な審査により編集作業が行われ質の高いものになっています。日本の国際的地位を上げ研究レベルを向上させ、世界からも日本に学びたいと言ってもらえるような優秀な先生が育つ土壌ができればどんなに嬉しいことかしれません。微力ながら貢献していこうと思っております。

公益財団法人 日本眼科学会
理事 相原  一

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