ガイドライン・答申

2023/05/10

未熟児網膜症に対する抗VEGF療法の手引き(第2版)

未熟児網膜症眼科管理対策委員会

緒 言

 未熟児網膜症(retinopathy of prematurity:ROP)は、小児に重篤な視覚障害を起こす危険がある疾患である。その治療は、これまでレーザー光凝固治療と網膜硝子体手術が主体であったが、抗血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor:VEGF)療法が新しい選択として加わるようになった。以前は抗VEGF薬が適応外で使用されていたこともあったが、ラニビズマブ(ルセンティス®)が国際共同治験を経て本邦で2019年11月に認可された。さらにアフリベルセプト(アイリーア®)が国際共同治験を経て本邦で2022年9月に認可された。
 ROPに対する抗VEGF療法とレーザー光凝固治療の適応の区別はまだ十分に定まったとはいえない。長期的な眼や全身の合併症については、治験での調査がまだ継続中である。投与の方法は、成人の硝子体内注射とは異なる点も多く、注意が必要である。抗VEGF療法後に再燃が起こり得ることも指摘されている。
 しかし、抗VEGF療法はROPの治療として確立されており、薬の選択肢が広がるとともに、この治療法に対応できるようROPの国際分類が2021年に改訂された。
 日本眼科学会を中心とする4団体の合同委員会では「未熟児網膜症に対する抗VEGF療法の手引き」を2020年12月に作成したが、抗VEGF療法の進歩に伴い、これを改訂する。ROP診療に役立てていただき、患児の重篤な視力障害を防ぐことに寄与できれば幸いである。

(日眼会誌127:570-578,2023)