26文科振第475号
厚生労働省発科1222第1号
医政発1222第1号
平成26年12月22日
各関係団体の長
文部科学省研究振興局長
常盤 豊
厚生労働省大臣官房長
蒲原 基道
厚生労働省医政局長
二川 一男
「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」の
公布について(通知)
人を対象とする医学系研究(以下「研究」という。)については、「疫学研究に関する倫理指針」(平成19年文部科学省・厚生労働省告示第1号。以下「疫学研究倫理指針」という。)及び「臨床研究に関する倫理指針」(平成20年厚生労働省告示第415号。以下「臨床研究倫理指針」という。)により、その適正な実施を図ってきたところである。
近年の研究の多様化に伴い、両指針の適用関係が不明確になってきたことや、研究をめぐる不適正事案が発生したこと等を踏まえ、疫学研究倫理指針の「第7 見直し」及び臨床研究倫理指針の「第7 見直し」に基づき、両指針の見直しを行い、「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」(平成26年文部科学省・厚生労働省告示第3号。以下「本指針」という。)として両指針を統合し、平成26年12月22日に公布したところ、本指針の主な内容は下記1.のとおりである。
本指針については、文部科学省及び厚生労働省(以下「二省」という。)の補助金等の交付を受けて研究を行う場合に、これを遵守せず研究事業を実施した場合は、補助金の交付決定の取消し、返還等の処分を行うことがあるなど、引き続き厳格な運用を行う方針である。ついては、貴機関又は貴団体管下で研究に携わる者全てに本指針が遵守されるよう、周知徹底をお願いする。また、各研究機関においては、本指針に基づき研究が適正に行われるよう、必要な組織体制や内規の整備等の措置を講じられたい。
なお、本指針に関して、下記2.のとおり今後ガイダンスを作成するとともに、下記3.のとおり問合せ窓口を設けるので、本指針の円滑な運用に向け、併せて関係者に対して周知徹底をお願いする。
記
- 本指針の主な内容
(1)研究機関の長及び研究責任者等の責務に関する規定(第2章関係)
研究機関の長へ研究に対する総括的な監督義務を課すとともに、研究責任者の責務を明確化した。また、研究者への教育・研修の規定を充実した。
(2)いわゆるバンク・アーカイブに関する規定(第1章、第3章関係)
試料・情報を収集し、他の研究機関に反復継続して研究用に提供する機関について、「試料・情報の収集・分譲を行う機関」として位置付け、本指針を適用することとした。
(3)研究に関する登録・公表に関する規定(第3章関係)
研究責任者は、介入を行う研究を実施する場合には、本指針の規定により、あらかじめ、当該研究の概要を公開データベースに登録し、研究計画書の変更及び研究の進捗に応じて適宜登録内容を更新し、また、研究を終了したときは、遅滞なく、当該研究の結果を登録しなければならないこととした。
(4)倫理審査委員会の機能強化と審査の透明性確保に関する規定(第4章関係)
委員構成、成立要件、教育・研修の規定、倫理審査委員会の情報公開に関する規定を充実した。
本指針の規定による倫理審査委員会の設置者は、倫理審査委員会の組織及び運営に関する規程並びに委員名簿を倫理審査委員会報告システムにおいて公表するものとする。なお、既に臨床研究倫理指針の規定により、同システムにおいて当該規程及び委員名簿を公表している倫理審査委員会の設置者は、改めて同システムにおいて公表することを要しないものとする。
(5)インフォームド・コンセント等に関する規定(第5章関係)
研究対象者に生じる負担・リスクに応じて、文書又は口頭による説明・同意等、インフォームド・コンセントの手続を整理した。
また、未成年者等を研究対象者とする場合、親権者等のインフォームド・コンセントに加えて、研究対象者本人にも理解力に応じた分かりやすい説明を行い、研究についての賛意(インフォームド・アセント)を得るよう努めることとした。
(6)個人情報等に関する規定(第6章関係)
死者について特定の個人を識別することができる情報について、研究者等及び研究機関の長の責務規定を充実した。また、研究対象者の個人情報に限らず、研究の実施に伴って取得される個人情報等を広く対象とすることとした。
(7)利益相反の管理に関する規定(第8章関係)
研究責任者や研究者がとるべき措置を明確化した。
(8)研究に関する試料・情報等の保管に関する規定(第8章関係)
侵襲(軽微な侵襲を除く。)を伴い、介入を行う研究に係る情報等は、研究終了後5年又は結果の最終公表後3年のいずれか遅い日までの保管を新たに求めることとした。
(9)モニタリング・監査に関する規定(第8章関係)
侵襲(軽微な侵襲を除く。)を伴い、介入を行う研究について、研究責任者に対し、モニタリングや必要に応じた監査の実施を新たに求めることとした。
(10)施行日(第9章関係)
平成27年4月1日から施行する。ただし、第20の規定(モニタリング・監査に関する規定)については、同年10月1日から施行することとする。
これにより、平成27年4月1日以降に研究機関の長が新たに実施を許可する研究は、本指針の規定によるものとする。第20の規定については、同年9月30日まで適用することを要しないが、当該研究については、あらかじめ研究計画書に10月1日以降のモニタリング・監査の実施体制の見込みについて記載することが望ましい。
(11)経過措置(第9章関係)
疫学研究倫理指針及び臨床研究倫理指針は、平成27年3月31日限り廃止するが、本指針の施行の際現に廃止前の疫学研究倫理指針又は臨床研究倫理指針の規定により実施中の研究(廃止前の疫学研究倫理指針又は臨床研究倫理指針の規定により研究計画書を変更して実施する場合を含む。)については、なお従前の例によることができることとした。
また、本指針の施行前において、現に廃止前の疫学研究倫理指針又は臨床研究倫理指針の規定により実施中の研究について、研究者等及び研究機関の長又は倫理審査委員会の設置者が、それぞれ、本指針の規定により研究を実施し又は倫理審査委員会を運営することを妨げないこととした。
- ガイダンスの策定について
本指針の各規定の解釈や具体的な手続の留意点等については、追って「ガイダンス」を策定し、文部科学省ホームページ及び厚生労働省ホームページに掲載するので、適宜参照願いたい。
- 指針運用窓口について
本指針の運用に関する疑義照会等がある場合、下記に掲げる二省の指針運用窓口のいずれにおいても受け付け、二省で協議を行った上で回答することとする。
なお、医学的又は技術的に専門的な事項にわたる内容については、厚生労働省において受理し、必要に応じ専門家の意見も踏まえて対応する。
【問合せ先】
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