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目の病気

網膜・硝子体の病気

網膜剥離

はじめに
 網膜剥離は治療せずに放置した場合、失明する可能性の高い病気です。どの年齢でも網膜剥離になる可能性がありますが、20歳代と50歳代の人に多いといわれています。
 網膜剥離の治療の中心は手術療法です。手術により、最終的には約95%の確率で網膜を元の位置に戻してやること(網膜復位)が可能です。

網膜の構造
 網膜は物を見るための神経の膜です(図1)。光があたるとそれを電気信号に変えて、視神経を介して脳に刺激を伝えます。網膜は10層の組織から構成されていて、最も深い部分を網膜色素上皮と呼びます。物を見る中心部分を黄斑(おうはん)と呼び、ここは光に対して非常に敏感な部分です。

図1.眼球の立体構造

網膜剥離とは
 網膜剥離とは、何らかの原因で網膜が網膜色素上皮から剥がれてしまう状態のことです。網膜に孔(あな)が開くことによって起こるものや、滲出液という水分が網膜の下に溜まって起こるものなど原因は様々です。最も多いのは、網膜に孔(網膜裂孔)が開いてしまい、眼の中にある水(液化硝子体)がその孔を通って網膜の下に入り込むことで発生する網膜剥離(裂孔原性網膜剥)です(図2)。一般に、初めのうちは剥離した網膜の範囲は小さくても、時間とともにだんだんこの範囲が拡大するというような経過をたどります。重症の場合は全ての網膜が剥がれてしまいます。網膜に孔が開く原因として、老化・網膜の萎縮・外傷などがあります。剥がれた網膜は光の刺激を脳に伝えることができません。また、剥がれた網膜には栄養が十分ゆきわたらなくなるため、網膜剥離の状態が長く続くと徐々に網膜の機能が低下してしまいます。そうなると、たとえ手術によって網膜が元の位置に戻せたとしても、見え方の回復が悪いといった後遺症を残すことがあります。

図2.裂孔原性網膜剥離のイメージ

網膜剥離の症状
 網膜剥離の前駆症状として飛蚊症(小さなゴミのようなものが見える症状)や光視症(視界の中に閃光のようなものが見える症状)を自覚することがありますが、無症状のこともあります。病状が進んでくると視野欠損(カーテンをかぶせられたように見えにくくなる症状(図3))や視力低下が起きます。網膜には痛覚がないので、痛みはありません。

図3.視野欠損のイメージ

網膜剥離の治療
 網膜裂孔だけであれば、レーザー治療で網膜剥離への進行が抑えられることもあります。すでに網膜剥離が発生してしまった場合、多くは手術が必要となります。手術は大きく分けて2つの方法があります。
 ひとつは眼の外から網膜裂孔に相当する部分にあて物をあてて、さらに孔の周りに熱凝固や冷凍凝固を行って剥離した網膜を剥がれにくくし、必要があれば網膜の下に溜まった水を抜くというやり方です。剥がれた網膜を目の中から押さえつけるために、眼内に空気や特殊なガスを注入することがあり、この場合は手術後にうつぶせ安静が必要です。
 もうひとつの方法は、眼の中に細い手術器具を入れ、眼の中から網膜剥離を治療する硝子体手術という方法です。この方法では、剥がれた網膜を押さえるために、ほぼ全例で眼の中に空気や特殊なガスを入れます。

網膜剥離の予後
 手術療法によって多くの網膜剥離は復位させることができますが、一度の手術で網膜が復位しないために、複数回の手術を必要とすることもあります。また、最大限に手を尽くしても、残念ながら失明してしまう場合もあります。
 網膜剥離の重症度にもよりますが、手術療法では数週間の入院を要することが一般的です。日常生活や運動などが始められるようになるまでの時期に関しては、個々のケースで異なるため、医師とよく相談する必要があります。
 術後の視力に関しては、もともと黄斑が剥がれていない場合には手術前と同程度にまで回復する場合もありますが、黄斑が剥がれてしまっていた場合には、元通りの視力に戻ることは難しくなってしまいます。網膜剥離が発生から間もない状態であり、剥がれている範囲も小さい場合は、手術も比較的簡単で見え方も元通りに回復する可能性が高いといえます。飛蚊症や光視症のような症状を自覚した場合には、早めに眼科医の診察を受けることが大切です。

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