お知らせ

2020/08/11
一般の皆さまへ

「両眼視メガネ」について(第2報)

 過日の新聞報道注1)で、「両眼視メガネ」という特殊な眼鏡が存在するかのように国民の皆様に誤解を与えかねない内容がございました。報道は追加して更新注2)されましたが、なかでも斜視や弱視で治療中のお子様をお持ちの保護者の方におかれましては、現在受けている治療にたいして不安に思われたことと思います。
 日本弱視斜視学会、日本小児眼科学会、日本視能訓練士協会、日本眼科医会、日本眼科学会がこの眼鏡を推奨しているわけではないことを明らかにするとともに、正しい情報をご提供します。

  1. 子どもの視力不良、視力の左右差、左右の眼で見ているものを組み合わせて両眼で見る能力(両眼視機能)に異常がある場合には、さまざまな目の病気が隠れている可能性があります。安易に眼鏡を作成することは、せっかくの治療の機会を逃すおそれがあります。
  2. 両眼視機能に異常が疑われる場合には、まず眼科で視機能を評価して診察と診断を受けることが必要です。これらの検査や診断は医師が行う医療行為にあたり、他の職種の方は行うことができません。また、斜視や弱視の治療のために眼鏡が必要であると医師が判断した場合には、適切な検査を行ったうえで眼鏡の処方箋を作成します。医師の処方に基づいて作成された9歳未満のお子さんの眼鏡は「治療用の医療器具」として医療保険の補助を受けることができます。
  3. 子どもの視力検査、両眼視機能の検査、また斜視や弱視の治療としての視能訓練は国家資格である視能訓練士が医師の指示の下で眼科にて保険診療で行っています。
  4. 視力が良くても、文字を読んだり、書いたりすることが苦手な、いわゆる「読書障害」「書字障害」「よみかき困難」「学習障害」のお子さんは、よく見えていても、見たものを意味のあるものに変換することが苦手です。しかし、このようなお子さんの中にも、斜視や屈折異常、調節障害のために眼鏡が必要なかたがおられますから眼科を受診することが大切です。

 お子さんの視力や両眼視にご不安をお持ちの保護者の皆様におかれましては、眼科専門医を受診させていただきますようお願いします。

注1:2020年4月18日付け朝日新聞記事:ツール46「両眼視メガネ」
注2:2020年6月30日までに追加して更新 朝日新聞DIGITAL:ツール46「両眼視メガネ」