ガイドライン・答申

2017/12/10

オルソケラトロジーガイドライン(第2版)

I 緒言

 屈折異常の矯正手段として、日中活動時に眼鏡あるいはコンタクトレンズの装用が困難な場合、また、医学的あるいは他の合目的な理由が存在する場合には屈折矯正手術が検討の対象となる。しかし、手術療法を希望しない場合においてはオルソケラトロジー(以下、オルソK)という選択肢もあり得る。オルソKの適応は、屈折値が安定している近視、乱視とするが、処方者はオルソKの問題点と合併症について十分な説明を行い、対象者または保護者が納得したうえで処方しなければならない。
 オルソKレンズは、高酸素透過性素材を材料に作製されたリバースジオメトリーと呼ばれる特殊なデザインを持つハードコンタクトレンズ(HCL)であるが、あらゆる点で通常のHCLとは異なる特徴を持つ。すなわち、(1)日中活動時の裸眼視力の向上をその使用目的とする、(2)可能矯正屈折度数には限界がある、(3)角膜中心部がフラット、中間周辺部がスティープ、周辺部がパラレル(アライメント)となる特殊なフィッティング原理を有する、(4)日中の裸眼視力の向上を目的とするため、睡眠時の装用を繰り返すことにより屈折状態を変化させるが、使用を中止すれば元の屈折状態に戻る、(5)特殊なレンズ形状と睡眠時の装用である点で、より入念なレンズ管理を必要とする、などの点が挙げられる。
 このような背景のもと、オルソKの承認と同時に作成されたガイドラインは作成後7年を経過し、一定数の市販後調査データの集積が得られたため先のガイドラインの見直しを行うこととなった。主な改正点は、適応年齢を原則20歳以上とするものとし、未成年者への処方に対しては慎重処方とした。角膜感染症対策として、界面活性剤によるこすり洗いとポピドンヨード剤による消毒を、そして、水道水によるレンズケースの洗浄・すすぎ、その後の乾燥と定期的な交換を推奨した。
 医療は本来医師の裁量に基づいて行われるものであり、医師は個々の症例に最も適した診断と治療を行うべきである。日本コンタクトレンズ学会は、本ガイドラインを用いて行われた医療行為により生じた法律上のいかなる問題に対しても、その責任義務を負うものではない。(日眼会誌121:936-938,2017)