日本眼科学会:理事会から(122巻10号)
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理事会から

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 平成29年4月から江口秀一郎先生、富田剛司先生とともに日眼の監事を仰せつかりました。これまでは評議員として各種委員会の一構成員という立場で日眼の活動に関わらせていただきましたが、今度は理事会の構成員という立場となり、理事会の活動を間近にみさせていただくこととなりました。公益財団法人の監事に求められる職務や責任につきましては、すでに江口監事や富田監事が本誌上で詳しく述べられておられます。要約すると公益財団法人にとって監事は理事の業務執行を監督する立場となるということで、言い換えると法人活動の公益性が十分担保されているかどうかを確認する立場であるとも捉えられます。私自身がこれまでに関わらせていただいた委員会には専門医制度委員会があり、なかでも専門医試験に関しては試験問題作成、試験監督および合否判定会議など比較的長く経験することができました。日眼の年間総事業費は4億1,282万円余りですが、そのうち専門医制度関連費は7,570万円となっており、日眼事業費の18%を占める一大事業となっています。これだけの予算を投入して得られる成果は何でしょうか。専門医制度委員会につきましても現委員長の平形明人先生からすでに詳細な報告がありましたのでその業務につきまして私の方から付け加えることなどありませんが、この委員会で議論される内容の最もコアな部分は「日本の眼科医の質をいかに高めるか」という点で一貫してきたということです。専門医制度の下で専門医資格を得るために眼科学を総復習する時期を設けるのも重要ではありますが、さらに重要なのは眼科専門医としてより優れた眼科医療を実践できるように不断の努力を惜しまない生涯学習ということになります。この点は初代専門医制度委員長を務められた故水野勝義先生1)が主張されたことであり、これこそが国民へのより良い眼科医療の提供を推し進める推進力となりえるでしょう。その成果の一面は学術集会への参加者数が年々増加していることでも窺えることであり、決算報告書でみると平成29年度の日眼総会での受取総集会会費は9,980万円に達しました。これは前年度と比較して3,800万円の増加です。もっとも、これは交通の便の良い東京での開催だったことも少なからず影響しているでしょうが、それにしても以前の東京開催と比較しても増加傾向は明らかです。監事としてこの一連の収支の関連は評価させていただきたいと感じたところです。

 ところで、日々の臨床業務に専念していると、ともすれば目の前の患者の診療のために脳の大部分を働かせなければならず、なかなか大局的な視点を持つことが困難になるのは人間として至極当然の論理です。しかし、振り返って考えてみると、眼科医療は時代とともに大きく変遷を遂げて現在に至っていることがよく分かります。ちょっと思いつくだけでも、低侵襲手術、各種新規緑内障点眼薬、画像診断、電子カルテ、分子標的薬などの登場などが挙げられ、20世紀と21世紀を境として考えただけでも眼科医療そのものが大幅に変化してきたことが理解されます。視覚障害での障害者手帳交付の原因疾患別の統計でも、1986年当時は第1位が糖尿病網膜症(17%)、第2位が緑内障(12.9%)、第3位が網膜色素変性と白内障が同率(12.1%)でしたが、2006年には第1位が緑内障(23%)となり、第2位が糖尿病網膜症(20%)、第3位が網膜色素変性(14%)となり、白内障は圏外となりました。これが2016年では第1位が緑内障(29%)と変わらないものの、第2位が網膜色素変性(14%)で糖尿病網膜症は第3位(13%)となりました。糖尿病患者数の増加にもかかわらず、糖尿病によって重篤な視覚障害を来す人が相対的に少なくなりつつあることを表しています。これは狭い範囲で考えると、内科と眼科の連携や、糖尿病網膜症や黄斑浮腫に対する眼科医療が効を奏していることを実感できる数字でもあります。さらに、この流れは今後もさらに続き、例えば人工知能(AI)の臨床現場への導入や、ゲノム編集や再生医療技術の疾患治療への応用などが予想され、それとともに医療の形態が変化することが想像されます。ゲノム編集に関して言えば眼科臨床関連誌であるOphthalmology誌でもゲノム編集を応用した常染色体優性網膜色素変性の遺伝子治療に関する基礎研究の論文2)が普通に掲載される時代となっています。また、つい10年ほど前まで、日本において加齢黄斑変性の有病率が増加しつつあると実感されましたが、米国におけるBeaver Dam Eye StudyやBeaver Dam Off-spring Studyに1988年から2013年にかけて参加した20世紀の各年代ごとの最近の統計では、若い世代になるほどある一定の年齢に達したときの加齢黄斑変性の5年発症率は低下していることが報告されています3)。このように時代とともに国民の疾患分布が徐々に変化することにも適切に対応する必要が日眼にも求められるのでしょう。

文献

1)Mizuno K:Ophthalmology in Japan. Arch Ophthalmol 103:597-600, 1985.
2)Tsai YT, Wu WH, Lee TT, Wu WP, Xu CL, Park KS, et al:Clustered regularly interspaced short palindromic repeats-based genome surgery for the treatment of autosomal dominant retinitis pigmentosa. Ophthalmology 2018;doi:10.1016/j.ophtha.2018.04.001.
3)Cruickshanks KJ, Nondahl DM, Johnson LJ, Dalton DS, Fisher ME, Huang GH, et al:Generational differences in the 5-year incidence of age-related macular degeneration. JAMA Ophthalmol 135:1417-1423, 2017.

公益財団法人 日本眼科学会
監事 中澤  満

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