日本眼科学会:理事会から(123巻2号)
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理事会から

 日眼の常務理事会は、理事長以下、庶務担当理事、会計担当理事、編集担当理事、渉外担当理事、保険担当理事、記録担当理事、そして専門医制度担当理事から構成されています。春の日眼総会と秋の日本臨床眼科学会が開催される月を除き、常務理事は毎月、東京の御茶の水にある日眼事務局に集合し、事務局が周到に用意した資料をもとに議事を進めながら問題点の解決に向けた議論をしております。

 常務理事会で取り上げられる事案はその時々で変わるのが常ですが、最近の話題の一つは日本専門医機構から投げかけられた眼科専門医の定数の問題です。多くの日眼会員には直接影響のある問題ではありませんし、このところ新たな火種となってきたのはどちらかというと大都市圏マターですので、何年も前から後期研修医不足に悩んでこられた地方の先生方からは、「何を今さら」といった声も聞こえてきそうです。しかし、大学病院をはじめとする専門医の育成に関わる施設に勤務する眼科医にとってはやはり一大事で、大袈裟な言い方をすれば教室の運営そのものを見直さなければならない問題と言えます。

 そもそも日本専門医機構が発足した当初の理念や目的は、患者目線からすれば、これから診察を受けることになる医師の専門性を明確にし、安心して受診できるようにすること、そして医師側に対しては医学部を卒業後2年間にわたって幅広い初期研修を行い、その後、すなわち卒後3年目以降は生涯の生業となる特定の診療科に所属し(=ひと昔で言うところの入局のこと)、質の高い研修を通して良質な医療を提供していくことにあったハズです。今後もそうでなくてはなりません。しかし、新制度への移行の過渡期にありがちな混乱が生じ、様々な問題、なかでも都市部への医師の偏在にますます拍車がかかる懸念が生じてきたことから、新しい専門医制度の導入と施行はいったん立ち止まり、見直しが図られ、昨年からようやく実施の運びとなりました。同時に、というか昨年からは厚生労働省の意向もあってか、医師(数)の配置にも大きな影響を及ぼすようになり、専攻医の登録についてもいくつかのルール改定が行われました。日本専門医機構が発足してすでに何年も経ちますが、いまだ産みの苦しみの中にあって、それなりに混乱は避けられないのかもしれませんが、結果としてこの数年間は初期研修医の将来を大きく左右しかねない新たなルールが次々と打ち出されては改定が加えられ、彼等と同様、教育機関に勤務する医師や学会の事務局も振り回されっ放しの状態が続いていました。日眼の理事会においても、これまでは恐らく平穏な役回りであったハズの専門医制度担当理事は、現在では最も気苦労の多い役職となってしまっています。

 ご存知でない先生も多いと思いますが、事の発端は以下のとおりです。実は平成30年度から東京、神奈川、愛知、大阪、福岡の5都府県では、初期研修を修了した後は、専門医の資格取得を目指す専攻医(=これまで後期研修医と呼んできた医師のこと)の数を制限(外科、産婦人科、病理、臨床検査の4領域を除く)し、これに連動して5都府県については、大学病院をはじめとする基幹研修施設の受け入れ人数に一定の上限が設けられることになりました。すなわち、医師を目指す若者達にとっては、従来のような「希望どおりの入局」が必ずしも叶わない状況に様変わりしたわけです。むろん、施設間における極端な偏在を解消すべく、以前から各基幹施設の受け入れ人数には学会主導でそれなりに上限を設定していたわけですが、平成30年からはこれまでの自主的なルールとは無関係に日本専門医機構から直接、制限が加えられるシステムに変わったということになります。また、各施設で受け入れ可能な定員については、原則として過去5年間における専攻医の数の平均値をもとに機械的に決められることになりました。したがって、例えば定年退職に伴う教授の交代前後では一時的に入局者数が減るという、ありがちな現象が生じると、数年後には専攻医の受け入れ人数、すなわち定員が減ってしまうことになり、しかも一度減ってしまった定員は理論上、二度と増えることはないという、何とも夢も希望もない制度となっています。都市部であっても、眼科医になることを希望して教室の門を叩く初期研修医の数が各施設で毎年一定のはずはなく、多い年、少ない年があってこそ、何とか組織として持ち堪えている部分は少なくないので、この新しいルールではかなり厳しい教室運営を強いられることになります。また、定員に上限が設けられたことで、自身の出身大学での専攻医の登録が叶わなかった事例も確認されています。

 このルール改正が地方と都市部の眼科医をはじめとする医師の偏在解消の切り札となっていくのであれば、これは一致団結して推進していくべきでしょう。しかし、その効果については取り敢えずスタートを切った初年度は(少なくとも眼科については)機能したとは言えない結果となっています。もっとも、まだスタート地点に立ったばかりの制度ですので、今後はルールの見直しがあるのかもしれませんし、一定の評価を下すには早計に過ぎるかもしれません。

 眼科に限った話ではありませんが、医師の大学病院離れと一定の地域への偏在については、平成16年に始まった新医師臨床研修制度導入後から明らかに加速し、地方からは悲鳴の声が聞かれるようになって久しいのはご存知のとおりです。一方で、例えば東京や大阪には多くのクリニックが存在し、眼科についても例外ではなく、というよりも統計上、眼科は一層、この勤務形態の偏在が加速傾向にあるようで、これはこれで由々しき問題であると感じている先生は少なくないと思います。

 ということで背景はいろいろと複雑ですが、今後、日眼では適正な眼科医の配置とともに、その前提として適正な眼科医の数とはそもそもどのくらいであるのか、といった命題についても検討していくことになっています。さまざまな要因、時代背景、すぐそこに迫りつつある超高齢社会など、簡単に正答が得られるとは思えませんが、専門医制度が掲げる知識と技量を兼ね備えた専門性の高いスペシャリストの育成という、本来の目的と並行して考えていかなければならない課題であり、学問としての眼科学の未来の担い手を育成していくことも日眼の重要な使命であることを考えれば、これは避けては通れない道であろうと思われます。

公益財団法人 日本眼科学会
常務理事 後藤  浩

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