女性医師の活躍・キャリアパス

医学生・研修医の皆さまへ

眼科では約4割が女性です。私たちは学生の頃、男性となんら変わることなく学生生活を過ごしてきました。女性が男性と異なってくるのは、やはり出産後からでしょう。医学生や研修医の若い先生方は、子供ができたら仕事は続けられないな、と感じている人が多いかもしれません。けれど、思い出してください。医学部合格はとても素晴らしいことだったはずです。どうしても医者になりたい、という強い意思がありながらも入学が叶わなかった受験生もたくさんいます。ごく限られた人しか取得できない医師免許をもった女性医師の皆さんが、結婚、出産を機に仕事をやめてしまうのは、社会において大きな損失です。高い志を持っていれば、結婚、出産、子育てをしながらでも、仕事は続けられます。男性医師の理解も時代とともに随分変わり、女性医師が一生涯を通して戦力でいられるように、働き方において様々な改革が進んでいます。
まずは、全国でも少ない女性主任教授からのメッセージを是非ご一読ください。そして、子育てしながら第一線で活躍されている身近な女医さんからのメッセージも読んでいただければ、眼科医としての未来像が浮かんでくることと思います。

アカデミアで活躍しよう

東京医科歯科大学眼科学教室 教授 大野京子

眼科の魅力に、多様な働き方ができるということがあります。大学の教官になる道もその一つです。大学というと、過重労働などの労働条件の悪さを気にする方もいると思いますが、大学の利点の一つに研究(基礎・臨床とも)ができることがあります。非常に長時間の手術などを要する診療科と異なり、眼科では、比較的研究に割く時間が取れることも魅力です。医学生やレジデントのときは「研究なんか興味がない」と思っていても、そのうち、新しいことを成し遂げそれを発表する喜びに気づくことがあります。研究では、国境なく様々な国の方とも共同研究ができ、国際学会で発表したり留学したりしていろいろな人と知り合うチャンスもあります。まだまだ臨床系の女性教授は少ないですが、生涯研究を好きなように続けられるポジションとしてアカデミアがあり、女性の多い眼科こそもっと多数の教授を輩出する分野と思います。ぜひ一緒に頑張りましょう!

京都府立医科大学眼科 鎌田さや花先生

私は母校の眼科に入局し、眼科医としては13年目になります。子育てしながらも臨床を続けられているのは周囲の先生方や家族のおかげで、いつも本当に感謝しています。大学では、斜視弱視・小児眼科・ロービジョンにも携わっており、やりがいと同時に責任の重さを実感する毎日です。
二児の母でもあるので、保育園のお迎えに行った後は、食事の支度をして食べさせお風呂に入れて寝かしつけてと慌しく、自分の勉強や仕事ができるのは主に早朝で、いつも時計とにらめっこです。でも、忙しくてもうまくいかないことがあっても、家で子どもの成長する姿をみると励まされます。
仕事に邁進する時間も家族と過ごせる時間も、自分と家族が元気でいられてこそ。一日一日を大切に、また目の前の患者さんには“受診してよかった”と思っていただけるように、これからも日々精進したいと思います。

グレース眼科クリニック 内藤知子先生

解剖学実習で眼の美しさに魅了され、眼科を志しました。岡山大学医学部を1997年に卒業。眼科入局後は専門医と博士号を取得したのちに出産。産後は3か月で復職しました。当時、毎晩2時間ごとに夜泣きする息子(現在中学3年生)に泣かされました。その後13年間、大学病院の緑内障グループのチーフとして診療を続け、2019年に一念発起し緑内障専門クリニックを開設しました。
私が子育てをしながらもキャリアを中断せずに働き続けることができたのは、家族の理解と支えがあったことは言うまでもありませんが、何よりも私自身が眼科医という仕事に魅了されているからです。眼科の醍醐味は、診断から治療までを一貫して自分で手がけることができること、そして、多くの疾患を手術で“治す”ことができることです。術後患者さんの笑顔こそが、私のパワーの源泉です。


私の愛猫


特技はお弁当作り

宝塚市立病院眼科 柏木奈美先生

はじめまして。私には3歳と0歳の子どもがおり、現在、育児休暇をいただいております。原稿のお話をいただき、私でよいのか不安に思いましたが働き方の一つとして参考にしていただけましたら幸いです。
私は市中病院に勤務しておりますが、幼い子どもがいると突然の発熱などで保育園から呼び出されることが度々あり、患者さんを始め、周りの先生方やスタッフに心苦しくも迷惑をかけてしまうことがあります。1人目の子どもを出産し復帰した際、私が手術の執刀医だと患者さんをはじめ周囲の方へ迷惑をかけるのではと悩みましたが、上司は執刀して当然という態度でフォローしてくださいました。出産前と変わらず診療や手術をさせていただけて嬉しかったです。2人目の出産の際にも快く育児休暇をとらせていただき感謝しております。
眼科は女性医師がとても多く、多様な働き方ができる環境が整っていると思います。育児中でも年齢を重ねても女性医師にとって働きやすい科であると思います。そんな眼科を学生や研修医の皆さんに選択していただけると大変嬉しく思います。

下記ページにも女性医師へのインタビューが掲載されていますので、ご参照ください。