石川 均、渡辺 彰英
はじめに
眼瞼は動眼神経支配を受ける上眼瞼挙筋、交感神経支配を受けるMüller筋により挙上もしくは瞼裂が保持されている。これらの筋、ならびにその周辺組織の作用にて眼瞼は正常な機能を営むことができる。正常な状態が維持できなくなり眼瞼が下垂すると視野狭窄や眼前暗黒感、時に涙の異常や羞明感を生ずることもある。
眼瞼下垂の原因は大きく先天性、後天性に分類される。特に後者は加齢やコンタクトレンズの長期使用、白内障や緑内障、硝子体などの内眼手術後に上眼瞼挙筋腱膜のたるみや断裂にて徐々に眼瞼が下垂する腱膜性眼瞼下垂が主である。さらに重症筋無力症(myasthenia gravis:MG)やHorner症候群、動眼神経麻痺、ミトコンドリアミオパチー、筋強直性ジストロフィなどの神経眼科疾患にて生ずる。腱膜性眼瞼下垂は手術療法を中心に治療、神経眼科疾患ではまず原疾患の治療、薬物内服療法、さらにそれで不十分な場合は手術を検討する。
Oxymetazolineは交感神経α1‒アドレナリン受容体部分作用薬で、Müller筋や瞳孔散大筋の収縮を生じることが知られている。米国ではこのoxymetazoline(0.1%)点眼の眼瞼下垂に対する効果が認められ、後天性眼瞼下垂症に対して使用が認可されている。今回本邦でも、眼瞼下垂の治療にoxymetazoline(0.1%)点眼が認可され、その使用要件などの基準も含めた治療指針を策定することとした。
(日眼会誌 2026; doi: https://doi.org/10.60330/nggz-2025-054)