日本眼科学会:医療に関わる制度変革について思う(120巻10号)
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医療に関わる制度変革について思う

 我々を取り巻く政治的環境が大いに変動しているという実感を持たれる日本眼科学会会員の方は少なくないと思われる。例えば、2年ごとに行われる健康保険改定、6年ごとに重なる健康保険・介護保険の同時改定、さらには2025年問題と噂される医療保険・介護保険の抜本的改革が第一に頭をよぎるであろう。次には、おそらく日本専門医機構と絡んだ専門医制度の見直しが上がってくるかも知れない。後者は、とりあえずサスペンドの状態となっているが、未来永劫このままの状態が続くと考えている人は皆無であろう。しかし、これらの制度見直しは実は変革のほんの一部分であり、我々に関わるであろう新しい法律制定や法律改正が、ゆっくりと、しかし確実に行われているのである。大きな地殻変動の前触れの地震のようなものである。

 例えば、平成27年9月に改正された「個人情報の保護に関する法律」、平成28年5月に改正された「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律」と「独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律」は我々に大きな影響を与える可能性がある。何故かと言えば、個人情報の定義がより明確になり、個人情報の活用できる環境の整備が図られ、個人識別符号などが新たに定義されたためであり、医学研究においても個人情報の適切な取り扱いや見直しが行われるはずだからである。ご存知のように、厚生労働省は、いくつかの指針を作成してきたが、「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」、「遺伝子治療等臨床研究に関する指針」、「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」なども見直し対象となってくるはずである。さて、個人識別符号とは、特定の個人の身体の一部の特徴を電子計算機の用に供するために変換した文字、番号、記号その他の符号とされていて、(ア)DNAを構成する塩基の配列、(イ)顔の骨格と皮膚の色、目、鼻、口、その他の顔の部位の位置及び形状によって定まる容貌、(ウ)虹彩の表面の起伏により形成される線状の模様、(エ)発声の際の声帯の振動、声門の開閉並びに声道の形状及びその変化、(オ)歩行の際の姿勢及び両腕の動作、歩幅その他の歩行の態様、(カ)手のひら又は手の甲若しくは指の皮下の静脈の分岐及び端点によって定まるその静脈の形状、(キ)指紋又は掌紋、となっている。我々にとっては、虹彩の模様が入っていることにも注意を払う必要がありそうである。ビッグデータ時代の到来とともに、連結可能匿名化や連結不可能匿名化の定義も変わってくるものと思われる。

 次に臨床研究の法制化である。この法制化をめぐる議論は、未だ記憶に新しいディオバンに関わる臨床研究でのデータ改ざんと企業からの不透明な資金提供が発端となって進められてきたと聞いている。したがって、臨床研究の法制化により、ディオバン事件のような不正に歯止めをかけるとともに、透明性のある産学連携の推進が行われることが期待されている。この「臨床研究法案」は通常国会へ提出されており、製薬企業が資金提供する臨床試験や未承認・適応外薬を対象とした臨床研究について、実施する研究者に、GCP(Good Clinical Practice)のような“モニタリング”や利益相反管理の遵守を義務付けている。となると、例えば、翼状片手術や緑内障手術におけるマイトマイシン使用は適応外使用であり、臨床研究としてのハードルも高く問題となってくるはずであり、関係学会の早急な対応が望まれるところである。

 この法律の理念は納得のできるものであるが、今後、我々が行おうとする臨床研究には多額の研究資金が必要となることも事実である。すなわち臨床治験のような体裁となってくることを覚悟する必要がある。特定臨床研究を実施する研究者には、モニタリング・監査の実施、利益相反の管理などの実施基準の遵守、記録の保存などが義務付けられそうである。また、倫理審査委員会についても、厚生労働大臣認定の「認定臨床研究審査委員会」が設置され、臨床研究中核病院や特定機能病院などに機能を集約化していくようにも見受けられる。すでに動いている再生医療新法における特定認定再生医療等委員会や再生医療等評価部会のような制度設計を目指しているようでもある。このような制度変革に適切な対処ができるように、日本眼科学会のより高次なリーダーシップを期待してやまないところである。

公益財団法人 日本眼科学会
理事 木下  茂

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