理化学研究所上級研究員 仲泊 聡先生
10代で、ニューロンと意識の関連に興味を持ち、心理学を学びました。20代の初めに、自らが命の危険に晒されたのを契機に、同級生から5年遅れで医学部を目指しました。神経増殖因子の生化学実験で眼科に興味を持ち、30代で、視覚の実体を知りたくて、脳科学と視覚障害学の二足のわらじを履きました。40代に、視覚障害をもつ友人をたくさん得ました。そして、彼らの不便と不安に対する自分の認識が間違っているということに気づきました。50代で、その気づきを他の眼科医にも伝えなければと思いました。それとともに、視覚障害を取り巻く関連職種の方たちとの接点からその歴史を知りました。そして、気が付いたら今の場所にいました。
図は、脳科学に偏っていますが、私の大事な2枚です。
一つは、後頭葉外側部梗塞で変形視を生じた患者の見た当時の私の顔です。
もう一つは、fMRIを使ってカタカナのイの字を見ながら撮った脳画像から文字を再現したときの最初の一枚で、恩師の北原健二先生が日眼総会の特別講演で採用したものです。日本眼科学会雑誌 111: 160-191, 2007に載っています。