未熟児の診療は眼科医、特に未熟児保育の施設のある病院の勤務医にとっては避けてとおることのできないものです。
しかし、未熟児の眼底検査や未熟児網膜症の治療については、ほとんどの医師が触れたがらず、大学病院その他の教育施設においても、こども病院のような特殊な施設を除くと未熟児に対する眼科的診療の訓練を行っている、あるいは行える施設はほとんどないといってよいのが現状でしよう。
そのため、ほとんど訓練を受けていない若い医師が病院に出張、就職した時に何をしていいのかわからないということで、良心的な医師ほど深く悩み、消化器の潰瘍を発症しがちとなります。
また、かつては日本は未熟児診療の先端を切っていた時もあり、本症の訴訟が多発したためもあって多くの施設において未熟児診療の訓練も行われていました。
その後、紛争が下火となってきたこともあって次第に教育の熱意がおとろえ、現在の状況となっています。
しかし、現在も本症は発症し失明児が生じています。再び同様の紛争が始まってきています。
そこで、ちょうど時期を得たというべきでしょうか。日本小児眼科学会の監修のもとに、新しい未熟児網膜症の診断基準となるべき小冊子ができてきました。
その内容は本症の歴史や我が国における臨床的病理学的研究に触れ、最も重要な診療開始日や治療開始時期の決定、方法、さらにかつての未熟児診療より現在の方がより困難となっている理由、キセノン光凝固とかわったレーザー光凝固の至適時期、方法、範囲などについて詳細に述べられていて、さらに成功例、失敗例の記載があり、未経験者にとって座右の書として手ばなせないものと思います。
また、今後の紛争は恐らくこの文献を基本として行われることになると思いますので、是非御一読下さい。
日本小児眼科学会の会員諸氏ならびに各大学眼科には一部ずつ無料送呈いたしますが、その他の方は日本小児眼科学会事務局にご連絡いただければ有料にて送付いたします。あまり数多くの部数がありませんので、なくなりましたらお許し下さるようお願いいたします。
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