ガイドライン・答申

2024/03/29

フォン・ヒッペル・リンドウ病診療の手引き(2024年版)

フォン・ヒッペル・リンドウ病における実態調査・診療体制構築とQOL向上のための総合的研究班


フォン・ヒッペル・リンドウ病診療の手引き(2024年版)作成にあたり

 この度、令和4年度厚生労働科学研究費難治性疾患政策研究事業「フォン・ヒッペル・リンドウ病における実態調査・診療体制構築とQOL向上」研究班の研究成果の一つとして『フォン・ヒッペル・リンドウ(VHL)病診療の手引き』を発刊することになりました。
 VHL病診療ガイドラインの初版は執印太郎先生が班長のもと2011年に刊行され、第2版が2017年に刊行され、今回は7年ぶりの大幅改訂となります。VHL病は希少難病であるため、エビデンスとなる文献が少ないことから、今回は「診療の手引き」の形式での発刊といたしました(https://www.vhl-japan.com/medical/)。
 今回もVHL病に関連する各専門学会やエキスパートの先生方にご参加いただき、本疾患の診断治療と生涯に渡る経過観察を行う際に、どのタイミングで治療介入を行うべきか等、国内で最も参考になるものを作成できたと考えております。実際、この7年間でVHL病の患者の予後やQOLを向上させ得る新たな治療方法が保険収載されましたが、いずれも本手引きの内容に反映されています。また、海外に目を移しますとVHL病関連腫瘍である腎細胞癌、中枢神経系血管芽腫、膵神経内分泌腫瘍に対する特効薬であるHIF2α阻害薬: belzutifanの臨床開発が進み、欧米にて2021年に承認されました。本邦においても近い将来に同薬剤が導入されることを切に願う次第でございます。
 最後に、本診療の手引きが皆様の診療に役立つことを祈念するとともに、作成に参画しご尽力いただいた皆様に改めまして厚く御礼申し上げます。
 

2024年2月
フォン・ヒッペル・リンドウ病における実態調査・診療体制構築とQOL向上のための総合的研究班
 中村英二郎