日本眼科学会:理事会から(122巻8号)
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 昨年4月から日眼理事会に参加している千葉大学の山本修一です。国立大学病院長会議の関係で、特定機能病院の要件見直しや、診療報酬改定、医師の働き方改革など、さまざまな制度設計の過程に首を突っ込んでいます。働き方改革は会員の皆さんの関心が高いことと思いますが、今まさに議論が進行中で不確定要素も多いことから、次の機会にいたしましょう。

 さて今年の診療報酬改定では、DPC対象病院における白内障手術が、短期滞在手術等基本料3からDPCに戻りました。DPC制度は急性期医療の標準化と効率化を目的に設立され、平成15年の発足以来、制度の複雑さなどへの批判を受けながらも、在院日数の減少など明らかな効果をもたらしています。このような流れの中で、すべてが包括された短期滞在手術等基本料が導入されたのは医療費抑制が優先されたことにほかなりませんが、片眼・両眼の区別がない、全身麻酔が評価されないなど多くの欠陥が指摘されていました。

 何より問題であったのは、DPC対象病院において二つの異なる評価制度が存在したことであり、私が座長を務める中央社会保険医療協議会(中医協)のDPC評価分科会でも検討が進められてきました。そして今回の改定によりDPC対象病院はDPC制度一本という原則に戻り、点数設定方式Dが採用されました。D方式とは、入院初日に(抗癌剤治療や抗VEGF治療など)集中的に医療資源が投入される疾患が対象となっており、その意味では入院期間がきわめて短い白内障手術に適用されたのは当然のことであり、何ら異論を唱える余地はありませんでした。

 しかし蓋を開けてみて驚いたのはその点数でした。入院初日は2,000点余り。医療機関別係数をかけても大学病院で3万円、地域包括ケア病棟の入院基本料とほぼ同額。とても大学病院で採算の取れる金額ではありません。陰謀説のお好きな先生ならば、「またしても眼科バッシング!」と色めき立つところでしょうか。

 DPC制度では医療資源投入量について膨大なデータが厚生労働省に集積され、その平均値に基づいて点数が設定されています。確かに一見すると、眼科病棟では入退院や手術の出入りは多く、スタッフは多忙を極めていますが、看護必要度はきわめて低く、硝子体手術が主体の千葉大学病院においてすら数%に過ぎません。術後患者の大半が自らうつむき姿勢を取り、数回の点眼を受けるだけですから、重篤な症例を扱う他科に比べれば医療資源投入量は微々たるものです。

 大学病院などの(高度)急性期病院では医療人材を濃厚に配置している(人件費率が高い)ために、大雑把に言って6万円程度の入院単価が必要であり、その一方で眼科は数を稼ぐものの利幅はわずかで、診療密度をみても(経費率の高い)大学病院に入院させるのは割に合いません。もしかして院長から、眼科でもベッドを埋めろと言われてますか? 残念ながらその病院の(急性期病院としての)将来は暗いですね。

 欧米では眼科手術は日帰りが主流であり、日本でも多くの診療所が日帰りの硝子体手術を行っています。医療安全など入院に伴う煩雑な作業を考えれば、数をこなす眼科医にとっても日帰り手術のもたらす利便性は無視できません。もちろん、従来の「外来手術」では、多忙な外来の合間を縫うために手術件数に限界があります。病棟や外来から独立した「日帰り手術センター」を早急に整備する必要があるでしょう。

 教育の観点からは問題があるかもしれません。学生は患者とじっくり付き合う時間が失われ、検査や処置を行う機会が減るかもしれません。しかし、外来や手術へ学生をより積極的に参加させるなど、工夫の余地はいくらでもあるでしょう。また、眼科の病床数が減ると院内における地位が低下するという懸念も聞いたことがあります。そのような懸念を抱くことこそ、(効率性を無視し規模のみに頼る)旧態依然とした考え方にほかなりません。

 いささか過激な意見を申し上げました。眼科は効率化を進めやすい診療科であり、医療体制の革新を率先することにより、患者にも眼科医にも福音をもたらすと信じます。

 最後に余計なことをもう一つ。日本の総医療費に占める眼科医療費の割合は3.5%。医師数全体に占める眼科医数の割合は5%。この差を、眼科への医療費の割り当てが少ないとみるか、パイに比べて眼科医数が多いとみるか。10年後、20年後の眼科医療、眼科医のありようを決めるのは今かもしれません。

公益財団法人 日本眼科学会
理事 山本 修一

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