日本眼科学会:目の病気 複視
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複視

はじめに
 物が、二重に(二つに)見えることを複視といいます。複視の原因はさまざまあります。その原因について、解説をさせていただく前に、片目で見える複視か両目で見える複視かを鑑別してみましょう。
 複視は、片目で見たときに存在するでしょうか?もしくは、両目で見たときに存在するでしょうか? 右手で、右目を隠してみてください、複視は存在するでしょうか? もし、そのとき複視を自覚すれば、左目の異常です。その逆に、左目を隠したときに自覚する複視は、右目の異常です。この片目で見える複視を片眼性複視といいます。原因としては、単眼ごとの疾患や屈折の異常(乱視など)が考えられます。この原因については、別の項に解説をゆだねます。
 片目で見たときには一つになり、両目で見たときのみに二つになる複視を、両眼性複視といいます。右目と左目で違うものを見ているとき、つまり斜視(図1:目の位置にずれがある)があるときに存在する複視が両眼性複視です。本項目では、両眼性複視について解説いたします。

図1.斜視による両眼性複視
(北里大学医学部眼科 後関利明診療講師提供)

原因
 目のずれがどちらにあるかで、原因を4つに分類して説明いたします。
1.外斜視
 右目の映像は正面より左側にずれ、左目の映像は正面より右側にずれて見えます。右目と左目の映像が交差して複視を自覚します。
(1)動眼神経麻痺
 瞼(まぶた)が垂れる(眼瞼下垂)、目の動きが悪い(眼球運動障害)や、目が外側に向いてしまったことを主症状として発症します。眼瞼下垂は、瞳を覆うような重症な下垂であることが多いです。眼球運動障害は、外向き以外の3方向(上、下、内)が障害されます。眼瞼下垂が重症なためかえって複視を自覚しない症例もありますが、眼瞼を拳上することで複視を自覚します。眼瞼下垂、眼球運動障害に加え、瞳が広がって(散瞳)、光に対する反射がなくなっている場合があります(瞳孔障害)。原因としては、瞳孔障害がある場合は、脳動脈瘤(図2)である可能性が高く、頭痛を伴うことも少なくありません。脳動脈瘤の破裂は、クモ膜下出血を発症して、命にかかわることもあるため、早急に磁気共鳴画像法(MRI)などの頭蓋内の精密検査、および脳神経外科による処置が必要となります。瞳孔障害がない場合は、動眼神経の虚血や脳梗塞、頭部外傷などが原因として考えられます。しかしながら、瞳孔障害がないからといって脳動脈瘤の存在を否定してかかることはできません。

図2.脳動脈瘤(矢印)
(北里大学医学部眼科 後関利明診療講師提供)

(2)内側縦束症候群
 脳梗塞や多発性硬化症が原因で、脳の内側縦束という部位に障害が起こると、片目の内側への目の動きが障害され、外斜視を来し複視を自覚します。もう片方の目は、外転時に水平向きの眼球振盪(眼球がゆれる、眼振)をその目だけ認めます(単眼性眼振)。
2.内斜視
 右目の映像は正面より右側にずれ、左目の映像は正面より左側にずれて見えます。右目、左目の映像は、同側にずれる複視を自覚します。
(1)外転神経麻痺
 眼球を外側に動かす神経が麻痺(動きがわるくなる)し、複視を自覚します(図3)。複視は、麻痺側を見ようとすると悪化します。原因としては、脳血管障害、糖尿病、頭部外傷などが考えられます。通常、片眼性ですが、脳腫瘍などで頭蓋内圧が上昇した際は、両眼性の外転神経麻痺を引き起こします。

図3.左目の外転神経麻痺
(北里大学医学部眼科 後関利明診療講師提供)

(2)開散麻痺・開散不全
 より目を輻湊といい、その反対(離し目)を開散といいます。開散が上手にできなくなる状態を開散麻痺といいます。片目ずつの目の動きは障害されません。近くを見たときの、複視の自覚はなく、1〜2 mより遠くを見たときに、複視を自覚します。脳の付け根の部分である脳幹と呼ばれる部分の障害で起こるといわれています。はっきりとした原因が不明のこともありますが、脳血管障害、脳腫瘍、外傷などで発症するといわれています。
 また、近視に伴い、開散麻痺に類似した症状を呈する場合があることが判明してきています。特に強度近視の人は、眼軸(眼球の長さ)が長い傾向にあります。通常は眼軸が長い人は、眼窩(目を取り囲んでいる周りの骨)長も長いです。しかしながら、眼軸長に比例せず眼窩長が短い人は、眼軸長と眼窩長の不一致を起こし、開散不全を呈することがあります。この眼軸性斜視をその形態から別名「窮屈症候群」と呼んでいます(図4)。

図4.眼軸長、眼窩長の不一致によって出現する開散不全(MRI画像)
左写真:不一致症例。正常に比べ、眼軸長と眼窩長に不一致がある。右写真:正常例。
(北里大学医学部眼科 後関利明診療講師提供)

(3)輻湊けいれん(近見反応けいれん)
 より目(輻湊)が本人の意思に反し過度に働き、内斜視となる状態をいいます。内斜視の程度は時間によって異なり、正位を認めることもあります。原因としては、ヒステリーやうつ病が多いといわれています。脳出血や脳腫瘍が原因の場合もあり、頭蓋内の画像検査が必要となります。
3.上下斜視
上下に眼位がずれ、垂直方向の複視を自覚します。
(1)上斜筋麻痺
 目を内下方に引っ張る筋肉である上斜筋の動きが悪くなるため複視を自覚します。筋肉の動きは、目を内下方に動かす以外に内向きにねじる(回旋)働きがあり、内向き回旋も同時に障害されます。そのため、患側を見ると複視は減弱し、健側を見ると複視は悪化、患側に首を傾けると複視は悪化し、健側に首を傾けると複視は減弱します(図5)。
 原因としては先天性、脳循環不全、糖尿病の末梢神経障害、外傷などが挙げられます。先天性が年齢とともに顕性化することもあります。後天性発症の一部は、自然経過によって改善することがあります。そのため治療で手術をする際は、半年以上の経過をみたのちにする必要があります。

図5.左目の上斜筋麻痺
上写真:左目の内下転障害。
左下写真:右頭部を傾斜させた場合。眼位は正しい位置にある。
右下写真:左頭部を傾斜させた場合。左眼が上方に偏位する。
(北里大学医学部眼科 後関利明診療講師提供)

(2)斜偏位
 脳の付け根である脳幹という部分や、その脳幹の後方にある小脳の障害で出現します。眼球の運動には制限はありませんが、上下のバランスがくずれ、上下の複視を自覚します。原因の多くは血管障害ですが、それ以外にも腫瘍、神経変性疾患、脱髄(神経のさやが剥ける病気)などで出現します。
 また開散麻痺の原因の一つである「窮屈症候群」と同様の発生機序で、斜偏位様の上下複視が出現することが最近判明してきています。
4.その他
 眼位ずれの方向が不規則な疾患
(1)甲状腺眼症(図6)
 甲状腺機能の異常に伴い、眼球運動障害、眼瞼腫脹、眼瞼後退、眼球突出などを来す疾患です。甲状腺ホルモンの数値が正常でも、甲状腺関連の自己抗体(自分のからだを攻撃する免疫機能)が存在すると甲状腺眼症を発症する恐れがあります。眼周囲の筋肉が腫大し、眼球運動障害を来します。特に下直筋腫大に伴う上転障害が多く、その次に内直筋腫大に伴う外転障害が多いです。その結果、上下斜視、内斜視を認めます。その性状は症例によってさまざまです。次の重症筋無力症と対照的に、朝重く、時間とともに軽くなっていく例が多いものです。

図6.甲状腺眼症
上写真:両目の眼瞼後退(特に右目)、左上斜視。
下写真:MRIで眼周囲の筋肉の腫大(赤矢頭)。
(北里大学医学部眼科 後関利明診療講師提供)

(2)眼筋型重症筋無力症
 自己抗体のために神経から筋肉へ命令を伝える部位において、神経伝達が上手にできなくなる病態で、筋肉の疲労が蓄積したり、脱力を来したりする疾患です。その中で、特に眼周囲のみの症状を来すものを眼筋型といいます。症状は、眼瞼下垂、眼球運動障害です。症状は、朝軽く、夜悪化します。

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