日本眼科学会:日本眼科啓発会議「眼科のプレゼンスをどう強化していくか」(120巻12号)
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日本眼科啓発会議「眼科のプレゼンスをどう強化していくか」

 昨年より渉外担当の常務理事を拝命しています。渉外担当理事の役割の一つに、日本眼科啓発会議の活動があります。日本眼科啓発会議が立ち上がったのが2007年で、今から9年前です。この「理事会から」では、日本眼科啓発会議のこれまでの活動内容を紹介し、皆様と眼科における啓発活動の重要性を共有したいと思います。

 日本眼科学会は日本眼科医会との共同事業として、2007年に、日本眼科啓発会議を立ち上げました。日本眼科啓発会議の目的は、視覚の重要性、眼科医療の先進性や社会貢献性、眼科医の重要性を広く国民に伝え、失明者の撲滅、眼疾病の予防に努めることにより、我が国における眼科のプレゼンスを高めることです。2011年からは規約を整備し、眼科関連企業と協働して、日本眼科学会、日本眼科医会、眼科関連企業の三位一体の活動を展開してきました。これまで3期にわたって本格的な活動が行われてきました。啓発対象は、むろん、国民ということとなりますが、眼科医療のさらなる発展を目指すためには、文部科学省や厚生労働省などの行政組織、テレビや雑誌などのメディア、医学系を含む他領域の学会や海外の眼科学会組織、産業界など多様な分野への啓発が必須な時代です。

 第一期(2007年〜2011年)では、第一に、雑誌などの媒体を利用した啓発活動です。親しみやすく、認知も高い「いしいひさいち」氏のキャラクターを活用して、眼疾患や眼科医療に関するインパクトのある数値と注目を高める広告表現を呈示して、「目の大切さ」を啓発してきました。第1回目は視覚の重要性〔80%(目から得る情報の割合)〕、第2回目は白内障手術〔1,000,000件(年間の白内障手術件数)〕、第3回目はコンタクトレンズ障害〔10人に1人(コンタクトレンズ装用者の眼障害発症率)〕を取り上げ、翼の王国、SKY WARD、WEDGEなどに掲載されました。第二に、記者発表会を通じてのメディア啓発活動です。「白内障手術の社会貢献」などをテーマとするプレスリリースを行い、多くのメディアで取り上げられるなど、高い評価を得ました。第三に、眼科医療の社会貢献度の評価を目的とした自主的研究の実施です。眼科医療の社会貢献を啓発するには、客観的なエビデンスが必要であることは言うまでもありません。これについては、「value-based medicine(VBM)」をツールとして、白内障手術をモデルにエビデンスが構築されました。

 次に、第二期(2011年〜2015年)では、事業ごとに、3つの分科会が組織されました。すなわち、第一分科会:国民への啓発事業・広報事業、第二分科会:記者発表会、第三分科会:学生・研修医教育事業です。第一期に引き続き、第一分科会、第二分科会において、VBM推進事業ならびに記者発表会が行われ、前者ではすでに論文3報において報告され、後者では、強度近視、緑内障、3D映像、金環日食、iPS細胞による再生医療、色覚検査、カラーコンタクトレンズなどのテーマが取り上げられました。この第二期で特記すべきは、第三分科会のミッションである眼科サマーキャンプです。2004年に新医師臨床研修制度の導入以降、眼科医を目指す人が激減していることに対して、抜本的対策として開始されたのが本事業です。眼科を将来の進路の有力候補と考えている初期研修医(1年目、2年目)、医学生(5年生、6年生)を対象に、眼科の魅力を実践的スキル、講演を軸とする2日間のプログラムで紹介する一大事業です。本年で5回を終え、毎年200名前後の方が集まり、高い評価を得ています。これもボランティアで参加いただいた指導ドクターの皆様、企業スタッフの皆様のご協力のおかげであり、この場を借りて、拝謝いたします。

 第三期は2015年から開始されました。これまでの啓発事業はかなり効果を上げてきましたが、これで十分であろうか? こういった議論から始められました。振り返ってみると、日本はすでに世界でもトップクラスの長寿国であり、今後総人口が減少する中で高齢者が増加することにより高齢化率は上昇を続け、2035年には3人に1人が高齢者となると予測されています。このように超高齢社会が進むなかで、健康寿命の実現が重要な国策と位置づけられています。しかし、厚生労働省が進める「健康日本21(第二次)」(2013年度から10年間の計画)の目標項目の中に、がん、循環器疾患、糖尿病、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の4つの生活習慣病、こころの健康、ロコモティブシンドローム、歯・口腔の健康などは取り上げられていますが、視覚に関連する記載は見当たりません。このような公共の医療施策の提言の中に、視覚に関わる文言がみられないのはきわめて深刻な問題です。なぜなら、この政策を基本に、医学研究事業の立案や社会保険制度の見直しなど、さまざまな面で具体的な健康・医療に関する事業の構築が行われるからです。健康寿命の実現のために目の健康はコアな要件であることは言うまでもないことですが、行政や国民の認識は異なることをもっと認識する必要があると思います。換言すれば、これまでにもまして、より戦略的な啓発活動や政策提言を行っていかねばならないということであります。

 このような議論があり、第三期には、より効果的な啓発活動を進めるために、分科会を一部改組する(第一分科会:広報事業、第二分科会:政策提言事業、第三分科会:学生・研修医教育事業)とともに、新たな取り組みとして、バズワード事業を開始しました。眼科サマーキャンプ事業は引き続き第三分科会の役割としていますが、むろん、大きな予算もかかりますので、その効果の検証は今後の課題です。ただし、サマーキャンプ開始以後に眼科を選択した人が増加していることから、どのくらいの規模で行うべきかを検討すべきではありますが、今後も継続すべき事業と位置づけています。バズワードとは定義や意味が曖昧でありながら、権威付けする専門用語や人目を引くキャッチフレーズのことです。医学の領域ではメタボリックシンドロームやロコモティブシンドロームなどの成功例があります。視覚の大切さ、眼科医療の重要性を示す「旗印」となるバズワードを作成し、これを使用した啓発行動を強力に推し進めていこうというのがバズワード事業です。本事業の成否の鍵はメタボリックシンドロームに匹敵するような、効果的なバズワードを策定できるかどうかでありますので、眼科医のみならず眼科医療に携わっている方々に広く公募することとしました。すでに、非常に数多くの応募をいただき、現在審査段階に入っています。

 以上のように、2007年に発足した日本眼科啓発会議は日本眼科学会、日本眼科医会、眼科関連企業に属する多くの方々のご尽力で、積極的な眼科啓発活動に取り組み、大きな実績を残してきました。しかし一方で、眼科医療の重要性はまだ十分には国民や行政に認識されていないように思います。日本眼科啓発会議が、これまでにもまして、より戦略的・継続的な啓発・政策提言活動を展開し、眼科のプレゼンスを強化していく道を切り開いていくことを期待してやみません。

公益財団法人 日本眼科学会
常務理事 西田 幸二

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