日本角膜学会眼球摘出の手引き作成ワーキンググループ
はじめに
本邦では1954年に第1例目の角膜移植が実施され、1958年に角膜移植に関する法律が公布、同年に施行された。1963年には「眼球あっせん業の許可について」が定められ、あっせん許可を持つアイバンクが成立した。以降、約60年にわたりアイバンクを介して眼球提供と角膜移植が行われてきた。
しかし、国内の眼球提供数が角膜移植待機数を上回ることはなく、むしろ近年では眼球提供者が減少傾向にある。アイバンクは眼球提供の意思を尊重し広く汲み上げて、安全かつ公平な角膜移植の実施に寄与する斡旋機関であり、近年の新しい手術の術式に対応することが求められる。
そこで安全かつ適切な眼球摘出のために、この手引きを作成する。眼球摘出においては、医学的配慮(感染、汚染の回避)に加えて、法律の理解(医師法、臓器移植法のもとに行う)、ドナーおよびご遺族への配慮(ドナーを敬い、ご遺体の尊厳を保つ)が重要である。
この手引きでは、これらの認識を踏まえたうえで、時系列に手順をまとめた。あわせて、参考として、眼球摘出の現場でチェックリストとして活用できるドナー適格性確認票を作成するとともに、頻度は高くないが現場で困窮する出血時の対応についてまとめた。
眼球提供の対応時、また、アイバンクが独自の標準手順書などを作成する際に活用されることを期待する。
(日眼会誌 130 : 41-47, 2026)