日本眼科学会:日眼の国際化は薔薇色? それともいばらの道?(120巻8号)
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日眼の国際化は薔薇色? それともいばらの道?

 ご存じでない会員の先生方もまだ多いかもしれませんが、日眼には理事を中心とした戦略企画会議が設置され、今後の日本の眼科の発展に向けて様々な議論が行われています。6つの委員会から構成され、そのうち第一委員会は大鹿哲郎委員長のもと、日眼総会や日本臨床眼科学会の充実、国際学会との連携強化、そして日眼総会自体の国際化へ向けた取り組みなどが主な課題となっています。この日眼総会の国際化ですが、2年前に東京で開催されたWOCには海外から予想を超えた参加者が集い、成功裡に終了したことを受けて、今後、毎年春に開催される日眼総会も少しずつ国際化に向けてシフトしていこうというわけです。何故、国内の学会をインターナショナルに変身させていく必要があるのかといえば、繰り返し指摘されてきているようにアジアの中でもずば抜けて英語の苦手な日本だけが国際社会から取り残されていることへの危機感があるからです。もっとも、これは眼科や医学界に限った問題ではなく、アカデミアの世界ではどこも抱えている共通した課題であろうと思います。

 それでは日眼総会が国際化という‘お化粧’を上手にしていくには、具体的にどのような取り組みが必要になってくるでしょうか。

 まずは海外から多くの参加者に学会場まで足を運んでいただかなくては話になりません。しかもご招待ではなく、自腹で参加してもらう必要があります。海外の先生、中でも比較的アクセスのよいアジア諸国の眼科医にも日眼総会に興味を持っていただく最低条件として、まずは共通言語として英語の使用を避けて通ることはできません。例えば、少なくとも抄録集はすべて英語で作るようにしましょうという議論があります。当然であり、抄録集があまり使われていない言語で書いてある眼科学会に進んで参加する日本人はいません。口頭発表についてはどうでしょうか。やはり、英語のプレゼンテーションでなければ海外の先生にとっては般若心経を聴くのと違いはないでしょう。

 実は基礎医学系の中でも日本免疫学会では数年前からほぼすべての演題が英語によって行われており、臨床系では日本循環器学会などで一部のセッションが英語で行われ、定着しているようです。眼科領域においても日本網膜硝子体学会では一部のセッションが英語で行われ、角膜のスペシャリストが京都に集うKyoto Cornea Clubではすべて英語による発表が行われているとのことです。日眼総会もこれに右へ倣えというわけですが、その実現に向けては多くのハードルが存在します。

 そもそも来年に迫った日本専門医機構による新しい専門医制度への移行ですが、ここにきていろいろと物議を醸していることもあって雲行きが怪しくなってきました。しかし、そうでなくともいまだによく理解できないこの制度の導入によって、会員の学会離れが進んでしまうのではないかという心配があります。加えて日眼総会の抄録集とプレゼンテーションがすべて英語となった場合、会員はどのような行動に出るでしょうか。ここ数年、日眼総会はプログラム委員会で練られた教育講演やサブスペシャリティサンデーなどの企画により、臨床的かつ実践的な話題も豊富となり、基礎的な研究発表が主体を占めていたかつての日眼総会と比べ各段に参加者数が増え、活気を取り戻してきたところです。そのこと自体の善し悪しは別として、英語の導入によってこの流れに水を差すことになりはしないかという懸念もあります。

 実際の学会場の光景を思い浮かべてみましょう。これまでも国内で開催されてきた国際学会では当然のことながら英語が公用語として使用されてきましたが、その現場でしばしば目にする日本人同士の少々じれったい質疑応答、なかなかかみ合わない議論、あるいは何のディスカッションもなくいたずらに流れていく虚ろな時間など、数々の悲惨な場面に遭遇された先生も多いことと思います。せめてその会場に海外からの参加者が一人でもいれば意味はありますが、たまたま海外からの参加者が誰一人いない会場で、日本人同士が決してスムースとは言い難い言語で発表と質疑応答を繰り広げている光景は、客観的にみるとかなり滑稽かもしれません。

 折衷案として口頭発表の場合、講演は従来どおり日本語で喋り、スライドだけは英語にしましょうという考えもあります。ただ、口頭とスライドで2つの異なる言語を駆使して規定の時間内に講演を収めるのは意外とテクニックが必要です。そこで、まずは海外からの発表者がいるシンポジウムだけでも日本人も含めすべて英語による口頭発表を義務付けましょうといったアイデアもあります。ただ、そんな悠長なことでは日眼総会の国際化には何年かかるか見当もつきません。いずれにしても学会の国際化はある程度は避けて通れない道のりであり、今後、日眼総会では何だかんだと横文字を目にする機会が増えていくことと思います。

 戦略企画会議の第一委員会におけるミッションの一つは以上のような学会の国際化ですが、一方、第六委員会の目的の一つは「日眼会員の満足度を上げるために必要な支援事業を行う」「可能な限り日本眼科医会と共同で事業を展開していく」ことが謳われていますので、様々なご意見を拾い上げていく必要があります。いずれにしても新しい試みの導入、ひいては普遍化を図っていくには常に生みの苦しみを伴うようです。

 国際化というお化粧を薄化粧でいくのか、厚化粧で別人のように変身していくのか、それともすぐに落ちてしまうような化粧なら開き直ってノーメイクでいくのか。皆様はどのように思われるでしょうか。

公益財団法人 日本眼科学会
理事 後藤  浩

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