2021/04/10

日本眼科学会の会計状況

 平成31年4月から、日本眼科学会の会計担当理事を拝命しています。最近の日本眼科学会の会計の状況についてご報告させていただきます。

 会計の決算は、前年度分を3月の理事会および春の日本眼科学会総会の際の評議員会で報告して、ご審議いただきます。また、秋の日本臨床眼科学会の際の理事会では、当該年度の推定決算(補正予算)案と次年度の予算案をご審議いただきます。日本眼科学会の会計年度は2月1日から翌1月31日までとなっています。したがって、昨年の春は令和元年度の決算が審議され、承認いただきました。秋には令和2年度の推定決算(補正予算)案と令和3年度の予算案をご審議いただきました。これまでに承認された決算書は日本眼科学会ホームページの事業報告ページ(https://www.nichigan.or.jp/member/about/summary/jigyohokoku.html)でご覧になることができます。

 第123巻7号の「理事会から」にも書かせていただきましたが、日本眼科学会の通常の年間予算規模はおよそ5億円となっています。主な収入は年会費が約2億3千万円、日本眼科学会総会収入が約9千万円、専門医登録料が約1億1千万円、専門医関連事業等諸々の収入が約5千万円という内訳になっています。支出として大きな金額のものだけを挙げますと、雑誌刊行に約9千万円、総会に約9千万円、専門医制度関連に約1億1千万円、総務費として約1憶1千万円、人件費を含む管理費が約1億1千万円となっています。

 日本眼科学会は平成25年2月1日より財団法人から公益財団法人へと移行し、8年が過ぎました。公益財団法人では収支計算(予算)書をG表と呼ばれる「正味財産増減計算(予算)書」に組換えて、内閣府への提出およびホームページで公開することになっています。

 また、公益財団法人では遵守しなければならない会計3原則があります。

 会計3原則は、
(1)収支相償:公益目的事業について、赤字または収支プラスマイナスでなければならない、すなわち公益目的事業では収益を上げてはいけない。
(2)公益目的事業比率:公益目的事業が費用全体の50%以上とならなければならない。
(3)遊休財産保有制限:公益目的事業費と同額を超えて保有してはいけない。
となっていますので、日本眼科学会の決算もこの3原則をクリアしなければなりません。

 日本眼科学会の公益目的事業としては、
 1:学術集会開催に関する事業
 2:学術書刊行に関する事業
 3:専門医認定、生涯教育、研修施設認定の事業
があります。

 令和元年度の決算に関して「正味財産増減計算書」を見ますと、収支相償について上記3事業はそれぞれ赤字決算となっており、収益を上げておりませんので、3原則の(1)を充たしています。公益目的事業比率については約84%となっており、原則の(2)も充たしています。遊休財産保有制限についても1年分の公益目的事業費を超えていないため、原則の(3)も充たしており、会計3原則はすべてクリアしております。平成26年に東京で開催されたWorld Ophthalmology Congress®(WOC)の寄附金取崩が令和元年度についても収支に計上されていますので、少し変動的になっておりますが、公益財団法人として7期目まできわめて健全な財政状況と言えます。

 しかし、新型コロナウイルス感染症の拡大により、8期目となる令和2年度の会計は大きな影響を受けています(この号が発刊されるときには確定しています)。今後の見通しについても不透明ではありますが、会計もその影響に対応していかなければなりません。会員の先生方のご指導、ご協力を何とぞよろしくお願いいたします。

公益財団法人 日本眼科学会
常務理事 小椋祐一郎