理事会から

2024/01/10

コロナ禍を乗り越えたシン・学術集会

 活気ある、楽しい学会を取り戻す
 「学会に賑わいを取り戻したい」、「楽しくなければ学会ではない」との一念で、第77回日本臨床眼科学会(以下、臨眼)を企画、実施しました(2023年10月)。学会員の皆様の絶大なるご支援とご協力により、参加登録者数は1万2千人を超え、ハイブリッド開催にもかかわらず、約7千人が現地で参加されるなど、過去に例を見ない大規模な学会となりました。心から感謝申し上げます。
 座長/演者には現地での登壇をお願いしたこともあり、どの会場にも多くの人が詰め掛け、活発な討論が行われていました。まさに、コロナ禍を乗り越えた学会になったと思います。

 現地で会うことの大切さ
 会場のあちらこちらで、「久し振り!」、「3年振りだね」のような挨拶が飛び交っていました。画面越しでは伝えきれない気持ちをface to faceで感じ、直接のコミュニケーションや情報交換を楽しまれたことでしょう。
 器械展示場の賑わいも、特筆すべきです。コロナ禍の前より多くの方が来場していた、との声もありました。器械展示はやはり、学会の重要な一部です。

 デジタル抄録集への移行
 今回の臨眼では、紙ベースの抄録集を廃止し、デジタル抄録集に移行しました。一部の年配の先生方からは不満の声も聞かれましたが、アプリの使い勝手が大きく向上したことで、大多数の方はデジタル抄録集の便利さを感じられたと思います。
 デジタル化は、紙の消費を減らし、また郵送代も削減するなど、環境保護への一歩でもあります。

 Wi-Fi環境と充電設備
 デジタル抄録集の完全導入にあわせて、すべての講演会場に無料のWi-Fiを設置しました。また、バッテリー切れ対策として、器械展示場に充電(チャージ)ステーションを設けました。鍵付き充電キャビネットでしたので、充電が完了するまでの時間で器械展示場を探索したり、お茶菓子で一服したりしていただきました。

 力を入れたコングレスバッグ
 当然ですが、コングレスバッグは学会場に来ていただいた方のみにお渡ししています。今回、コングレスバッグ本体と、PCケースorタブレットケースのいずれかの、2つをお渡ししました。WOC2014 TokyoのPCケースは、現在でも世界中で多くの方が使ってくださっています。今回の臨眼バッグも同様に、長く多くの先生に愛用していただけるよう、気合いを込めて作製しました。

 エンターテインメントも
 無料の一般懇親会を開催しました。十数年振りではないでしょうか。会場は満員の熱気に溢れ、7大学対抗パーフォーマンス合戦は爆笑を誘い、大いに盛り上がった会となりました。参加者、出演者の皆様に、御礼申し上げます。
 個人的な趣向として、都内ライブハウスを借り切り、会長ライブと称したロックコンサートを行いました。こちらも多数の方にご参加いただき、会場が酸欠になるほどの盛り上がりをみせました。

 市民公開講座を工夫
 眼疾患について楽しく学んでいただけるよう、大喜利“焦点”を実施しました。TVの大喜利で座布団運びを務めておられる山田たかおさんをお招きし、会場を盛り上げていただきました。現地参加とオンライン視聴合わせて、千名を超える方に視聴していただき、関係者一同、苦労が報われた気持ちです。

 おわりに
 コロナ禍の3年間は、学術集会にとって厳しい試練の時期でした。その時期がようやく終わりを告げた今、単に以前の形式を取り戻すだけではなく、進化した、ニューバージョンの学術集会を実現させたい、という気持ちで計画を進めてまいりました。無事に会期を終えることができ、安堵しています。
 皆様の温かいご支援と積極的なご参加に、改めて感謝申し上げます。これを機に、次世代に向けたシン・学術集会が育っていくことを願ってやみません。

公益財団法人 日本眼科学会
理事長 大鹿 哲郎