ガイドライン・答申

2020/12/10

糖尿病網膜症診療ガイドライン(第1版)

日本糖尿病眼学会診療ガイドライン委員会

本診療ガイドラインの目的と位置づけ

 糖尿病網膜症の診療における目標は、視機能障害を予防し、障害された視機能を可能なかぎり回復させることである。そのために、検査結果に基づく早期の糖尿病網膜症の診断と、適切な時期における治療介入が不可欠である。また、糖尿病があれば視力障害のリスクがあるという疫学調査の結果を糖尿病患者に啓発することも重要である。そして、内科と連携し、糖尿病と診断された患者は速やかに眼科を受診し、定期検査を受けることが大切であることを啓発する。
 本診療ガイドラインは、糖尿病網膜症に関する、現時点で有効であると推奨できる診療指針を、糖尿病網膜症の診療に携わる医療従事者に示すことを目的としている。本診療ガイドラインは、最新の知見を集めて、これを紹介することを目的としていない。また、本診療ガイドラインに記載されていないことで、その有効性が否定されるものではない。
 実臨床においては、個々の症例の状況をふまえて本診療ガイドラインを用いるべきであり、本診療ガイドラインの記載内容は、医師の裁量を規制するものではない。本診療ガイドラインに記載された内容を実施していないこと、もしくは逆に記載されていないことを実施したことに対して、診療に当たる医師もしくはメディカルスタッフの責任を問う根拠とはならない。本ガイドラインにおいては、内容においての不備な部分の補正、医療水準の変化を反映させるため、定期的に検討を加え、今後も継続的に改訂作業を行っていく予定である。

(日眼会誌124:955-981,2020)