日本眼科学会:目の病気 フォークト―小柳―原田病
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ぶどう膜の病気

フォークト―小柳―原田病

はじめに
 フォークト―小柳―原田病(以下、原田病)は、急に両眼に網膜剥離が生じて見えにくくなる疾患です。目の病気と思われがちですが、同時に髄膜炎、難聴が生じ、しばらく経過した後に皮膚の白斑、白髪、脱毛などが生じる全身の病気です。昔話の浦島太郎は原田病だったといわれています。亀を助けて海中の竜宮城へ行き(目の見え方がおかしくなる)、宴に興じ(髄膜炎の症状)、帰ってきて(視力の回復)玉手箱を開けると白髪のおじいさんになる(皮膚の白斑、脱毛、白髪の症状)というお話は、まさに原田病ではないでしょうか。

発症の原因
 過去の研究結果からメラニン色素細胞に対する自己免疫疾患だろうといわれています。ふつう免疫反応というと、自分のからだに害を及ぼす異物(細菌やウイルスなど)に対して攻撃し排除するためにからだに備わっている防御機構で、健康を保つために欠かせないものです。しかし、自己免疫疾患とは自分のからだの中にある正常な物質を間違って悪い物質だと認識して免疫反応を起こし、その場所で過剰な炎症が生じる病気をいいます。原田病ではメラニン色素細胞を標的として病気が起きますから、メラニン色素の多い組織、つまり目、耳、髄膜、皮膚、毛髪などで炎症が生じるのです。

原田病の症状
1.前駆症状
 原田病では目に症状が出てくる前に何らかの症状がみられることが多く、それを前駆症状といいます。風邪をひいたときのような頭痛、めまい、微熱、頭皮のピリピリ感、全身倦怠感などがみられます。
2.発症初期の症状
(1)目の症状
 両眼の充血、かすみ、歪視(ゆがんで見えること)、視力低下を自覚し、眼科で検査をしてみると両眼の網膜剥離がみられます(図1)。発症初期は日ごとに視力が下がっていくため大変不安に思う方も多くみられます。程度や発症時期に左右差がみられることもあり、片眼だけの自覚症状の方や、ほとんど網膜剥離がなく視力低下もわずかばかりという方もいます。

図1.原田病発症初期にみられる網膜剥離
(北海道大学大学院医学研究科眼科学分野 南場研一診療准教授提供)

(2)耳の症状
 内耳での炎症により感音性難聴、耳鳴り、めまいなどがみられます。難聴の程度は個人差が大きく、どちらかというと自覚症状のない人のほうが多く、耳鼻咽喉科での検査ではじめて検出される方がほとんどです。しかし、なかには両耳がほとんど何も聞こえなくなってしまう方もいます。
(3)髄膜炎の症状
 髄膜炎に伴う頭痛、発熱、頭皮のピリピリ感、全身倦怠感などがみられ、多くは眼症状に先行し前駆症状として現れます。
3.発症後期の症状
 発症早期の症状から回復したあとで、炎症が再発を繰り返したり、わずかな炎症が持続(遷延化)したりすることがあり、そのために生じてくる症状があります。
(1)目の症状
 後期にはぶどう膜炎の再発あるいは遷延化が時にみられますが、発症初期と違って、虹彩(茶目のところ)での軽い炎症が多く、網膜剥離が生じることはまれです。したがって、自覚症状も軽い飛蚊症、充血といったものであり、視力もそれほど下がりません。しかし、そのような軽度の炎症を繰り返していくことで、あるいは炎症の遷延化により、数年から数十年かけて視力が下がっていきます。眼底は徐々に脈絡膜色素が崩壊して夕焼け状眼底という赤い眼底に変わっていきます(図2)。

図2.夕焼け状眼底
原田病の後期には徐々に脈絡膜の色素が抜けて、赤っぽい夕焼け状眼底という状態になる。
(北海道大学大学院医学研究科眼科学分野 南場研一診療准教授提供)

(2)皮膚の症状
 発症初期には皮膚症状はほとんどみられませんが、炎症の遷延化とともに発症後半年から数年後に白斑、脱毛、白毛がみられるようになります。頭髪だけでなく、まつ毛やまゆ毛も白くなったり抜けたりします(図3)。

図3.皮膚症状
皮膚白斑、まつ毛の白変がみられる。
(北海道大学大学院医学研究科眼科学分野 南場研一診療准教授提供)

原田病の検査
 原田病に対する治療は副作用を伴う強力な治療であることから、治療を行う医療者側も確実な診断を得たうえで治療を開始します。そのために以下のような検査を行います。
(1)蛍光眼底造影検査
 腕から造影剤を注入しながら眼底写真を連続して撮影する検査で、その造影剤が時間の経過とともにどのように眼底の血管を流れるか、組織へ浸潤していくかをみる検査です(図4)。フルオレセインという色素、インドシアニングリーンという色素を使った検査を行いますが、いずれも原田病の診断にとって大事な検査です。

図4.フルオレセイン蛍光眼底造影写真
漏出点が多数みられ、網膜剥離に一致して蛍光色素が貯留している。
(北海道大学大学院医学研究科眼科学分野 南場研一診療准教授提供)

(2)光干渉断層計(OCT)
 眼底の断層の状態をみることができる検査で、原田病では眼底検査ではみえないわずかな網膜剥離を検出でき、治療効果判定に役に立つ検査です(図5)。

図5.光干渉断層計(OCT)像
網膜下に液体の貯留がみられ、網膜剥離が生じている。
(北海道大学大学院医学研究科眼科学分野 南場研一診療准教授提供)

(3)Bモード超音波検査(エコー)
 原田病の初期にみられる脈絡膜の肥厚を超音波検査でみることができます。
(4)血液、尿検査
 特別に原田病だけに陽性となる検査はありません。別な病気ではないことを確認するために必要な検査です。
(5)聴覚検査
 自分では気づかない聴力低下を検出することができます。
(6)髄液検査
 原田病初期の髄膜炎を診断するために行います。

原田病の治療
 原田病の初期の症状は治療をしなくてもいったんはよくなります。しかし、その後に再発を繰り返して遷延化し、徐々に視力が下がっていくことが問題となります。したがって初期治療の目標は、間違った免疫反応を取り除いて再発や遷延を防ぐことにあり、そのためにはできだけ発症から早い時期に強力な治療を開始するのがよいとされています。しかし残念ながら現在の医学では確実に再発や遷延を防ぐ治療法はなく、どんなに強力な治療を行っても20〜30%に再発や遷延がみられるのも事実です。
 また、原田病は目に強い症状がみられますが、これまで述べてきたように全身の病気ですから、目だけの治療では不十分であり全身治療が必要となります。
 日本で行われている初期の治療は免疫抑制作用・抗炎症作用に優れた副腎皮質ステロイド(以下、ステロイド)を大量に全身投与する方法です。施設によって違いますが、ステロイド大量療法もしくはステロイドパルス療法を行うのが一般的です。いずれも点滴から開始して途中から内服に切り替えます。ステロイドには多くの副作用があるので、入院して治療を受けることが一般的です。ステロイドの副作用には個人差があり、まったくみられない方もいれば、さまざまな副作用に苦しむ方もいます。ステロイドによる治療は急にやめることができません。ゆっくりと投与量を減らしながら、途中で炎症の再燃がない場合でも半年くらいかけて治療します。途中で炎症の再燃があったり再発・遷延化する場合にはステロイドの治療を1年以上あるいは数年にわたって続けなければならないことも少なくありません。

おわりに
 原田病は比較的視力予後の良いぶどう膜炎といわれていますが、再発・遷延化のために副作用の多いステロイド治療を続けなければならない方も多く、治療法が確立されているとは言えません。今後さらなる病態解明、そして有効性が高く副作用の少ない新たな治療法の開発が望まれます。

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