ガイドライン・答申

2014/02/04

先天性風疹症候群(CRS)診療マニュアル

 2012年から続いたわが国における風疹の大流行により、2012年10月から現在(2014年1月10日)までに35人のCRS患者が報告された。CRSが全例報告となって以降では最も多く、2013年夏までの風疹流行から推計すると、2014年初頭までCRSはさらに報告が続くことが危惧されている。
 この風疹流行とCRSの発症を防止するために、日本周産期・新生児医学会は日本産科婦人科学会と共同で2013年7月4日に厚生労働大臣宛てに緊急対策の要望を行った。この際に、CRSの診療マニュアルがないことがマスコミから指摘された。そこで、日本周産期・新生児医学会理事会では「CRS診療マニュアル作成委員会(委員長:久保隆彦副理事長)」を理事会内に立ち上げ、有識者、専門家を学会外部あるいは関連学会から招聘し検討を行った。作成したマニュアルは関連学会のご意見を頂き完成させた。
 この診療マニュアルはCRSを実際に診療する産科医、小児科医のために作成したものである。近年、CRSの報告は極めて少なくなってきており、周産期医はCRSの児の診療をあまり経験していない。そのため、通常の風疹と異なり数カ月以上にわたり風疹ウイルスが検出される症例が存在することや、出生時に特徴的な症候がなくても数カ月後あるいは数年後に眼の異常や聴力障害などが発症することは周知されておらず、診療に不可欠な情報が十分に認識されているとはいえないという現状がある。そして、CRSの児を責任もって診療するコアとなる小児科医の重要性がさらに明らかとなってきた。このマニュアルは実地診療に携わる周産期医の手引きになることを目的として作成された。したがって内容はCQ(クリニカルクエスチョン)と推奨・解説で構成されている。新しい知見が得られれば随時改訂していく予定である。
 診療マニュアルの最後にCRS児の家族会である「風疹をなくそうの会(hand in hand)」の連絡先を掲載した。CRS患者家族をピアサポートすることはとても大切なことである。CRSを診療する周産期医の先生方にはCRSを持つ保護者の皆様にこの患者家族会とコンタクトをとることをおすすめしたい。

先天性風疹症候群(CRS)診療マニュアル(1.45MB)

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