日本眼科学会:目の病気 眼瞼けいれんと顔面けいれん
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眼瞼けいれんと顔面けいれん

はじめに―名前は似ているが違う病気
 眼瞼けいれんと顔面けいれん(正式には片側顔面けいれん)とは、名称が似ていますが、違う病気です。「けいれん」という病名がついているので、何となく「ピクピクする病気」と思われるでしょうが、片方の目の周りや、頬や口の周囲がぴくぴくと動く病気が「顔面けいれん」です。一方、眼瞼けいれんのほうは必ずしもぴくぴくはしません。不要な瞬目が増える、自由に目を開けることができないことが「けいれん」の正体です。
 「眼瞼けいれん」は、自由に目が開けにくくなったり、瞬きが増えたりする、いわば目の開け閉めのスイッチが故障した状態です。そして、「まぶしい」、「目が乾いた感じがする」、「目をつぶっているほうが楽」あるいは「自然と両目あるいは片目が閉じてしまう」といった自覚症状で受診します。この病気の大半は「ドライアイ」と間違えられていますが、ドライアイの治療をしても一向に良くならないのが特徴です。
 顔面けいれんは、片側の目の周囲や顔の筋肉が無意識のうちに勝手に動くもので、うっとおしいばかりでなく、顔がゆがみ、ひどい場合は片眼が閉じてしまうため生活にも不都合が生じます。

「眼瞼けいれん」とは
 眼瞼けいれんは、「まばたきの制御異常」もしくは「開閉瞼の切り替え故障」と捉えると分かりやすいです。まばたきや、瞼(まぶた)の開閉を制御しているのは脳の神経回路ですから、症状は目のあたりにありますが、故障部位は脳のコンピュータということになります。ただし、磁気共鳴画像(MRI)などでは故障部位は映りません。
 瞼のこうした運動障害に加えて、まぶしい、目の周辺が不快、痛い、目が乾く感じなど感覚過敏があるのも特徴です(表参照)。さらに抑うつ、不安、不眠など精神症状を持つ人も半数近くあり、うつ病などと間違えられることもあります。
 治りにくい病気で、40〜50歳以上に多く、女性は男性の2.5倍もかかりやすいものです。目がまったく開けられないほど重症な例は少ないですが、一見しただけでは分からないような軽症例を含めると、日本には少なくとも30〜50万人以上の患者さんがいると推定されます。

表.眼瞼けいれん患者の多彩な訴え(n=76、重複あり)
まぶしい 95%
目を開いているのがつらい、目をつぶっていたほうが楽 92%
目が乾く 51%
目が自然に閉じてしまう 49%
目がうっとうしい、ごろごろする 41%
下を向いていたい 34%
瞼が垂れる(目が細くなった) 29%
まばたきが多い 26%
片目をつぶってしまう 26%
手指を使わないと開瞼できない 16%
眉間にしわがよる 12%
目の周囲が動く 8%
(井上眼科病院 若倉雅登先生提供)

よくドライアイと間違えられる
 眼瞼けいれんの重症例では、開瞼不能であり、上下の眼瞼を硬く閉じ、まぶたの周囲や眉間にしわを寄せる特有な顔貌をしています。
 多いのは軽症、中等症例で、表にみられるさまざまな自覚症状があり、それが常時気になって集中できない、などの不快な症状が強く、頑固に続きます。
 また目が乾くと訴える例も多く、その他の訴えも眼表面障害のものに類似しているため、しばしばドライアイと診断され、治療されています。ほかには眼精疲労、自律神経失調症、更年期障害、神経症などと診断されたり、診断もつかぬまま引きこもっている例もかなりあると推定されます。
 通常のドライアイ患者ではみられない日常生活上の特徴は、自身の移動に関することを考えてみると分かります。歩行中に人や物にぶつかったりぶつかりそうになる経験をしたり、車や自転車で走行中の事故も少なくなく、運転を諦めている人も多くいます(図)。

図.自動車運転を行っている(いた)
眼瞼けいれん患者の支障の有無と支障の内容(n=28、単位%)
(井上眼科病院 若倉雅登先生提供)

 このように、日常生活の大きな支障を来すので、仕事ができなくなったり、精神的にも辛い状態に追い込まれている人も少なくありません。

「眼瞼けいれん」の治療と効果
 多くの場合は原因が不明ですが、安定剤、睡眠導入薬、抗精神病薬の連用や化学物質への曝露が原因や誘因になっている場合は、可能な限りこれらの薬の服用を中止したり、曝露しないようにすることが大切です。
 根治的に治す方法はありません。最も用いられる対症治療(病気自体を治すことはできないですが、症状を改善する治療)は、眼周囲の皮膚にボツリヌス毒素Aを製剤にしたものを少量注射して、目をつぶる力を弱める方法です。効果は2〜4か月持続します。ほかには、クラッチ眼鏡、眼瞼の手術(いろいろな方法があります)、薬物療法がありますが、いずれも補助的な治療です。難治ですが、5%前後の例で改善傾向を示すとのデータもあります。なお、抑うつ感があると症状が悪化するので、心の安定が必要な病気でもあり、自分自身でのメンタルケアは必要です。そのためにも、病気に対する理解が非常に重要で、治そう治そうと焦るのは禁物です。

「片側顔面けいれん」とは
 片側の目をつぶるための筋肉、笑うときに収縮する筋肉、口の開閉にかかわる筋肉が勝手に収縮したり、収縮と弛緩を繰り返してピクピクしたりする病気です。40歳以上に多く、男女比はほぼ1:2です。初期の頃は、目の周囲だけが気になりますが、だんだん片側の顔全体の筋肉の勝手な運動が出没するようになります。このピクピクは話したり、笑ったり、食べたり、目や口を動かしているときに出やすく、また緊張すると出る人もあります。なかには、耳鳴りを伴う例もあります。
 片側の顔面神経が脳幹から出てくるところで、正常な血管(動脈)とぶつかって、勝手に興奮させられている場合が、原因として最も多いものです。顔面神経は、上に示したような筋肉の運動を起こしている運動神経で、痛みの神経とは無関係ですので、痛みは伴いません。
 なかには血管でなく腫瘍や血管瘤が神経にぶつかっていることもあるので、一度は画像診断しておくほうがよいとされます。また、顔面神経麻痺の治りかけに出現する症例もあります。
 両側に起こることは非常にまれです。また、健常な人に、過労や睡眠不足を契機に、眼周囲の筋肉のごく一部だけに虫の這うような勝手な動きの出る「眼瞼ミオキミア」という状態があり、ときどきこの病気と間違われます。しかし、これは顔面けいれんとは無関係のもので、生活の改善で自然に治ります。

「片側顔面けいれん」の治療
 治療は脳外科的に神経と血管がぶつからないようにする手術が最も根治的治療ですが、特に60歳以上ではリスクもあるので勧められません。最近は勝手に動く筋肉にボツリヌス毒素A製剤を少量注射して、いわば麻酔によってけいれんを止める方法が主流になりつつあります。効果は3〜4か月です。

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