日本眼科学会専門医制度規則施行細則
■施行細則の趣旨
第1条
日本眼科学会専門医制度規則(以下「規則」という。)に定められた以外の事項については、この細則の定めるところによる。
■委員会の事務
第2条
専門医制度委員会(以下「委員会」という。)の事務は、公益財団法人日本眼科学会(以下「日本眼科学会」という。)事務所において行う。
■委員
第3条
委員会を構成する委員は、日本眼科学会及び公益社団法人日本眼科医会(以下「日本眼科医会」という。)から24名を選出する。ただし、日本眼科医会からの委員は、日本眼科医会会長の推薦を受けた委員候補者のうちから、評議員会で選出する。
■専門委員会
第4条
規則第7条に規定する専門委員会は、次のとおりとする。
- 卒後研修委員会
- 試験委員会
- 生涯教育委員会
- 資格認定委員会
- その他、本制度の業務を行うために必要と認められた委員会
■卒後研修委員会の業務
第5条
卒後研修委員会は、卒後研修の内容を定め、かつ研修施設の認定に関する業務を行う。
■研修目標
第6条
規則第8条第2号に規定する研修は、医師としての患者に対する心構えや態度の修練とともに、専門医として必要な知識と技能を習得させることを目的とする。
■研修内容
第7条
規則第8条第2号に規定する研修内容は、次のとおりとする。
- 一般初期救急医療に関する技能の習得
- 眼科臨床に必要な基礎的知識の習得
- 眼科診断、ことに検査に関する技能の習得
- 眼科治療に関する技能の習得 関与する眼科手術100例以上(外眼手術、内眼手術、及びレーザー手術が、それぞれ執刀者として20例以上を含む。)
- 症例検討会、眼病理検討会及び抄読会等の出席
- 眼科に関する論文を単独または筆頭著者として1篇以上及び学会(集談会等を含む。)報告を演者として2報以上発表
- 研修カリキュラムの細部は、別表第一に定める。
- 専攻医の研修カリキュラムの細部は、専門研修プログラム整備基準に定める。
- 委員会は、研修にかかわる事務、管理、通信費を徴収することができる。
■研修施設
第8条
規則第9条に規定する研修施設は、次のとおりとする。
- 大学附属病院の眼科。
- 眼科専門医が1名以上常勤し、指導責任者を定めて十分な指導体制がとられている総合病院。
- 大学眼科学教室が研修に適切と推薦した病院。ただし、大学附属病院等において2年の研修を修了した医師が常勤しており、かつ大学眼科学教室が指導の責任をもつものであること。
- 上記第1号から第3号に掲げる研修施設に準ずるものとして委員会が認めた病院。
■研修施設の認定手続
第9条
研修施設の認定を申請する診療施設の長は、次の各号に定める書類を理事長に提出しなければならない。ただし、卒後研修委員会が不要と認めた場合は、第2号以下の書類を省略することができる。
- 研修施設認定申請書
- 研修施設内容説明書
- 専門医勤務に関する施設長の証明書
- 第8条第3号の施設については、大学眼科学教室の主任教授またはこれに準ずる者の証明書
- 研修カリキュラムの計画書
■研修施設の審査
第10条
卒後研修委員会は、前条の規定により申請のあった診療施設について、研修施設として適当かどうかを審査するものとする。
- 卒後研修委員会は、前項の審査を行うに当たって必要に応じて実地調査を行うことができる。
■研修施設の認定証
第11条
規則第9条の規定により認定された研修施設に対して、理事長は日本眼科学会専門医研修施設認定証を交付する。
- 前項の認定証の有効期間は、2年とする。ただし、第8条第1号に該当する研修施設を除く。
■研修施設の変更の報告
第12条
研修施設の長は、研修施設の内容または研修カリキュラムに変更のあったときは、すみやかにその旨を理事長に報告しなければならない。
■研修の申請
第13条
規則第8条第2号に規定する研修を希望する者は、手数料を添えて委員会に研修の申請を行うものとする。
■専門研修施設
第14条
規則第9条に規定する専門研修施設は、専門研修プログラム整備基準に定める。
■専門研修施設の認定手続
第15条
専門研修施設の認定を申請する診療施設の長は、機構が定める書類を提出しなければならない。
■専門研修施設の審査
第16条
卒後研修委員会は、前条の規定により申請のあった診療施設について、専門研修施設として適当かどうかを審査するものとする。
- 卒後研修委員会は、前項の審査を行うにあたって必要に応じて実地調査を行うことができる。
■専門研修施設の変更の報告
第17条
専門研修施設の長は、研修施設の内容または研修カリキュラムに変更のあったときは、すみやかにその旨を報告しなければならない。
■試験委員会の業務
第18条
試験委員会は、専門医認定試験(以下「試験」という。)に関する業務を行う。
■受験資格
第19条
試験は、平成15年以前医師国家試験に合格した者の場合は次の第1号及び第3号の、平成16年以降医師国家試験に合格し、かつ平成29年以前眼科臨床研修を開始した者の場合は次の第2号及び第3号の、平成16年以降医師国家試験に合格し、かつ平成30年以降眼科専門研修を開始した者の場合は次の第3号及び第5号の、いずれにも該当する者でなければ受けることができない。
- 認定された研修施設で5年以上の眼科臨床研修を修了した者、または委員会がこれと同等以上の知識及び技能を有すると認めた者。
- 厚生労働省の定める2年の卒後臨床研修を修了後、認定された研修施設で委員会が定める事項を含む4年以上の眼科臨床研修を修了した者、即ち卒後臨床研修を含め6年以上の臨床研修を修了した者。
- 4年以上日本眼科学会会員であり、かつ受験時に日本眼科医会会員である者。
- 第2号で委員会が定める事項とは、4年以上の眼科臨床研修において、第8条第1号あるいはそれに準ずる研修施設のうち、委員会が当該施設の眼科研修プログラムを承認した施設で、当初2年の間に1年以上の研修をするものとする。
- 厚生労働省の定める2年の卒後臨床研修を修了後、認定された専門研修施設で委員会が定める事項を含む4年以上の眼科臨床研修を行い、専門研修基幹施設で当初2年の間に1年以上の研修をするものとする。
■受験の手続
第20条
試験を受けようとする者は、次に掲げる書類に手数料を添え、これを理事長に提出しなければならない。
- 受験願書
- 受験票(写真)
- 研修修了証明書
- 研修報告書
- 日本眼科学会及び日本眼科医会会員証明書
- 医師免許証(写)
- 単独または筆頭著者としての論文別冊
- 学会報告及び論文目録
■試験
第21条
試験は、主として第7条の研修内容について、年1回行う。
■生涯教育委員会の業務
第22条
生涯教育委員会は、規則第11条第2項に規定する専門医の資格更新のため履修すべき生涯教育に関し次の業務を行う。
- 生涯教育に必要な講習会等の企画、運営
- 履修項目及びその単位の認定
- 委員会以外のものが行う生涯教育事業の認定
- その他生涯教育に必要な事業
■資格認定委員会の業務
第23条
資格認定委員会は、次の業務を行う。
- 専門医資格及び指導医資格の認定と登録
- 資格更新の認定
- 日本眼科学会専門医認定証の交付
■専門医資格更新の基準
第24条
規則第11条により、専門医の資格を更新することができる者は、次の各号のいずれにも該当するものとする。
- 専門医認定日から5年間以上、眼科臨床経験を有することを大学眼科主任教授もしくはこれに準ずる者、または、日本眼科医会会長が証明した者。
- 専門医認定日から継続して日本眼科学会及び日本眼科医会会員である者。
- 専門医認定日から更新基準に定めるところにより5年間に50単位を取得した者。
- 専門医認定日から5年間に日本眼科学会総会において学会出席による単位を取得した者。
■専門医資格更新の手続
第25条
資格更新を希望する専門医は、次に掲げる書類に手数料を添え、これを理事長に提出しなければならない。
- 資格更新申請書
- 所定単位取得申告書
- 前項の規定にかかわらず、止むを得ざる理由により手続ができない場合は、理事長に資格更新の審査の延期を申請することができる。
■指導医認定の基準
第26条
規則第16条第4号に規定する認定基準は次のとおりとする。
- 5年間に眼科に関する論文を単独または筆頭もしくは共同著者として発表し、あるいは眼科に関する著書の執筆をし、その合計が5篇以上である者。ただし、単独もしくは筆頭著者としての眼科に関する論文1篇以上、または眼科に関する著書の執筆1篇以上を含むこと。
- 5年間に日本眼科学会総会に2回以上参加した者。
- 5年間に委員会が指定する講習を1回以上受講した者。
■指導医認定の手続
第27条
指導医の認定を受けようとする者は、次に掲げる書類に手数料を添え、これを理事長に提出しなければならない。ただし、資格認定委員会が不要と認めた場合は、 第2号以下の書類を省略することができる。
- 指導医認定申請書
- 医学系の博士号取得証明書
- 日本眼科学会総会参加証
- 指定講習受講証
- 論文または著書目録
■指導医資格更新の基準
第28条
規則第17条により、指導医の資格を更新することができる者は、次の各号のいずれにも該当するものとする。
- 指導医認定日から継続して、規則第9条に規定する施設において常勤の医師として指導に当たっていることを大学眼科主任教授、またはこれに準ずる者が証明した者。
- 5年間に眼科に関する論文を単独または筆頭もしくは共同著者として発表し、あるいは眼科に関する著書の執筆をし、その合計が5篇以上である者。
- 5年間に日本眼科学会総会に2回以上参加した者。
- 5年間に委員会が指定する講習を1回以上受講した者。
■指導医資格更新の手続
第29条
資格更新を希望する指導医は、第25条第1項に規定する手続に併せて次に掲げる書類に手数料を添え、これを理事長に提出しなければならない。ただし、資格認定委員会が不要と認めた場合は、第2号以下の書類を省略することができる。
- 資格更新申請書
- 日本眼科学会総会参加証
- 指定講習受講証
- 論文または著書目録
- 前項の規定にかかわらず、止むを得ざる理由により手続が出来ない場合は、第25条第2項の規定を準用する。
■施行細則の変更
第30条
この施行細則の変更は、委員会及び評議員会の議を経て、理事会の議決を得なければならない。
■附則
- 本細則は、昭和57年9月16日から施行する。
- 規則附則第2項に規定する者については、次の各号のいずれにも該当するときは専門医の認定を受けることができるものとする。
- 5年以上の眼科臨床経験を有することを大学眼科学教室の主任教授もしくはこれに準ずる者、または日本眼科医会会長が証明した者。
- 5年以上日本眼科学会会員及び日本眼科医会会員である者。
- 資格更新のため生涯教育基準に定める100単位を5年間に取得した者。
- 前項第3号に規定する100単位は、日本眼科学会の登録を受けた日に応じて、それぞれ次の表の右欄に定める日以降に行った別表第二の項目欄に掲げる生涯教育について算定するものとする。
・昭和58年7月1日から同年12月31日までに日本眼科学会の登録を受けた者
…昭和59年4月1日
・昭和59年1月1日から同年6月30日までに日本眼科学会の登録を受けた者
…昭和59年10月1日
- 第2項により専門医の認定を受けようとする者は、第2項各号の事項を証明する書類に手数料を添え、これを理事長に提出しなければならない。
- 前項の規定にかかわらず、止むを得ざる理由により手続ができない場合は、理事長に認定の審査の延期を申請することができる。
■附則
本細則は、昭和58年9月15日から施行する。
本細則は、昭和62年5月13日から改正施行する。(第7条第3項、第13条)
本細則は、昭和63年9月22日から改正施行する。(第7条第6号、第20条)
本細則は、平成2年5月23日から改正施行する。(別表第二)
本細則は、平成3年5月12日から改正施行する。(第1条)
本細則は、平成6年4月20日から改正施行する。(別表第一)
本細則は、平成6年10月8日から改正施行する。(第3条)
本細則は、平成6年11月2日から改正施行する。(第7条第4号、別表第一)
本細則は、平成10年3月31日から改正施行する。(別表第二)
本細則は、平成11年10月6日から改正施行する。(別表第二)
本細則は、平成15年10月30日から改正施行する。(第15条第1号)
本細則は、平成17年10月6日から改正施行する。(別表第二)
本細則は、平成18年4月12日から改正施行する。(第15条)
ただし、第15条(乙)は、平成17年医師国家試験合格者から適用する。平成16年医師国家試験合格者の場合、厚生労働省の定める2年の卒後臨床研修を終了後、認定された研修施設で4年以上の眼科臨床研修を終了した者、即ち卒後臨床研修を含め6年以上の臨床研修を終了した者が第15条(乙)を満たすものとみなす。
本細則は、平成19年4月18日から改正施行する。(別表第一)
本細則は、平成20年4月16日に改正するが、平成20年4月1日から施行する。(第19条、第20条、第21条、第22条、第23条、第24条、第25条、第26条)
本細則は、平成21年4月15日から改正施行する。(第20条)
ただし、第20条第4号は、平成21年10月1日以後に専門医の認定または更新認定を受けた者から適用する。
本細則は、平成23年10月6日から改正施行する。(別表第二)
本細則は、平成25年4月3日から改正施行する。(第2条、第3条)
本細則は、令和3年10月27日から改正施行する。(別表第二)
本細則は、令和4年4月13日に一部改正するが、令和4年10月1日から施行する。(第4条、第6条、第7条、第8条、第14条、第15条、第16条、第17条、第18条、第19条、第20条、第21条、第22条、第23条、第24条、第25条、第26条、第27条、第28条、第29条、第30条、別表第二)
第24条において、認定日を10月1日から4月1日に変更することに伴い、令和4年10月1日以降に専門医の認定を受けた者の最初の認定期間を5年6か月とし、更新後の認定期間は5年間とする。なお、この更新においては、同条 (1)、(3) 及び (4) 項の「5年」を「5年6か月」とする。
■第19条第4号に定める眼科研修プログラムの承認条件
- 第8条第1号あるいはそれに準ずる日本眼科学会認定研修施設であること。
- 豊富な診療経験を有する眼科専門医の眼科研修委員長を1名定めていること。委員長は従来の眼科研修カリキュラムを充分に踏まえ眼科研修プログラムを統括すること。
- 眼科研修委員長とは別に、各専門領域について豊富な診療経験を有する眼科専門医の眼科研修委員を6名定めていること。各委員は卒後研修教育に大きく関与すること。専門領域とは、角結膜、緑内障、白内障、網膜硝子体・ぶどう膜、屈折矯正・弱視・斜視、神経眼科・眼窩・眼付属器の6領域である。
- 専門領域とは別に、眼科専門医の他科診療連携委員を1名定めていること。委員は他科との診療連携能力の育成に努めること。
- 眼科研修プログラムが専門医制度委員会で承認されること。承認申請期間は1年とし、承認の継続を希望する場合は、以後毎年同様の手続きをすること。
- 眼科研修プログラムの実績報告書が承認後1年以内に提出され、専門医制度委員会で承認されること。
■第19条第4号に定める眼科研修プログラムが承認される施設の定員数に関する条件
- 眼科研修プログラムの承認を受ける施設(以下「眼科研修プログラム施行施設」という。)は、眼科研修プログラムが適正に実行できる人数を、後期研修初年度に関連施設への出向となる人数も含め毎年10名を上限として、専門医制度委員会に定員数を申告しなければならない。
- 専門医制度委員会は眼科研修プログラムの内容、実績報告書及び眼科6領域の研修カリキュラムに沿ったチェックリストに基づき、定員数の承認審査を行う。
- 専門医制度委員会はホームページに眼科研修プログラム施行施設の定員数、定員の空き状況、連絡先等を公開し、眼科専門医志向者に情報提供を行う。
- 専門医制度委員会は眼科研修プログラム施行施設が定員数等適切な研修を行っていない場合、是正の勧告または承認の取消しを行うことができる。
- 眼科研修プログラム施行施設で後期研修初年度の眼科専門医志向者は、施行施設を通じて第13条に基づく研修の申請手続きを必ず行わなければならない。
- 上記事項は平成20年4月1日から適用する。
(別表第一)
■眼科研修カリキュラム
- 医の倫理、チーム医療、患者及びその家族との人間関係、社会との関連性。
- 医療に関する法律。
- 自己学習と自己評価。
- 医療安全と危機管理。
- 臨床医に求められる基本的な診療に必要な知識・技能・態度の修得。
- 一般の初期救急医療に関する技術の修得。
- 眼科臨床に必要な基礎的知識としては、次のものを含む。
解剖、組織、発生、生理、眼光学、病理、免疫、遺伝、生化学、薬理、微生物、衛生、公衆衛生、医療統計、失明予防等。
- 眼科診断技術及び検査のカリキュラムとしては、次のものを含む。
視力、視野、眼底、眼位、眼球運動、両眼視機能、瞳孔、色覚、光覚、屈折、調節、隅角、眼圧、細隙灯顕微鏡検査、涙液検査、導涙検査、蛍光眼底造影、電気生理学的検査、画像診断(超音波、X線、CT、MRI、光干渉断層画像等)、細菌、塗抹標本検査等。
- 眼科治療技術に関するカリキュラムとしては、次のものを含む。
基礎的治療手技(点眼、結膜下注射、球後注射、ブジー、涙嚢洗浄等)、眼鏡とコンタクトレンズの処方及び装用指導、視能矯正訓練、ロービジョンケア、伝染性疾患の治療及び予防、眼外傷の救急処置、急性眼疾患の救急処置、眼科手術、手術患者の術前及び術後処置等。
手術については、執刀者、助手を合わせて総数100例以上。そのうち、外眼手術、内眼手術、及びレーザー手術が、それぞれ執刀者として20例以上。
- 他科との診療連携能力の習得。
- 症例検討会、眼病理検討会、抄読会、各種学会等への出席。
- 眼科に関する論文を、単独または筆頭著者として1篇以上、及び学会(集談会等を含む)報告を演者として2報以上発表。