2016/05/10

IgG4関連眼疾患の診断基準

I はじめに
 IgG4関連疾患は、IgG4陽性形質細胞の浸潤によりさまざまな臓器に腫大や腫瘤の形成を来す原因不明の疾患である。IgG4関連疾患の包括診断基準は、「厚生労働省難治性疾患克服研究事業IgG4関連全身硬化性疾患の診断法の確立と治療方法の開発に関する研究、および新規疾患、IgG4関連多臓器リンパ増殖性疾患(IgG4+MOLPS)の確立のための研究班」によって検討され、2012年に本邦から報告された。IgG4関連疾患は両側対称性の涙腺および唾液腺の腫大を特徴する、いわゆるMikulicz病として知られてきた病態と同一であることも判明し、眼科領域でも次第に注目されていった。しかし、本症は比較的新しい疾患概念であることから、しばらくの間、さまざまな‘病名’が無秩序に使用されていた。さらには眼病変の診断基準が確立していなかったこともあり、混乱の原因となっていた。そこで日本眼腫瘍学会では、IgG4関連疾患にみられる眼病変の病名を‘IgG4関連眼疾患(IgG4-related ophthalmic disease)’に統一し、さらに「厚生労働省難治性疾患政策研究事業IgG4関連疾患の診断基準並びに治療指針の確立を目指した研究 眼科分科会」ではIgG4関連眼疾患の診断基準の確立を図ることになった。
 本稿ではIgG4関連疾患の歴史的背景と眼病変の診断基準確立までの経緯を含めて解説する。(日眼会誌120:365-368,2016)

IgG4関連眼疾患の診断基準(553KB)

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